マインドフルネスとは?忙しい社会で今に注意を払うこと

マインドフルネスとは?忙しい社会で今に注意を払うこと
Valeria Sabater

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Valeria Sabater.

最後の更新: 21 12月, 2022

今ここで起こっていることに注目することは簡単なことではありません。結局のところ、私たちは幸せを週末や休暇の時に感じるようにプログラムされた社会に暮らしています。私たちは刺激や通知、やることのリストに囲まれています。幸い、マインドフルネスの原理を取り入れれば、あなたの人生をとてもポジティブなものにし、人生に驚くほどの変化をもたらすことができるかもしれません。

典型的な例:アルベルトとマインドフルネス

アルベルトは名の知れた会社の販売幹部です。勤勉で効率的な仕事を約20年続けてきましたが、会社を休職するように願い出なければならなくなりました。腰を怪我してしまったのです。手術が行われ、長い長い4か月の間彼は回復に努めました。しかし今だに激しい痛みに悩まされており、毎日水泳をしているにもかかわらず症状は一向に良くなりません。彼はそれに意味があるようには思えず、安心もできません。

「誰か他の人になるということは不可能である。たった一つの希望は、より完全に自分自身になるというところにある。」
―ジョン・カバット・ジン―

彼の同僚が、マインドフルネスのクラスに行くように彼に勧めてきました。その名前を聞いたとき、アルベルトは笑わずにはいられませんでした。なぜなら彼はこういったものを日ごろから役に立たない、非科学的な、自分の時間の使い方がわからない人の間のブームのようなものだと思っていたからです。

また、自分自身がヨガの蓮華座をし、両手を合わせて瞑想している姿を想像することもできなかったのです。しかし友人はしつこく勧めてきました。「一週間試してみても害はないだろう」と。

その7日間の体験に始まり、今や2年が経ちました。49歳にして自分の人生をより落ち着いて生きることを学び、ストレスを感じることも減り、筋肉の緊張もほぐれ、最も重要なことには、腰の痛みが以前より緩和され仕事に復帰することができたのです。

彼がマインドフルネスを日々の生活の中で行いながら気づいたことの中で最も大きなことは、人生の見方が変わったということです。彼は何らかの形で人生の「再起動」ボタンを押したように感じているのです。

マインドフルネスから始まること

アルベルトのケースはとてもよくある例です。マインドフルネスに来る人のほとんどは偶然だったり興味本位な人たちです。または必要性があって来る人もいるかもしれませんし、友達や知り合いの勧めということもあるかもしれません。そしてたいていの場合、何が起こるのか、それが役に立つのかをよく知らないことが多いのです。この種の瞑想からどんな変化が訪れるのかを人々は知りません。

マインドフルネスについてより詳しく知りたい場合は、以下を読んでみてください。

マインドフルネスとは

マインドフルネスは誰が「発明」したのか?化学的な根拠はあるのか?

マインドフルネスを発明した人はいません。これは実は古代からの伝統的な禅とヴィパッサナー瞑想から発展したものです。これが発祥した時には、このテクニックの組み合わせは人の気分を良くするためだけに作られたものではありませんでした。その目的は、自己の解放を促すことでした。そこにはスピリチュアルな要素があったのです。

「あなたが何かとつながると、そのつながりはあなたに即座に生きる意味を与えてくれるだろう。」
―ジョン・カバット・ジン―

そして70年代になると、ジョン・カバット・ジンという核生物学者であり、薬学の名誉退職した教授であり、マサチューセッツ大学のストレス軽減クリニックの創設者でもある人物が、マインドフルネスを促進し始めました。彼は20歳の頃から禅の瞑想を実践してきていました。それ以来彼は根気強くそれについて調査をし、健康上のメリットを科学的に示してきたのです。

ジョン・カバット・ジンとマインドフルネス

それから、世界中の何千という人々が彼のプログラムであるMBSR(マインドフルネスストレス低減法)を修了してきました。これは人々が慢性的な痛みと闘うのを助け、不安やストレスの軽減、睡眠障害やうつ病の改善にも役立ってきました。

 

それに加えて、カバット・ジン教授がこの修行法についての最初の科学的記事を1980年に出版してからというもの、マインドフルネスのメリットを支持する記事が毎年200~800も書かれているのです。

最近ではMBSR(マインドフルネスストレス低減法)とMBCT(マインドフルネス認知療法)のプログラムが、科学的根拠のある2つのマインドフルネスに基づいたセラピーになっています。

「注目」は私たちが鍛えなければならない筋肉

かつて、ダニエル・ゴールマンは、注目とは自分のまわりと自分の中にあるものをより尊重できるようになるために、毎日鍛えなければならない筋肉であると言いました。

この仏教に基づいた実践は、2500年以上の歴史があるものですが、西洋に渡ったのも偶然ではありませんでした。これはカバット・ジン教授のような科学者が私たちの社会が多くを要求し、ストレスに満ちているということを理解していたからです。社会は私たちを急かし、頭痛や不安、終わりのない課題で私たちを苦しめます。

私たちは昼ご飯を食べるためにどうにか30分程度の時間を絞り出し、携帯を最後にチェックして、深夜を過ぎてから眠りにつきます。そして結局数時間しか寝ることができません。朝が再び慌ただしくやってきて、急いで朝ごはんを食べ、バスに遅れそうになりながら仕事へと向かいます。その間に、心の中には「なにかを見失っている気がする」、「空虚感を感じる」、あるいはもっと悪い場合「全てに意味なんてない。」という気持ちが出てくるのです。

慌ただしい毎日の中で注目するということ

そこで科学的な研究が私たちに大切なことを思い出させてくれます。二千年以上前、仏教徒がマインドフルネスを使い始めそれを筋肉のように鍛えていったのです。今日、それは私たちのストレスや不安を軽くしてくれるだけでなく、自分をよりオープンで、クリエイティブで、精神的に強くしてくれます。これは長い間、人々が平凡なことでさえも自分のすることを楽しめるように手助けしてきたのです。

マインドフルネスとは

おそらくあなたにも、マインドフルネスに対してある程度の先入観があることと思います。偏った見方やネガティブな意見を持つ前に、より現実的な視点を持つために情報を得て、様々な情報源を比較するのがいいでしょう。

時に、最初は拒否していたことが、結局は自分の人生をよりよくするために使える価値のあるツールになることもあります。マインドフルネスもその一つかもしれません。ですので、「マインドフルネス」とは正確にはなんなのかを定義することが大切なのです。

  • 瞑想は宗教ではありません。マインドフルネスとはただの精神的なトレーニング技術なのです。
  • 足をクロスした古典的な蓮華座で床に座る必要はありません。ほとんどの記事や雑誌ではこの考えを「売りにして」いますが、本当のところはマインドフルネスはほとんどの場所、姿勢、タイミングで実践することができます。食事中や運動中にさえ行うことができるのです。
  • マインドフルネスの実践には長い時間を要しません。これは夕方5時から7時まで行わなければならない、といったようなものではないのです。瞑想のパターンをコントロールできるようになれば、一日のうちいつやってもいいですし、教室にお金を払って通う必要もありません。マインドフルネスとは習慣であり、人生をよりよくするための戦略なのです。
  • 瞑想は複雑なことではありません。正しいやり方というのも存在しません。それは今に集中できるように自分の心を毎日トレーニングすることなのです。
  • マインドフルネスは奇跡でもなければ、幸せになるための秘密でもありません。あなたを一晩で成功に導くものでもなければ、あなたを満たしてくれるものでもありません。マインドフルネスとは私たちのまわりにあるものにより深く、より共感しながら注意を払うための道であり、戦略であり、方法なのです。そうすることで自分自身と、自分のまわりにあるものを顧みることができるのです。
マインドフルネスとは習慣

マインドフルネスで得られるもの

マインドフルネスは練習あるのみです。しかしあることを明確にしておく必要があります。それは、マインドフルネスとは1、2週間で習得できるものではないということです。練習と意志の力が必要です。外界の刺激と内側の思考の波を止めるのはとても困難なので、私たちはとても気が散った状態です。ですので、少しの忍耐が必要になります。しかし自分のやり方がわかるようになれば、人生の中で以下のことに気づくようになるでしょう。

「自分の思考を外に出そうとしてはいけない。思考にスペースを与え、それを観察し、開放するのだ。」
―ジョン・カバット・ジン―

自分の感情に気づくようになる

マインドフルネスの最も良い効果の中には、感情の自己統制、自己認識、自分のコントロールが上手くなるということです。少しずつあなたは自分の中の宇宙の支配者になっていきます。そして内省、オープンさ、反省と自己受容を習得していくのです。

ワーキングメモリの改善

ワーキングメモリは、新しい情報を一時的に脳の中に保管し、後でそれを呼び出して処理することができるようにするものです。これは仕事の上でも、自分を現在により統合する上でも、私たちの生活において基礎的かつ必要不可欠なシステムです。

うつ病の症状を防ぐ

うつ病は、ほとんどの場合人を暗い穴の中に閉じ込めてしまう、ネガティブで疲れるサイクルにつなげてしまいます。これはとても有害になる恐れがあるものです。しかしマインドフルネスの練習を始めれば、多くの軽度のうつ病はその力を失います。

あなたはすぐにその他の選択肢が見えるようになり、自分の感情をより上手に統制し、過去のごたごたから自分を解放し、自分の将来のネガティブな予想をすることをやめ、さまざまなチャンスに満ちた今に根をはることができるようになるのです。

マインドフルネスの効果

回復力が身につく

回復力は、挫折からさらに強くなって帰ってくるための素晴らしい能力です。そしてマインドフルネスがあれば、さらに回復することができます。多くの研究が示唆しているように、マインドフルネスは脳の前帯状皮質と呼ばれる部位の連携と活動を改善します。感情の自己統制が高まり、過去から学び、より良い意志決定ができるようになる手助けをしてくれるのです。

ストレスの軽減

あなたが恐怖を感じたり逃げたいと思うのをコントロールしている脳の構造を知っていますか?それは偏桃体です。この脳の部位は、ストレスに対応する際にカギとなります。実際、偏桃体に刺激を与えすぎると、うつ病や不安障害につながってしまうことが多くあるのです。

しかし良いニュースとしては、常にマインドフルネスを実践することで偏桃体のサイズを小さくし、その活動を抑制することができるのです。これは1、2カ月で変化に気づくというようなものではありません。しかし続けて毎日行うことでできるようになります。やがて脳が力強い変化を経験し始めます。その変化により、ストレスのかかる状況にうまく反応できるようになり、あなたの精神的・身体的健康が増進するのです。

マインドフルネスでストレス軽減

マインドフルネスについての良いニュース

ここまで読んでも、マインドフルネスはあなた自身やあなたの生活には合わず、やってみようと思わないかもしれません。やらなければならないことが山ほどあるのに、1時間も座っていられないよ、と。

マインドフルネスを実践するためには、足を組んで、目を閉じ、手を合わせる必要はないということを覚えておいてください。あなたの体は使いません。あなたの心、あなたの脳を使うのです。目標は、「自分の注目を鍛える」ことです。

これは人生に多大な影響を与えるので、ジョン・カバット・ジン自身も瞑想を元来の医療に加えるべく闘い続けています。彼はマインドフルネスには健康をもたらす力があると言っています。

コストがほとんどない上に、その効果は絶大になる可能性があるのです。

参考文献

-John Kabat-Zinn (2006) Mindfulness for Beginners, Louisville, CO: Sounds True

-Bhante Henepola Gunaratana (1992) Mindfulness in Plain English, Charlottesville, VA: The University of Virginia

-Thich Nhat Hanh (2014)  The Miracle of Mindfulness, Boston, MA: Beacon Press

-Javier García Campayo (2014)  Mindfulness y ciencia, Alianza Editorial


このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。