MKウルトラ計画:CIAの洗脳実験

CIAは、人をコントロールしようという強い思いから、MKウルトラ計画を立ち上げました。この計画の目的は、残虐な方法を使用し、人間の考えを洗脳することができるもろい部分を発見し、コントロール、支配しようというものでした。
MKウルトラ計画:CIAの洗脳実験

最後の更新: 12 11月, 2019

現在でも、ナチスによって実行された人間に対する残虐な実験は、身を震えさせるものがあります。その目的は、人の考えをコントロールしようとするものでした。しかし、あまり知られてはいませんが、さらに闇に包まれた実験がアメリカで行われていたのです。その一つにCIAの洗脳実験プログラムのMKウルトラ計画があります。

第二次世界大戦は、それまでの軍事戦略を変える出来事でした。この時期ほど、スパイが重要視されたことはなかったでしょう。なぜなら、交戦中に敵の重要な情報を得ることが、とても有効であったからです。自国の軍事戦略と、どのように異なるのかを知りたくてたまりませんでした。

また、ヒットラーも人間をコントロールできることを証明していました。何百万人もの人間を操り、普通の精神状態であれば、絶対に実行しないことをもさせていたのですからね。そして戦後、情報の獲得と洗脳はアメリカの一番の関心事となりました。そこで、MKウルトラ計画が形成されたのです。

MKウルトラ計画とは?

MKウルトラ計画

MKウルトラ計画とは一体何であったのかを正確に説明するのは難しいことです。報道機関が60年代後半、70年代前半にこの計画について発見した後、CIAは関連ファイルを全て処理してしまいました。残ったのは、わずかな数の書類だけです。

しかし、数人の手により、このわずかな書類からこの計画の全貌が明らかになりました。また、被害者の証言がこの計画の調査に役立ちました。しかし、厳密にいうと、一体どのようにしてMKウルトラ計画が形成されたのか、はっきり知ることはできません。計画には150もの処置があったとされており、その中でもわかっているのは2、3個のみだからです。

この計画の目的は、ある薬物によってその人物がもつ情報を白状させることができるか、または、洗脳し考えを変えることができるのか、というものでした。

人体実験

発見された情報によると、MKウルトラ計画の携わった人物が、LSDなどの薬物を、色々な方法で、様々な量を人に投与し、それらの実験対象者がどのように行動するかを監視しました。

他にも、電気ショックや催眠術も試されました。この計画が始まった50年代には「洗脳」についてよく議論が交わされいました。

またCIAは様々な拷問の方法も試験していたことがわかっています。時には「ボランティア」の実験対象者に、数日間睡眠なしに、潜在意識に残るようなメッセージを繰り返し聞かせたこともあるようです。または、計画的に電気ショックを与えたり、高い濃度の合成薬を与えたりもしていたようです。

MKウルトラ計画と精神的な「ボランティア」

MKウルトラ計画 CIA

MKウルトラ計画の驚くべきところは、CIAが何千もの人を、計画に参加するように騙したということでしょう。実験台を2つの方法で入手していました。

1つ目は、精神病院をターゲットとしたことです。この場合、患者達は新しい治療のためにボランティアしていると伝えられていました。もちろん患者の誰一人として、CIAが実験を行っていること、ましてや、元ナチスの「専門家」が数人関わっていることなど、知りませんでした。

また、このMKウルトラ計画で活発に貢献したのは、精神科医のドナルド・イウェン・キャメロンです。彼はのちに世界精神医学会の会長となります。そしてアメリカ精神医学会、カナダ精神医学会の会長にもなりました。

他の「ボランティア」

この計画には精神病患者だけではなく、数千人もの「一般人」も使用されました。軍隊、大学、公共の病院、売春宿、ホスピスなど、考えられる場所すべてで募られた市民です。

少額の報酬を受け取ることができるという約束の元、テストを受けたと多くの参加者が述べています。しかし、実験の本当の目的は知らされることがありませんでした。

また、多くのボランティアがこの残虐な実験から生き残ることができず、頭に障害が残ってしまったボランティアもいます。もっとも公になったケースは、アメリカのフランク・オルセンのケースです。また、カナダ政府は、大騒動を避けるため、何百人もの被害者に賠償金を支払いました。

ジャーナリズムが筆頭となった調査によって、何が起こったかを知ることができました。その後、米国議会は事実を探るべく委員会を立ち上げました。しかし、1973年に公表された書類はごくわずかで、CIAは他の書類を処分してしまいました。

MKウルトラ計画は、政府がその気になれば、どこまでも自由に行動することができるということを証明する例となりました。驚くべきことは、この実験が独裁者の元でなく、世界にその民主主義を誇る国で起こったということです。

現在でもまだ聞いたことのない、そのような残酷な研究がどこかで行われているのか、という質問は私たちを不安にさせるものですね。


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  • Frattini, E. (2012). CIA. Joyas de familia: Los documentos más comprometedores de la Agencia, por fin al descubierto. Grupo Planeta Spain.

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