なぜ先延ばしをやめられないのだろう?

あなたは、タスクをこなすことが困難だと感じていますか?自分はあまりにも物事を先延ばしにしてしまうと感じていて、その原因を突き止められずにいませんか?そのような状況に置かれるとかなりフラストレーションが溜まってしまう恐れがあります。本記事では
なぜ先延ばしをやめられないのだろう?
Valeria Sabater

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Valeria Sabater.

最後の更新: 21 12月, 2022

「私は先延ばしをやめられない」、「物事にすぐさま着手するというのが私には無理だ」、多くの人々が、ここ数ヶ月間は特に、このような状態に陥ったことがあるはずです。それはまるで、勇気やイニシアチブ、そしてモチベーションまでもが突然虚しく消えて行くような、気詰まりとしか言いようのない感覚で、働いたり恋愛を楽しんだり、長期的な目標達成に向けて努力することが不可能になってしまいます。

このような状況を些細なこととして片付けてはなりません。この、願望や日々の楽しみが欠けてしまった状態は、その人の心の筋肉を損傷させ、少しずつ弱らせていくサビのようなものです。それほどの自らの効率の低さを目の当たりにし、どんなに小さなことをするのにも多大な労力が必要なことに気づくと、疲弊してしまい、フラストレーションが溜まっていきます。

上記のようなタイプのシチュエーションを上手く乗り切れるようになることが重要です。この、自分を無能にさせる状態を2、3日以上引きずってはいけません。実は、これが何週間も、あるいは何ヶ月も続いているようなら、それはうつ病などの心理的問題の兆候である恐れがあります。

それでは、このトピックをもう少し掘り下げていきましょう。

なぜ先延ばしをやめられないのか – 考慮すべき原因

生きていれば、どんなことでも上手くこなせるような気分になる日もあれば、反対に初めから自分には能力が無いと感じてしまう日もあるでしょう。これは100%普通のことだというのを、ここで声を大にしてお伝えしたいと思います。人生に対して、毎日同じ姿勢で、精神で、そして変わらぬ願望を抱いたまま暮らし続けることなどほぼ不可能なのです。あなたは人間であってロボットではありませんし、浮き沈みを経験することは完全に当たり前で正常なことだと言えます。

日々頑張って働き、自分のことは全て自分でこなすことに慣れている人にとって、上記のような問題と向き合うのは少々恐ろしく思えるかもしれませんね。しかし実は、こういったケースではあらゆる健康上の問題を考慮するべきなのです。鉄分やマグネシウム、あるいはビタミンB群といった栄養素の欠如、甲状腺障害、ホルモン変化などが原因かもしれません。驚くべきことに、大抵の場合これら全てがやる気のなさや身体エネルギーの欠如に繋がるのです。

過度の心配や見通しのつかない不安

ジョン・ミルトンはかつて、地獄を生きるか天国を生きるか決めるのは自分自身の精神である、と述べました。これを踏まえると、心配ばかりしていて穏やかな日々がほとんどない時期には、その人の頭脳はあの不快なストレスというブロックに頼るようになります。それはまるで、認知的能力が突然阻害されてしまったかのような具合です。そして瞬く間に明晰な思考をすることや自分の責任を果たすことができなくなってしまいます。
これら全ては、過度の懸念によるものです。そしてこの懸念は苦悩や不安を特徴とする感情状態と共存します。また、将来についての見通しのつかない不安を抱く人は、私たちが想像するよりもたくさんいますが、こういった人々はこの先自分の身に起こる可能性のある何かについて考えていると、精神が麻痺したような状態で停滞してしまいます。そうなるとそこから抜け出すことは非常に困難です。
先延ばし やめられない

先延ばしにするのをやめられない – どう対処すれば良い?

「何かに手をつけるというのが私にとっては難しい。早く始めれば始めるほど、その分早く終わらせることができるだろうということはわかっている。しかし、私にはただ仕事に取り掛かる勇気やモチベーションが見つけられないのだ。それで結局ただ何もせずにいる。最悪なのは、このように振る舞う自分自身に対して嫌悪感やとてつもない不快感を抱いてしまうことだ」
先延ばしが最悪な人生のパートナーである理由は、タスクをこなすことを遅らせているとネガティブな感情ばかりが湧いてくるからです。その結果、自分自身に対するイメージが歪められ、自己効力感が失われてしまう恐れがある上、本人もほぼ気づかぬうちに抑うつという名の深い穴の中に落下してしまいかねません。
また、パムッカレ大学(トルコ)で行われた研究では、先延ばしにはほとんどの場合、不合理な思考が伴うということが示されました。不合理な思考とは例えば、「全てが悪い方向に行くだろう」、「自分は無能だ」、「どんな理由であれ、人から批判されてしまうだろう」などです。さらに、以下に挙げる要素もよく見られます。
  • 特定のタスクに対して嫌悪感を持つ。
  • 失敗やミスを犯すことへの巨大な恐怖。
  • 完璧主義。
  • 周囲の物事をコントロールできていないような感覚。
  • 隠れたうつ病あるいは高レベルの不安感

身動きを取れなくさせ、やる気を失わせる恐怖心

あなたにもおそらく、なぜ自分は先延ばしをやめられないのだろう、としばらく思い悩んでしまった経験があることでしょう。そして数日間が経過しても、状況が変わる気配はありません。完了させねばならないタスクの数は日々増えていき、そのせいで「間も無く自分は崩壊してしまうのではないか」という気分になっていきます。ご自身がこのように感じていることに気づいたら、「私が本当に恐れているものは何なのだろう?」と自問してみてください。

思想家で科学の伝道師であるエドゥアルド・プンセットが「幸せとは恐怖心の無い状態だ」と語りましたが、私たちもこれに賛成です。内省と熟考の結果、現時点で自分は特に何も恐れてないと思う方もいらっしゃるでしょう。しかし、単純な恐怖心がどれほど何かを行うことの妨げとなっているかに気づくことはかなり困難な場合があります。

考えてみてください。ほぼ全ての人が、将来や将来自分の身に降りかかり得ることに恐れを抱いていますよね。未知のものに恐怖を感じるのは当たり前ですし、思い通りに物事が進まない可能性を考えてストレスを感じてしまうのも普通のことです。これらの感覚に、あの静かながらも拡散力が強くてしぶとい恐怖心が合わさって、モチベーションを弱めてしまうのです。

なぜ 先延ばしをやめられない

先延ばしをするのは怠けているからではなく、不幸せだから

あなたはこれまでに、先延ばしをやめられない理由は自分が不幸せだからではないか、と考えてみたことはありますか?例えば、怒りを抱いているとき人は苛立ちを感じ続けますが、この状態は行動を起こす妨げとなります。それでも、気分の悪さは原因のごく一部に過ぎない場合が多いのです。問題の根本原因を見つけ出すには、自分自身の内側を深く掘り下げねばなりません。

興味深いことに、多くのケースで「不幸」が先延ばしの背後に存在します。例えば、「自分は正しい道のりを進めていない」と感じている人が何もやりたくないという気持ちになるのは理に叶っていますよね。自らの人生に満足できていない状態は、やる気を大いに失わせるはずです。今現在のライフスタイルが自身のニーズ、願望、価値観と合っていないのならば、どれほどシンプルなタスクであっても過酷な試練のように思えてしまうでしょう。このような状況に永遠に囚われ続けたくはありませんよね?

モチベーションの欠如の背後にある事情がどんなものであれ、必要なのは変化を生じさせることです。難しいかもしれませんが、前進できるよう毎日努力を続けましょう。そうすれば徐々に状況が好転し始めることに気づけるはずです。幸せや変化、そしてウェルビーイングを実現させるための最強のエンジンは結局、決断を下すことなのです。


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