人間行動の目的とは?

04 10月, 2020
一体何が私たちの行動を動機づけているのでしょうか?自分たちの行動を分析し、理解するために私たちはどんなテクニックを用いることができるのでしょうか?そして正確な行動分析により、どのような恩恵を受けられるのでしょうか?今回の記事では、これらの質問全てにお答えしていきます。

皆さんはこれまでに、なぜ私たちが今行なっているような振る舞い方をしているのか疑問に思ったことはありますか?心理学にはたくさんの目標がありますが、その中の一つであり、おそらく最も重要なものの一つが、この疑問への回答を明らかにすることなのです。したがって本日は、いわゆる人間行動の目的の特定と定義付けを詳しく見ていきましょう。

これを行うにあたり、まずは基本的な人間の欲求やモチベーションについてお話しします。そして、情動が私たちを圧倒し、本能に突き動かされてしまった時にどうすれば制御力を取り戻すことができるのかについても説明させてください。

“人は、勇気を持って自分自身の、つまり自己の声に折に触れて耳を傾けることができない限り、人生に関する賢い選択をすることはできない”

-アブラハム・マズロー-

人間行動 目的

基本的な人間の欲求と人間行動の目的

心理学の世界には、人間の欲求を理解するためのモデルや理論がたくさん存在します。おそらく、その中でも最も有名なのがアブラハム・マズローのものでしょう。彼はアメリカの心理学者で、人間の欲求を五層に階層化した、よくピラミッドに例えられるモデルを考案した人物です。彼は、一連の欲求を満たすためにはまず下層にあるものから満たしていかねばならないのだ、と提唱しました。

マズローによると、このピラミッドは以下のもので構成されているそうです。

  • 生理的欲求。これには食べ物、水、空気、睡眠、休息、セックスなどを求める欲求が含まれます。
  • 安全の欲求。身体的なウェルビーイング、仕事、家族、健康、私有財産などです。
  • 愛と所属の欲求。これは友情や愛情、家族関係、性愛関係などと関連しています。
  • 承認の欲求。自信、自我一体意識、尊重、成功などです。
  • 自己実現の欲求。道徳心、自発性、クリエイティビティ、自己達成、そして問題解決が含まれます。

この理論に即して考えると、私たちの行動の目的は基本的欲求によって動機づけられているということになります。例えば安全の欲求が満たされていない時、私たちの行動はこれを満たす方法を探す方向に向けられるでしょう。同時に、生理学的欲求の達成度合いによっても動機づけられます。

基本的欲求は私たち全員が共通して有しており、これがピラミッドの根底部分を形成しています。そしてこれらが私たちの行動の第一の目的となるのです。つまり、私たちのモチベーションや行動の目的は互いに密接に結びついているということです。

モチベーションと人間行動の目的

オックスフォードの英語辞書では、「motivation(モチベーション、動機)」という言葉は「特定の様式で振る舞うあるいは行動することの一つあるいは複数の理由」と定義されています。様々な要因がある中でも、私たちの行動を条件づけているものの一つがモチベーションです。これは本質的なモチベーション、つまり個人的な喜びや快感のために私たちをある行動に走らせるような動機の場合もあれば、外部からの刺激によって行動を駆り立てる、非本質的なモチベーションの可能性もあります。

本質的な、および非本質的なモチベーションに加えてその他にも以下のような複数のタイプが存在します。

  • 達成モチベーション。うまく振る舞い、優秀さを追求したいという欲求による動機づけです。
  • 親和モチベーション。グループの一員になりたいという欲求や、他者と親しい関係でありたいという欲求に関連しています。
  • 力のモチベーション。これは影響力を与えたり支配する私たちの能力や、他者から認められたいという欲求に関連するものです。

ご覧いただいた通り、モチベーションの出所は様々です。これらは、私たちがどれくらい自らの欲求と行動との関係性の密接さに気付けているかによって変わってきます。いくつかのケースでは、この関係性が文化や家族からの影響を受ける場合もあります。

多くの人々が同じモチベーションの源を共有している一方で、これは個人によって異なるものでもあります。もっと言うと、全員が自分の欲求が実際にはどんなものなのかを完全に理解できているわけではありません。そのため私たちは、意識的には特定できていない何らかの欲求を満たすために行動している可能性があるのです。

このことは、自らの行動の背後にあるモチベーションをピンポイントで指摘するのが難しい場面が多々あるということを意味しています。もちろんモチベーションを特定できる場合もありますが、その時私たちはその動機について嘘を言ってしまったりそれを他人から隠そうとするのです。

人間行動 目的

自らの思考や感情、習慣に振り回されるのを防ぐには?

自らの欲求を完全に把握できていないと、私たちは簡単に自分を見失ったり制御を失ったり、あるいは外部からの強い力によって操られているかのように感じてしまいます。例えば、恐怖や恥といった感情に支配されている時、私たちの行動の目的は何かを回避することになることが多いです。また、怒りや楽しさといった感情で頭がいっぱいになっている時には何らかの行動を起こすという選択をする可能性が高くなります。

これと同じことが、思考や習慣にも当てはまります。つまり、自らの思考を即座に行動に変換させてしまう場合や、論理よりも習慣だけにしたがって行動する場合、自分が本当は何を求めているのかを理解するのが非常に難しくなるということです。

ソリューション

したがって、これらの要因が行動に影響を与えてしまわないように、私たちは気づきを深めなければなりません。このためには、以下のような対応策を取ることが必要です。

  • 今現在を生きる。これにより自分自身の心との結びつきが強くなったように感じられ、新たなより良い解決策が生み出されやすくなります。
  • 瞑想。熟考と自己分析を助ける手段です。
  • 「自分の行動の目的は誰にあるいは何に向けられているのだろう?」と自問する。これにより普段は何も考えずに自動的に行なっているような行動に対して強制的に注意力が向けられます。こうすることで人生の手綱を再び手にすることに繋がるはずです。

また、心身の健康や社交面での健全性によく注意を払い、自らのウェルビーイングともっと一体感を持てるように努力すべきです。そうすると、自分の欲求をもっと把握できるようになります。

さらに、マインドフルネスに挑戦してみるのも良いでしょう。この手法を用いると不合理な行動に屈してしまうのを回避できることが、様々な研究で明らかになっています。例えば『Academy of Management Review』誌で発表された論説の中でKudesiaは、マインドフルネスの実践により、変革プロセスの活用を通じて困難な状況により上手く対処できるようになるだろう、と提唱しています。

まとめると、複数の異なる要因が私たちの行動の目的を決定づけているということになります。人は皆、異なる存在です。しかし、なぜ自分たちが今行なっているような形で行動しているのかを理解しようと追及していけば、行動の目的をより容易に理解できるようになります。そしてそれが転じて自らの人生の主導権を再び握ることに繋がるのです。

Kudesia, R.S. (2019). Mindfulness as metacognitive practice. Academy of Management Review, 44 (2). 405-423.

Maslow, A. (2014). A theory of Human Motivation. Floyd VA:Sublime Books.