ノーマライゼーションっていったい何?

最近、多くの人々が行動や感情、そしてその他たくさんのことをノーマライズしようとしています。しかし、ノーマライゼーションとは何を指す言葉なのでしょうか?本記事を読み進めて学んでいきましょう!
ノーマライゼーションっていったい何?

最後の更新: 25 3月, 2021

あなたはこれまでに、精神疾患やセクシュアリティ、情動性、あるいはジェンダーロールなどに関して、誰かが「これをノーマライズしよう」と言うのを耳にしたことがありますか?最近、ノーマライゼーションにより、これ以上社会から排除されたくないと願うたくさんの人種グループが人々の目に触れるようになってきました。ただし、この言葉が使われてきたのは社会学の分野に限ったことではありません。

本記事では、ノーマライゼーションとは何なのか、その起源や適用、そしてこの言葉が持つ、実際には何が「ノーマル(正常、標準)」なのかを社会に問わせる力について簡単にご紹介します。その他多数の単語と同様に、この言葉にも日々新たな定義が付与されていきますが、その土台部分はしっかりと確立されていると言えるでしょう。

「ノーマライゼーション」という言葉の出所は?

あなたもおそらく、最近この言葉を何度か目にしたことがあるはずです。特に社会の変化という枠組みの中では出現頻度が増しています。この用語「ノーマライゼーション(normalization)」を生み出した最初の人物は、哲学者ミシェル・フーコーです。彼が社会学の分野に持ち込む以前まで、この言葉はあるデータを正規分布に適合させるための数学的プロセスを指す統計用語に過ぎませんでした。

フーコーはこの用語を確立された権力の批判に用いましたが、これは権力によって「ノーマルなもの(そして受け入れ可能で望ましいもの)」が既存の規範と関連付けられていたためです。権力の定める規則は、単なる社会に共存する複数の規範の集まりではなく、大衆をコントロールするための手段にもなっていました。

「ノーマライズする」とはどういう意味?

ノーマライゼーションとは何かという問いに答えるには、この言葉が「特定の行動がノーマルなものとして、つまり、ある人間集団にとって規範内に入るものとして見なされるようにする過程」に言及したものであることを覚えておかねばなりません。フーコーは自身の著書『監獄の誕生』の中で、ある行動は以下の二つの条件が満たされればノーマルになる、と仮定しています。

  • 個々人によって「理想的である」と見なされた時。これが起こるのは、一つには、人々がその行動を本質的に良いものだと考える時、そしてもう一つには、人々がこれを生涯を通じて辿り着かねばならないゴールのように見なす時です。例えば結婚などがこの具体例だと言えます。確かに、誰かとの強固な関係性署名付きで獲得するこの行為は、社会において理想的なこととされていますよね。
  • 個人が、その行動を実践することによって支配体制から見返りを得られる時。先ほどの例に従うと、結婚によって労働許可証から新たな国籍に至るまで、様々なアドバンテージを得ることができますよね。

一般大衆は基本的に、自身の文化的枠組みに基づいてノーマルと見なされるものを受け入れ、追求し、その周囲で団結します。

ノーマライゼーション

新しい世代にとってのノーマライゼーション

2008年の経済危機および家族モデルに見られた変化は、人々の集団的思考の進歩にとって驚くほど重大でした。その結果、ほぼ全ての哲学的言説が、すでに確立された規範を何らかの形で批判するようになったのです。さらに、個人主義、多様性、そして絶え間ない変化が特徴的な社会において、「ノーマル」という概念は曖昧さを増し続けています。

新しい世代が思想という点において前進的であり、こういった変化を受け入れていることはよく知られていますよね。この潮流により、「ノーマライゼーション」という言葉は数多くの社会的統合ムーブメントのアイコンとなりました。ここで言うムーブメントとは例えば、精神疾患を持つ人々や少数派のセクシュアリティを有する人、身体的・知的ハンディキャップを持つ人(機能的多様性)などを社会に組み込もうとする動きのことです。

そうは言っても、ノーマライゼーションの概念は大いに変化を遂げています。例えば社会的統合を目指すムーブメントにおいて、ノーマライゼーションとは「排除」の対義語として使われています。このノーマライゼーションを実現するには、個々人が以下のような様々な戦略を使用せねばなりません。

  • 多様性についての教育。新しい世代では、よりオープンで包括的な思考を育む上で統合プログラムが重視されています。
  • 法的枠組みへの組み込み。つまり、社会・政治体制や法律が、できる限り多くの集団を考慮できるようにすることです。
  • 行動強化。例えば自尊心を高める、セーフプレース(安心して自分らしくいられる場所)を作る、といった取り組みなど、特定の強みやアドバンテージが、このノーマライゼーションの実践と結びついています。
ノーマライゼーション

ノーマライゼーションのメリットとデメリット

日常言語にこの用語が取り込まれるようになって、多くのマイノリティ集団の状況が改善しました。移民やLGBTQ+コミュニティ、精神疾患を持つ人々、さらには人間以外の動物などの特定のグループのための補助金や法律、そしてムーブメントをきっとあなたもご覧になったことがあるはずです。

一方で、破壊的行動をノーマライズすることは、中毒や暴力といった様々な社会問題へのソリューションの導入をかなり困難にしてしまうということが研究によって明らかにされています。

さらに、ノーマライゼーションの恩恵を受けられていない集団も一部存在します。かつては自分が「ノーマル」だというアドバンテージを享受していた大きな群衆が、今やその特権あるいは社会的承認を失って苦しんでいるのです。これは、しばしばグループ間の闘争に繋がります。

ご覧の通り、これはオープンなプロセスです。ノーマライゼーションは、より包括的な社会への新たな道のりを開いてくれます。「ノーマル」という言葉がもっと多くの集団・個人に当てはめられるようになる日が来るのは時間の問題でしょう。

“権力が存在するところには、レジスタンス(抵抗)がある”

-ミシェル・フーコー-

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