ノセボ効果っていったい何?

· 2019年4月14日

誰もが有名な「プラシーボ効果 」という言葉を聞いたことがあると思います。人生においてこれを経験したことがある人もいるかもしれません。この概念を支持する研究はたくさんありますが、その反対である「ノセボ効果」と呼ばれるものに関しては状況は異なります。これはプラシーボ効果と似たような環境下で起こりますが、発表されている研究は少なく、そのせいでこの用語がミステリアスに聞こえてしまうのです。

「プラシーボ効果」は、長年にわたり医師や研究者たちにとって役立つ存在であり続けています。さらに、この効果は被験者を傷つけることなく実験できるのでとても効率が良いのです。そして医学の専門家たちが、深刻な痛みをもっと軽度のものと分ける時の手助けにもなります。

子どもがかなり大げさにどこかを痛がっているのを見た両親が、キャンディを手渡してこれで痛くなくなるよ、というようなことを言い聞かせているような場面が多々あります。このやり方はほぼ毎回うまくいくのです(もちろん本当に深刻な痛みだった場合は除きますが)。これは、この暗示の力があなたの思うよりもずっと強いことを示す一例にすぎません。

ノセボ効果とは正確には何なのか?

プラシーボ効果と同様に、ノセボ効果も誤った予測によって働きます。その違いは、ノセボ効果はその予測がネガティブなものであるという点です。患者がその薬剤には悪い副作用があると思い込むと、それが実際に何らかの問題として現れてしまうことがあるのです。

ノセボ効果っていったい何?

しかし、患者が自分は間違った情報を与えられたのだと気づいた瞬間にこの効果は消え失せます。これらの変化を引き起こすこの驚くべき神経学的プロセスは、前頭前皮質・眼窩前頭皮質・前帯状皮質からの刺激によって生み出されます。

同様のことが扁桃体、脊髄、中脳水道周囲灰白質、そして側坐核でも起こります。MRIでの研究によれば、脳のこれらの部位は、自らの健康に対する知覚に影響するそうです。

もちろんその被験者の捉え方や、研究者がどうそのノセボを投与するのかを考慮に入れる必要があります。この効果に関する研究は、非倫理的な領域にまで及びかねないために、たいてい賛否両論を生んでしまうのです。

患者に真実を伝えることなく効果のない薬を処方することには、たくさんの問題が伴います。そして、それに対する非難はもっぱら医師たちに向けられます。なぜなら症状を最小限に抑え、悪化させず、再発を防ぐのが彼らの仕事だからです。

「幸福とは健康な身体あってこそ得られるものだ。」

-ジョージ・ウィリアム・カーティス-

薬剤の価格

最近サイエンス誌に発表された研究によると、薬剤の価格は人々の無意識の反応に多大な影響力を持っているそうです。研究者たちは、49名の被験者たちに対してあるクリームを詰めた瓶を渡しました。彼らは被験者に、これは湿疹治療のための二つの異なる薬の治験だと説明しますが、実際には薬は一つだけです。

青い瓶(高価格で高品質を連想させる)には赤い瓶(もっと手頃な価格の薬剤を連想させる)と同じクリームが入っています。研究者たちは被験者に、彼らの肌はとても敏感なのでおそらくヤケドのような感覚を味わうことになるだろう、と伝えます。彼らはこの薬を30分間使用しなければならず、その後別の場所で体を温めさせられます。

どう聞こえるかは分かりませんが、その結果は本当に暴露的なものでした。青い瓶のクリームを使った人々は、別のグループの人々よりも強い痛みを感じたと証言したのです。その理由は青い瓶がもっと高価で、強い効果を持つクリームだと印象付けられていたからです。これはある心理学的なトリックで、繰り返されることで効果も強まっていきます。

スプーンで薬を口に運ぶ女性

また、研究者たちは「プラシーボ効果」の時と全く同じ脳の部位が働くことも発見しました。違いがあったのは灰白質で、ここでは異なる神経エリアが活性化していました。こうして、脳の同じ場所が働いているにも関わらず、活性化方法は全く異なるということが解明されたのです。

ノセボ効果と線維筋痛症

科学者たちは、線維筋痛症患者たちにも似たような実験をしました。この病気を患った人々の方がもっと薬剤の否定的な効果を受けやすいということがわかると、研究者たちは、患者の治療にノセボを使うことにしました。

完全に無害なはずのノセボが、線維筋痛症の人々に数多くの問題を引き起こしてしまったので、治療をストップしなければならない人も多数いました。

ノセボ効果には疑問点も多いでしょう。一つには、なぜもっとこの効果に対する研究がなされないのだろう、という疑問。また、そんなにこの効果の影響は大きいのだろうか、などです。個人の性格に関してこれを支持するような研究はないものの、おそらくその人のモチベーションが結果に与える影響は大きいだろうと考えられます。

薬剤が引き起こすであろう変化を気にしすぎてしまう人は、もっと痛みを感じやすいです。こういったケースの中で引き起こされた心気症が、実際に病気の人の症状に悪影響を与えてしまった例もあります。繰り返しになりますが、我々の脳というのは、全員がしっかり操作方法を学ぶべき強力な道具のように見えます。

恐れているものが何であれ、うまく対処する方法が分かっていれば、このプラシーボ効果の邪悪な双子とも言えるノセボ効果をあまり経験せずに済むでしょう。