親の育児放棄がもたらす影響とは?

多くの場合、幼少期に親から見捨てられる経験をすると心に傷が残り、正常な発達が妨げられてしまいます。当事者である子どもあるいは大人は、この育児放棄を自身があまり重要な存在ではないということの証拠として解釈する可能性がありますが、もちろんこれは苦しみや驚くほど低い自尊心に繋がります。
親の育児放棄がもたらす影響とは?

最後の更新: 27 3月, 2021

幼少期は、心理的・情緒的発達においてとても重要な段階です。そして、子どもと親との関わり合い方が、その子の自分自身や周囲の人々に対する見方に影響を与えます。幼い頃に子どもたちに及ぼされ得るダメージについて、私たちが本当に理解できているとは言えない場合がほとんどですが、親の育児放棄をはじめとする特定の経験は、人の心に深い傷跡を残す恐れがあるのです。

このような経験をしたことのある人の多くは、それによって自身が受けた影響は深刻ではない、あるいは全く無かったなどと言うかもしれません。しかし、こういった人の思考態度や考え、行動を観察するだけで、十分過ぎるほどに育児放棄という仕打ちの影響が付き纏い続けていることがわかるはずです。こういった人々の心に何が起きているのかを認識できるように、今回は親の育児放棄がもたらす主な影響についてお話ししていきます。

親の育児放棄とは?

その影響を挙げて行く前に、まずは「親の育児放棄」という言葉が何を指すのか説明しなければなりません。基本的に、これは親が不在の状態を指しています。例えば、自ら望んでシングルマザーあるいはファザーになった人物についてはこれは当てはまりません。また、二人の父親あるいは二人の母親によって構成される家族においては、たとえもう一方のジェンダーを持つ親が存在しないとしても、これは育児放棄と見なすことはできません。

事実、このようなタイプの家庭で育つ子どもたちには、異性同士の親を持つ子どもたちと比較して何の不利益も受けていないということが研究によって示されています。

親の育児放棄とは、かつて子どもの生活の一部となっていた親(男女問わず)が去ってしまった状態です。ただ、今回お話しする育児放棄は、親が物理的には子どものそばにいる場合にも起こり得ます。詰まる所、親になるというのは単に子を持つということ以上に、その子と情緒的な絆を形成していくという意味ですよね。しかしこれができていない場合には、このようなタイプの育児放棄も起こることがあるのです。

親 育児放棄 影響

親の育児放棄がもたらす影響

物理的なものにせよ精神的なものにせよ、親に見捨てられたことで生じ得る影響は、精神的レベルで個人に害を及ぼすような深刻なものとなる恐れがあります。さらに、これらの影響は幼少期から生じ始め、多くの場合、時には無意識下で大人になっても残り続けます。では、そのうちのいくつかを見ていきましょう。

罪の意識や低い自尊心

子どもたちは、親に見捨てられたことで自責の念を抱くことがよくあります。こういった子どもたちは、自分は親に関心を示してもらえるほど重要な存在ではなかったのだ、という感覚を抱いているかもしれません。親にとって自分は生活を共にするほど価値のある存在ではないのだ、と感じてしまう子もいるでしょう。また、自分は何か悪いことをしてしまったのではないか、だから捨てられたのではないか、と考える子もいるかもしれません。

このため、巨大な罪の意識や低い自尊心と共に育っていきます。「自分を世界で一番愛してくれるはずの人がそばにいてくれないのだから、自分は悪い人間に違いない」と考える子もいるかもしれません。これはあなたにとっては非論理的に聞こえるかもしれませんが、彼らにとっては十分理にかなった考えなのです。このような状況を修復するのが極めて困難であることに疑問の余地はありません。

他者と親密な絆を結ぶことができない

親の育児放棄に苦しんだことのある人々は、感情表現を苦手とする傾向が強くなります。つまり、他者との間に情緒的な結びつきを形成するのがとてつもなく難しい可能性があります。

まず、親に育児放棄されることでその子にはまさに不信や疑念が埋め込まれます。そして、これらの感情が他の人々との関係性(家族関係、友人関係、あるいは恋愛関係)においても引き継がれる可能性が高いのです。

見捨てられることへの恐怖

間違いなく、これがこの問題のもたらす最も大きな影響でしょう。育児放棄された子どもは成長とともに、他の人も全員自分を見捨てるのだろう、という考えを抱くようになります。この恐怖が非常に強いがために、多くの場合、誰とも親密な仲になろうとしません。ただ誰かに見捨てられることを想像しただけで、極端なほどの苦悩が再び生まれてしまうのです。そのため、他者を避けようとしたり、あるいは逆に誰かに服従的になって依存したり、とてつもなく独りよがりになってしまったりします。

親の育児放棄 影響

親の育児放棄によるその他の影響

上記のものに加えて、学校関連の問題(学業的な問題と行動面の問題両方)もよく見られます。また、こういった子ども達は何かの中毒になったりその他の精神疾患を患ったりする危険性も高くなります。さらに、思考態度に柔軟性がないため、人生の変化に適応する際に困難を経験する可能性も高いでしょう。

育児放棄に対処するのに必要な封じ込め策、サポート、そして安全性を現在置かれている状況の中から見つけ出せない場合、成人期の発達に支障が出ることは確実です。他者と情緒的に交わろうとせず、極度の不安を抱えており、他者からの愛情を失うことを恐れていて、低い自尊心を持っている人々は、この育児放棄による影響から特にダメージを受けやすいです。

このため、親から見捨てられた経験を再解釈し直すことを目的とした心理療法が大いに役立つ場合があります。この療法を受けることで、育児放棄の被害者たちは過去の重荷を取り去ることができ、最終的には前に進むことができるようになるでしょう。

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WHOは、児童虐待を18歳以下の子どもに対する幅広いスペクトラムだと定義しています。また、「身体的や心理的虐待、性的虐待、ネグレクト、放任、商業的あるいはその他搾取など全てを含み、子どもの健康、生存、発達、あるいは、責任、信頼、権力の関係における尊厳を実際に害する、あるいは、害する可能性のあるもの」(WHO、2003 )としています。



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