恋愛関係における心理的虐待

· 2017年12月29日

これはある女性の物語です。名前のない女性としますが、彼女と同じような女性はたくさんいます。

世界で一番自分にぴったりだと思う男性、おとぎ話の王子様のように魅力的な男性と恋に落ちた女性のお話です。彼はとても素敵だったので、彼女は彼の「プリンセス」になることを決めました。

プリンセスになるために、彼女は自分の持っている自由さ、選択能力、笑顔、友人、そして家族を捨てました。自分は何でも、たとえ人間でも手に入れて支配することができると信じる自分勝手な男のために、そして自分が愛だと信じているものと引き換えに、この女性は自分の人生を犠牲にして彼のいいなりになりました。

出会い

 

私と彼との出会いは職場でした。自分の机で静かに仕事をしていた私に、同僚が「大ニュース」と言って新しい社員の話を教えてくれました。同僚は少し大げさに話す人だったので、私はゴシップやうわさ話にはさほど興味はありませんでした。

しかし、その新しい社員の男性を見たとき、私は自分が間違っていることに気づきました。薄茶色の瞳と魅惑的な笑顔を持つ彼は、一般的な男性とは違って完璧な男性に見えました。そして驚くことに帰りの電車が一緒だったので、自然と話をするようになり、徐々に親しくなりました。

 

二人の出会い

恋に落ちる

 

恋に落ちるのは無意識の行動で、徐々にその恋に夢中になる感情の変化です。自分が興味を持った相手のことを、もっと知りたいと考えることからこの感情が始まりますが、徐々に心の中も相手への気持ちでいっぱいになります。自分の目を騙すことはできても心は常に正直です。

私がこの完璧な男性に恋をしたのと同じく、彼も私のことを好きなってくれ、彼に電話番号を聞かれました。また同じ電車に乗るために彼が私を待つこともありました。そしてついに、デートに誘われました。最初のデートはロマンチックで、すべてが夢の中にいるように素晴らしかったのです。

数日が経過すると、「またね」と別れた数分後に、彼はメールを送るようになりました。彼にとって私のいない数分は、世界の終わりであるかのような甘く愛のあるメッセージでした。またお互いの家に帰る前には、彼は必ず私を強く抱きしめて離れるのが本当に辛いことを態度で表していたため、これほどまでに素敵な男性が自分を選んでくれたなんて、自分は世界中で一番幸せだと感じていました。

 

嫉妬心と孤独

 

私の親友は、彼が送るメッセージについて心配し、彼の言葉の裏に、私が彼を好きではないかもしれないという不安感が隠れていると言いました。私は、彼がいつも自分に触れ、そして一緒にいたいと感じるのはとてもロマンチックだと感じていました。彼は私にとって、輝く鎧を着た騎士であり、私が危険にさらされたらいつでも助けに来られるように、私がどこにいるか知っておく必要があるのだと思っていました。

先日は、私が別の同僚と話しているのを見て、彼は少し嫉妬を覚えましたが、これは彼の愛情表現の一つであり、彼にとって自分がどれほど重要な存在であるかを示す表現だと思いました。彼は、私が彼と出会った時に彼に微笑んだように、私が同僚に微笑んでいたから、私が同僚のことを好きなのではないかと疑いました。私は同僚に対してそういう気持ちは全くなかったので、今後はそういう態度は気をつけると彼に約束しました。彼を動揺させたり怒らせたくなかったし、彼が自分をどれだけ大切に思ってくれているか知っていたので、自分が気をつければいいと思っていました。

ある日彼が私に電話をかけたとき、私は別の人と話をしていたため電話に出ることができませんでした。彼は、私が別の男性と電話しているのではないかと思い嫉妬しました。彼が自分を過剰に「コントロール」しているようにも感じられましたが、彼はとてもフレンドリーで自然だったので、自分を愛しているからそういう行動に出るのだろうと考えていました。私は彼を許し、彼が自分を心配するのは愛してくれているからこそ、このような行動に出るのだと考えました。

 

しかし、私の考えを理解できない友人は腹を立てました。彼はこの親友には恋人がいなくて、誰にも愛されていないから私たちの関係にヤキモチを焼いているのだと言いました。また彼は、この親友が私に悪い影響を与える相手だと言いました。私は彼の言葉を信じましたが、親友との付き合いは続いていました。

ある夜、私が親友と出かけた時のことです。彼は私たちが出かけたことに腹を立て、私たちをアバズレと呼びました。また私たちの着ていた洋服が他の男性の興味を引こうとする娼婦のような服だと言いました。確かに私は彼と出かけるときにそのような洋服を着たことはなかったので、彼が怒るのも当然でした。この程度のことで彼を失うのは馬鹿げていると感じた私は、そのような格好で外出することは二度とないと彼に誓いました。

私の親友には恋人がいないので、そのような格好で外出することもできますが、私は彼への敬意を払うことを優先しました。また彼が外出して他の女性の興味を引くような衣服を身につけていたら、自分も腹をたてるかもしれないと考えたので、友人に自分はもうそういう格好で一緒に外出することはできないし、理解してくれないのならば本当の友人ではないと伝えました。

泣いている女性

恐怖心

私は、彼を失うことを恐れていました。彼は以前よりも怒る頻度が高くなり、彼から私への要求も以前よりも大きくなっていました。私が選ぶ洋服を嫌いました。例えば、スカートやVネックなど、私が彼と出会ったときに着ていた服でさえ、着ることを許されなくなりました。また私が他人に笑いかけるのを嫌がるため、わたしの行動すべてが、完璧な男性である彼を怒らせ、私から離れて行ってしまうのではないかという恐怖を感じました。彼の要求はすべて受け入れられるけれど、彼が私から離れるのは耐えられないと感じていました。

彼は、私から彼への愛が、彼から私への愛に比べて少ないといいいました。彼は私にとって大切な王子様だということをどうしたら彼は理解してくれるのでしょうか?私はどこにでもいる女性で、彼ほど完璧な男性と一緒に居られるラッキーな人間ですが、彼を手放してしまうなんて考えられないと思いました。自分のように不完全で平均的な人間が、彼ほど完璧な男性と一緒に居られることが驚くべきことなのですから。

今日、彼は私を「尻軽」と呼び、街中で怒鳴りました。彼は、私が靴屋で、店員の男性と冗談を言い笑ったことに対して腹を立てましたが、私は男性の店員を恋愛対象として狙ったのではなく、ただフレンドリーに店員が言った冗談に対して笑っただけでした。もちろん彼が私を見ていたのは知っていましたが、通りの真ん中で人の流れを止めてまで私を怒鳴りつけるとは思いませんでした。

このことを誰かに相談したいと思ったとき、私にはもう誰もいないことに気づきました。彼と一緒にいるために自分の周りの大切な人たちを、自分の生活から「排除」してしまっていたのです。

でも私は、彼を怒らせたくはありません。もちろん、彼が間違っていることもわかっていますし、彼が私をイライラさせることもわかっていますが、それでも彼を失うことが怖いのです。これが本当の愛なのかどうかは、私にはわかりません。

攻撃

 

彼は私を怖がらせますが、私を傷つけたり私に触れることはありません。私に物を投げたり、ドアを強く閉めたり叩くことはあるため、私はその場に立ち尽くして震えることしかできません。

また別の日、私が職場で上司と話しているのを見た彼が、嫉妬心から私を責めました。

もう今はどうしたら良いのかわかりません。私は彼を愛していますし、彼のような完璧な男性が自分を愛してくれているのは本当に幸せなことだと今でも思っています。しかし彼の暴力的な攻撃に対しては恐怖心を感じますし、お互いを傷つけ合いたくありません。私が仕事をやめれば彼は心が落ち着くのかもしれません。今は同棲しているので、私が仕事を辞めてもなんとか生活することはできます。

悩める女性と背後に迫る男性

本当に愛?

これは愛ではありません。 相手への心理操作、コントロール、そして依存です。あなたの洋服や化粧、そしてあなたが誰と喋るかを他人がとやかく言う権利はありません。あなたに触れていないからと言って暴力ではないとは言い切れません。言葉や行動による暴力で恐怖心を与えてあなたをコントロールする権利は誰にもありません。

本記事でご紹介した話は、心理的虐待の一例です。殴るなどの身体的な虐待は出てきませんが、この状態が続くといずれ身体的虐待が始まります。また被害者が加害者に完全に依存をすると、身体的虐待が始まりますが、被害者は他人に相談することができない心理状態になっているためなかなか表面化しません。

 

また身体的な暴力を振るわなくても、今回のケースではこの女性はすでに「ひとりぼっち」になり、彼の言うことには全て従っています。徐々に彼女の本来の姿を失い、彼の言うことに完全に従うようになります。彼が完全に彼女を支配できるようになれば、彼女を身体的に虐待することなく、コントロールすることができます

この物語は誰にでも起こりうるお話です。「名もない女性」と言いましたが、あなたの好きな名前を選んでください。あなたの姉妹、友人、近所の人、誰でも構いません。恋に落ちていると自分では考えているけれど、実際には相手からコントロールされながら屈辱的な生活を送っている人です。

このような人があなたの周りにいたら、しっかりと目を開いて、彼女の考えの上を行くように心がけてください。もちろん彼女はあなたを「排除」しようとしますが、彼女を一人にしてはいけません。彼に依存するあまりあなたに対して失礼な態度や言動があるかもしれませんが、彼女を責めてはいけません。常に自分はあなたの味方だと伝え、何かあった時はすぐに110番や119番に電話するように説得してください。

ひどい状況から抜け出すためには助けが必要ですが、誰も周りにいないとその場所に残るしか選択肢はありません。

自分を愛してくれない人のために闘うのは止めよう