臨床心理学と神経心理学の違い

臨床心理学と神経心理学には、重なる部分もたくさんありますが、2つの違いを理解することが重要です。カギとなるのは、なぜ、どのように両者が補完し合っているかを知ることです。
臨床心理学と神経心理学の違い
María Paula Rojas

によって書かれ、確認されています。 心理学者 María Paula Rojas.

最後の更新: 21 12月, 2022

心理学は、人間について知りたい、理解したいと思う所から生じた学問です。そして心理学の分野では多くの専門家が誕生しています。この専門家にはそれぞれ特化する分野があり、その中でそれぞれが成長し変化します。

また、新たなアプローチが出現すると専門性が高まり、私達が直面する疑問も増えてきます。ここでは、臨床心理学と神経心理学の違いについてお話しましょう。

臨床心理学 神経心理学

 

臨床心理学

臨床心理学アプローチの始まりは、1896年、最初の心理クリニックを開業したライトナー・ウィトマーにあると考えられています。そして、アメリカ心理学会(APA)により、この新たな分野が確立しました。

臨床心理学の当初の目的は、人が精神病的状態になる内的要因や特性を明らかにすることでした。隔離状態で人を研究するのではなく、臨床心理学では、行動をコントロールしたり阻害したりする要因を観察します。この心理学的アプローチは「異常」の研究として始まったのです。そして、これが治療や状態の説明へと発展していきました。

年月が経過し、臨床心理学の主要目的として、回復だけでなく心の病の予防が加えられました。その結果、健康的な精神的習慣を教えることで病気の進行を防ぐテクニックが発展しました。

そして、臨床心理学の専門家は、「アドバイスセラピー」と呼ばれるものを始めます。これは、日常生活で起こりうる問題を効率よく解決するよう教えるものです。さらに、感情の支えも臨床心理学の一部になっています

 

神経心理学

神経心理学は、20世紀初め、ロシア人のアレクサンドル・ルリヤにより正式に設立されました。彼の課題は、中枢神経系を損傷した人の行動を研究するためのテクニックを発展させることでした。この研究により神経科医は、損傷の部位や範囲を正確に測る十分なデータを得ることができ、最適な介入法を見極めることが可能になったのです。

神経心理学では、人の認知機能を変性させる脳の損傷に焦点を当てます。このアプローチの目標は、認知機能や行動の評価、再建です。現在、神経心理学者は、神経的発達障害を患う子どもや脳に損傷を負った患者などを対象としています。

 

臨床における臨床心理学と神経心理学の違いは?

基本的に臨床心理学では、情緒障害、人格障害、行動問題の診断や治療に焦点が当てられます。これには、うつ病、不安などの症状が含まれます。さらに臨床心理学は、多動などの行動障害をコントロールするツールも提供します。

予防としては、次の指導が行われます

  • 複雑な状況へのコーピングストラテジー
  • ソーシャルスキル
  • 感情の理解とコントロール

これらの目標は、患者が自分を知り、社会的、認知的に機能するようになることです。これにより、クオリティオブライフを高めます。

また、臨床心理学と神経心理学の違いは、臨床における機能にあります。神経心理学では、脳の変性に関連する認知的評価や感情的評価が行われます。さらに、高次機能の再建のプロセスを高め、患者が自立し、クオリティオブライフを持続できるようにします。

このように、神経心理学では、記憶、注意、学習した運動、以前に学習した情報を認識する能力、言語、実行機能などに障害をもつ人を対象とする傾向があります。また、神経心理学者は統合失調症や強迫性障害など精神疾患の認知面でも活躍します。

再建の目標の中には、損傷した部位の回復、認識機能の刺激などがあり、これを適切に機能させようとします。また、回復の見込みがない機能に関して、神経心理学は失ったものに変わるストラテジーを提供します。

神経心理学 臨床心理学

 

研究における臨床心理学と神経心理学の違いは?

今の臨床心理学の中には、精神病理学的障害のより深い理解を焦点とする分野があります。社会的規範に従い行動する人とそうでない人の違いを識別することが目的です。

また、臨床心理学の研究員は、人の発達のより深い理解にも注目しています。これに関し、情緒障害のリスクだと考えられる要因の分析を行っています。

さらに、心理療法を発展させることに焦点を当てる研究者もいます。情緒障害のより良い診断や治療につながるツールを生み出すことが目的です。それぞれの障害の特性に合った、より的確な方法を発展させようと日々努力しています。

一方で、神経心理学では違う面に焦点が当てられますが、最近では神経心理学者と認知脳科学者との協働が始まっています。協働の目的は、精神病や心の病を進行させる高次認知機能の役割を理解することです。また、これらの病気からの、より効果的な回復に向けたストラテジーの開発も進められています。

さらに、人の神経発達問題の影響の理解も研究の対象になっています脳の発達の問題と関連すると考えらえる障害、自閉症やADHDなどにも関心が向けられています。

そして、神経心理学的リハビリも忘れてはいけません。心理学者は、セラピーをより効果的にする技術的ツールをそなえたメソッドの統合に向け、日々働いています。このようなツールが患者の日常生活にきちんと反映されるよう発展を進めることで、セラピーの全体的な結果を向上させることがねらいです。

 

さいごに

臨床心理学と神経心理学には違いがありますが、臨床や研究において互いに補完し合っています。精神病理的、または神経心理学的障害の適切な診断と治療には、両者の目が必要です。つまり、臨床心理学と神経心理学の2つのアプローチが、人の自律やクオリティオブライフの治療上の目標の到達に役立ちます

臨床心理学と神経心理学に違いがあるのは事実です。そしてそれぞれ特化する臨床的範囲が異なります。一方は情緒、行動障害に焦点を当て、他方は認知的欠陥や脳の損傷に焦点を当てています。

そして研究に関してはそれぞれ道が異なり、それぞれに関連する専門性の高い分野に焦点が当てられます。ひとつのアプローチが発展すると使える材料が増え、心の病の多くの面の理解につながるでしょう


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