説得の心理学について学ぶ
人の態度や行動を変えるための、正しい説得のテクニックに関する社会心理学的研究が、もう何年もの間なされてきています。これは広告やキャンペーンをより魅力的なものにするだけでなく、より健全で適切な行動へと導くという目的もあります。
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行動の定義
イーグルとチェイキンは、行動を「目的に対して好意または不利を生み出す心理的傾向」と定義しています。行動の概念は通常、結合価(目的のポジティブまたはネガティブな特性)や強度(結合価の段階付け)の側面によって示されます。
通常行動はポジティブまたはネガティブのどちらかですが、中間のどちらでもないものにすることも出来ます。ローゼンバーグやホブランドは行動を3つの概念に分けています。
・情緒的(喜びや嫌悪の感情)
・認知的(信念、意見、思考)
・認知的行動(行動の意図または行動)
社会心理学の領域では、専門家は行動変化の試みに対する異なるテクニックや戦略を示しています。以下がその一部です。
・直接的な経験と行動を含めた戦略
・誘発された自己満足のパラグラムと認知的不協和の理論のような、インセンティブ誘発手段。外部の報酬を持ち込んだ時の相互的な行動に対する行動の変化といった別な例もあります。これによって内部の動機付けが減少します。
・社会的媒介戦略。これについては次で詳しくご紹介します。
これらのテクニックがどのように行動に変化を与えるかを知っておくことが大切です。なぜなら、私たちがどれだけメディアに踊らされているのかが見えてくるからです。
説得の心理学
特定の変化は、人々の行動に変化をもたらす説得の心理学のカギとなります。
・情報源の魅力と信頼性
・合理的で感情的なメッセージ
・例えを用いたプレゼンテーション
・受け取る側の自己信念
特に人の行動に影響を与えるようデザインされたテクニックもあります。以下が主なテクニックです:
友情や喜びに基づくテクニック
好かれる
このテクニックはターゲットに「好かれる」ことを基本としたものです。好感を持たれることで、相手がこちらの求めるものに応えようとしてくれます。例えば、顧客のサービスを、見た目の魅力的な男性や女性がすること。またはレストランでは顧客の気分を良くするため、丁寧で礼儀正しいサービスをするなどです。
他人に対して魅力を感じる時、人はハロー効果によってその人が勧めるものも魅力的であろうと感じるのです。
自己アピール
これは見た目や外見を改善し、ポジティブな言葉の合図(笑顔、相手の目をまっすぐ見るなど)またターゲットが好む人や事実と自分自身を関連付けたりすることです。例えば本の宣伝にファッションライターを連れて行くなどです。人々が集まり話を聞きながら、上手く行けば本も買ってもらえるというやり方です。
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おだてる
これはターゲットに焦点を当てたものです。無料のギフトを配るなど、ターゲットをおだてたり、同意したりします。
コミットメント、または一貫性に基づくテクニック
将来の可能性を広げる
利益となる購入や取引の将来的なチャンスを広げるため、小さなものから勧めていきます。例えば、香水のサンプルを渡すことで、受け取った側はその会社に恩があると感じ、普通サイズの香水を購入します。
意図的な低い見積もり
顧客は大切に扱われるものの、取引が成立した途端、変更を余儀なくされる「予期しない」出来事が起こります。つまるところ、売り手は買い手より上手(うわて)なのです。最終的に、買い手は当初の条件から変更があったものの、買わざるを得なくなるというわけです。
例えばセールスマンから、コンピューターマニュアル、ワイアレスのマウス、テキスト編集ソフトウェア付きのコンピューターを購入するとします。突然、テキスト編集ソフトウェアはなくなったが、他の物は付いて来ますと言われます。一旦取引が成立しているため、たいていの場合は結局購入することになるでしょう。
エサと変更
売り手の話しや宣伝では、ある製品が手ごろな値段が売られています。ところが購入しに行ってみるとそれが売り切れていたり、または思っていたほど良い製品でなかったりします。ここで商品販売のチャンスが広がるのです。つまり買い手は考えていたより高めの商品を購入したり、または質の低い商品やサービスを手にすることとなるのです。
例えば、子供が欲しがる最新のおもちゃのカタログがあります。急いで購入しに行くものの、すでに売り切れていたり、または同じものではないものの似たようなおもちゃが置いてあるといった感じです。
相互関係に基づくテクニック
高めの設定
これはターゲットが受け入れないであろう数字からわざとスタートします。当然相手の答えは「No」。その後もっと低い額を提示することで、実際は目的としていた値段で売りつけます。
例えば本当は2,000円のクラスを勧める時、始めは4,000円と言います。相手が「いらない」と言ったら2,000円に割り引きますと勧め、受け入れやすくします。
おまけ
まずは目的のものを勧め、ターゲットが答える前におまけを提案し、さらに魅力的なものだと主張します。例えば、電話会社が携帯電話を勧めます。話をしながら「思い出したかのように」おまけで固定電話も付けると提案します。
仲良くなる
ターゲットとより親しくなることで、目的を達成しやすくします。
欠乏に基づくテクニック
手に入りにくい商品
これは、その商品がなかなか手に入らない、もうあまりないのだという事を伝えることによって、それが更に魅力的に感じるよう仕向ける手法です。恋愛でも良く見られますよね。手に入りにくいものほど魅力を感じるものです。
期限
今しか手に入らない、今だけの値段だという謳い文句です。ブラックフライデーなどがその例です。
その他の手法
・好奇心を刺激する;ターゲットの好奇心を刺激することで、購入意欲を上げます。
・いい気分にさせる;ターゲットを楽しませ、良い気分に盛り上げます。そうすることでターゲットは拒絶しにくくなります。
・不平不満;不平不満や怒りを口にすることがターゲットの態度を変えるように、それを使って説得することもできます。女性は不満をあま他人に言わないかもしれませんが言う時ははっきりと言います。また女性は親族の不満に敏感です。
まとめ
私たちの周りはこのようなテクニックで溢れています。私たちの社会には、人の行動を変えることを目的としているものが多く存在します。例えばメディア、キャンペーン、政治運動などで、考えをすり替えたり商品を売るために使われています。
ご紹介したような説得の心理学を知ることで、こういったやり方に対応することが出来るようになります。相手のトリックにはまらないようにしましょう。彼らは商品を購入させようとするだけでなく、あなたの情報も奪おうとします。
過去に必要のない買い物をした経験があるかと思いますが、それをしっかりと覚えておきましょう。自分の意志でなく社会に影響された結果なのです。
撒かれた餌に食いつく前にそれに気づく事、そして自分の意志で選択することが大切です。そうすることで、他人の影響ではない自分の決定に対し、より前向きに責任を感じることが出来るようになるのです。
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- Morales, F.(1994). Psicología Social. Madrid: McGraw-Hill.