幸せで生産的になるためのワークライフバランスの整え方
ワークライフバランスを達成するのは常に簡単というわけではありません。近年ではテクノロジーの発達により、日中も夜間も仕事に縛られてしまう人が多くいます。もしそのような状況に置かれているなら、ワークライフバランスの実現はより難しいものとなるでしょう。だからこそ、バランスを再び取り戻せるようリミットを設けてやることが大切なのです。
手始めに、仕事の時間を増やすことが必ずしも生産性のアップに繋がるわけではない、という点を認めることが不可欠です。つまり、家族や趣味に使うべき時間を無駄に使っても、それまで以上に生産的になれるというわけではありません。
実際には、仕事に追い込まれることで、ストレスフルな状況を生み出してしまうことが多く、それが不満感や不幸感に繋がってしまうことがよくあります。そのため、生活のあらゆる側面に関してバランスを整えることが、幸せな暮らしを楽しむための基本的なカギとなるのです。
“成功者というのは、生活のあらゆる側面に関してバランスよくサクセスストーリーを持っているような人のことだと思います。もし仕事がうまくいっていても、家庭が崩壊していたら真の成功者とは見なされません”
–ジグ・ジグラー–
ワークライフバランスを整える必要がある時の兆候
トム・フライヤーズは、自身の出版物の中で、働き過ぎている人々を3種類に分類しています:
- 事業主としてビジネスを行っており、それがなければ成功できないと感じている人。
- 雇用されてはいるものの、仕事に完全に没頭してしまっていて離れることができないような人。学者やヘルスケアワーカーに、この問題を抱える人々が見られます。
- 文化圏や職場、あるいは社会が長時間労働を求めるせいで、長い時間働かねばならない人。こういった人々は、職を失わないようにするため、あるいは昇進するためには150%の力を出して取り組む必要がある、と信じ込んでしまっていることが多いです。
最初の二つのグループは、自分自身の意志でより多く働こうとする傾向のある人々から成りますが、三つ目のグループは違います。このグループの人々は、不均衡なワークライフバランスによるネガティブな影響をより鋭敏に感じてしまうようです。
この現象が起きるのは、最初の二つのグループでは、人々はどういった形であれ自らそのようなライフスタイルを選んでいますが、三つ目のグループではその傾向がほとんどないためです。だからこそ、彼らは自分たちの行っていることに対して満足感を感じることが少ないのです。これが転じて、自分の人生を思うがままにコントロールできていない、という感覚を彼らに抱かせてしまいます。
以下が、ワークライフバランスがベストの状態とは言えないであろうことを示す兆候です:
- 同僚よりも労働時間が多い
- 一日の終わりになっても、仕事と自分を切り離すことができない
- また、個人的な自分の価値は仕事の成功によってのみしか測ることができない、とも感じている
- 個人的な人間関係に苦しんでいる
- 仕事が健康に悪影響を与えている
- かつて楽しんでいたような趣味やレクリエーションを忘れてしまった
- どれだけ頑張ってもいつも自分は劣っていると感じてしまう
理想のワークライフバランスを取り戻すための5つのアイディア
ワークライフバランスを取り戻すためのカギは、仕事面を自分でコントロールできるようにすることです。結局のところ、生活の中でも仕事というのが他のあらゆるものに最大の影響を与える部分だからです。どれくらいの時間働いて過ごすのかや、勤務時間が終了した後に行う仕事、そして何をより重視するかの決断といった事柄は、全て自分で決めて良いのです。
このように、ワークライフバランスを達成することは可能なのです。前述の通り、仕事と生活のその他の面とのバランスを整えることは、全体的な幸福感を高めることにもつながります。
また、一週間の労働時間を長くしたとしても必ずしも生産性が増すわけではない、ということが研究によって示されています。事実、週に49時間以上の労働は、労働者の生産性に悪影響を与える可能性があるのです。
1. 1日をどう過ごしたか記録するために日記をつける
あなたは1日をどう過ごしていますか?自動的に物事をこなしてしまっていますか、それとも自分に起こっていることについて全て把握していますか?そのことについて考えることが重要です。1日のこなし方を変えるための第一段階は、自分がいる場所、行っていること、そしてそれがどう自分に影響しているのかを受け入れることです。やり方やツールは色々ありますが、最も簡単なのは日記をつけることでしょう。
このやり方で、1日の中でどんなことが自分の気分を悪くしたのかについて詳しい説明を書き残しておくことができるのです。そうすれば、仕事の効率化アップ計画を始めることができるでしょう。
2. 整理し、優先順位をつけ、不要なものを切り捨てる
何に時間を使っているのか把握することがワークライフバランスを整えるために大切な点でしたが、次のステップは、何に時間をかけるべきかや、どの部分を切り捨てるべきかを決めることです。
ここで大切なのは、妥協しない姿勢で取り組むことでしょう。つまり、必要なのものを優先させ、エネルギーを奪われるようなことや自分の役に立たないようなことを切り捨てていくべきだということです。
“忙しく働くことだけでは十分ではありません。蟻だって同じように忙しくしています。問題なのは、一体何をするので忙しいのか、という点です”
3. ワークライフバランスのためのデジタルデトックス
テクノロジーを頻繁に使うような仕事に従事している場合は、日常的にデジタルな世界から自分を切り離す習慣を作ることが効果的です。例えば、1日の中で、携帯電話を触らないようにする時間帯を設けてみましょう。
最近行われたある研究では、時間外労働を行うことと被験者の心の平穏が損なわれることの関連が示されています。また、被験者の気分とエネルギーレベルの関係についても明らかにされました。
ごく日常的な、業務連絡に返信しなければならない、というようなことを考えるだけで、自分がまるでまだ仕事中であるかのような気分になってしまいます。
この調査の責任者が指摘しているように、労働時間以外の時間であっても、雇用主が労働者にその時間を仕事上の問題の解決のために充てるように期待しているのであれば、それは実際には自由時間には含まれません。仕事のストレスの大部分が、この整合性の無さから生まれているのです。
おそらく、あなたも自分を仕事に縛りつけるようなテクノロジーからは距離を置く必要がある、と感じるでしょう。あるいは、少なくとも、いつでも仕事に駆り出されてしまうという状態を改善していくべきかもしれません。
4. 完璧主義をやめる
働きすぎたり、ワークライフバランスを崩してしまう原因の一大要因に、できる限り最高の仕事をしなければならない、というニーズの存在が挙げられます。事実、期待されているよりも大きな働きをしなければ、失敗してしまったり罰されてしまうのではないか、と信じ込んでいる人は少なくありません。中には、これにより職を失ってしまう恐れがある、とすら考える人もいるのです。
完璧主義傾向がかなり強いような人々の抱える問題の一つが、ミスを自分だけのミスだと考えてしまうというものです。そうではなく、ミスが起きるのは自然のことで、学習と成長の過程で当たり前に発生するものだと考えるべきなのです。これにより、こういった人々は以下のような悪習慣の犠牲となってしまうことがあります:
- 自分自身に期待するレベルのタスクを達成することができないのではないか、という恐れからくる作業の遅延。
- 適切に仕事を完了させなければならないという思いから、他の人々が期待した以上の尽力をしてしまう。
5. 時間の無駄になるような活動や人間関係を減らす
ワークライフバランスは、仕事とそれ以外を切り離すことによってのみ成立するわけではありません。仕事面とプライベート、両方の面で満足感を得ることも大切なのです。
生産性の高さによって、自分は重要な仕事をしているのだ、という感覚を得ることができます。そうはいっても、より生産性を高めようとするあまり、家庭での生活でも要求の多い習慣に陥ってしまったり、個人的な生活をないがしろにしてしまうケースも比較的多いのです。
だからこそ、何らかの種類のレクリエーション活動をするために時間を使うことが大切なのです。この活動は、本心からやりたい、と思えるようなものにしましょう。また、自分が心から一緒にいたい人々や、良い気分で交流できるような人々とともに過ごすようにしてください。
時間の無駄に感じてしまうような活動や人間関係は、ストレスの元となってしまう恐れがあります。さらに、忘れてはならないのが、時間を無駄にしていると感じることで、仕事に関連する活動にまた戻りたくなってしまうという点です。