「自然環境不安」とは一体どんな不安?

04 8月, 2020
気候変動は、人類が直面している中でも非常に深刻な問題です。結果としてこれが、多くの人々をひどく不安な気持ちにさせています。

過去5年間を洞窟の中で暮らしてきたような人でもない限り、グレタ・トゥーンベリさんのことを知らない人などいないでしょう。しかし万が一ご存知ない場合に備えて説明すると、彼女は17歳の環境活動家で、この惑星を気候変動から救うことに並々ならぬ情熱を捧げている人物です。

グレタさんのスピーチを聞いたりそのあらゆる活動を観察すると、もしかしたら彼女は自然環境に対する不安症状に悩まされているのではないか、という疑問が湧いてきます。果たして本当にそのような可能性はあるのでしょうか?

実際のところは正確な答えがあるわけではありません。なぜなら、科学的に言えば、「自然環境不安」などと呼ばれる心理的症状は存在していないからです。しかしながら2019年、気候心理学同盟の専門家グループがこの心理状態を指し示すためにこの用語を作り出しました。この言葉は病理というわけでは一切なく、現実的で理にかなった懸念状態を指しています。

自然環境不安とは?

この用語について、最大限シンプルに考えてみましょう。基本的に、自然環境不安とは自分たちが暮らしている自然環境への憂慮を指す言葉です。この不安は、環境破壊や気候変動、汚染問題、そしてあらゆる生態系に関わる問題や、人間の行動や生産活動が原因で引き起こされた、あるいは強められた自然災害などに対して抱かれます。

こういった問題について心配してしまう人々は、自分自身や周囲の人々が災害などの犠牲になるのでは、と考えて不安状態に陥ります。さらに、世界の今後に思いを巡らせてとてつもなく心の平穏が脅かされてしまうこともあるのです。

ただ、これを実際の病である不安障害と混同してはいけません前述のように、自然環境不安は病理と見なされておらず、特定の臨床像が提示されるわけでもないのです。

にも関わらず、アメリカ心理学会(APA)はこの用語の定義を2017年に決定しています。環境破壊に対するこの慢性的な恐怖心は既存のメンタルヘルスの問題を悪化させたり、あるいは以前には有していなかった心理的問題が起こる引き金になり得る、と考えています。

また同学会は、2019年に環境不安を抱える人々が全体的に増加したと述べています。これは各地で起こった自然災害や、環境関連の情報を伝えるメディアの影響によるものでしょう。

“我々のこの惑星での暮らし方を見るに、まるでここがダメになったら次に行く場所が決まっているかのようだ”

-テリー・スウェリンゲン-

自然環境不安

気候とメンタルヘルス

気候はどんな人の心にも直接的に影響を与えます。現在進行形で起こっている現象により被害を受ける人もいれば、一方では将来起こり得ることを危惧して不安を感じている人々もいます。例えば、気候変動が原因で今後数年間のうちに一部の島々が完全に水没してしまうであろうという事実は、不安を感じている人たちにとっては恐ろしいほどの懸念事項でしょう。

しかし、どちらの場合であれ人々が感じ得る感覚は様々です。例を挙げると、怒りやショック、恐怖、そしてこれら全ての感覚の組み合わせが、度合いの差はあれど心的外傷後ストレス障害に繋がる恐れがあります。

さらに、気候変動がもたらす結果により経済や社会活動も影響を受けます。自然現象は農業や家畜業、そして多くのインフラ業などあらゆる産業にダメージを与える可能性があるのです。結果としてこれが、人々の心に宿命論的感覚を植えつけたり、勃起不全に悩まされる男性が増えたり、様々な種類の精神疾患が起こるといった問題につながる場合があります。

科学誌『Global Environmental Change』は、うつ病や不安症状を自然環境と関連づけるような研究を発表しました。実は、自然環境不安に最も脅かされているのは女性や収入の低い人々だと見られています。ただし、これに関してはまだはっきりとしたデータが存在していません。

自然環境不安に苦しむ人々に関してわかっていること

まず、不安症状の中には特定不能な、あるいは(その脅威の規模や実際に危害を受ける可能性を考慮すると)不相応な恐怖心が存在する、と言えるでしょう。しかし、生態学的観点から見れば、自然破壊は実際に起こっている問題です。

もっと言うと、身の安全が脅かされていると言う感覚は、環境破壊への焦燥感が招く自然な反応なのです。これに加えて、自然環境不安という問題が実在することを支持するデータでは、こういった要素は女性たちに特に顕著に見られることが示されています。この理由は、女性の方が環境汚染や地球温暖化、そして気候変動などにより不安を感じている傾向が強いためです。実は、多くの女性たちがこれらの問題により自らの妊娠や出産にまで影響が出てくるだろう、と考えています。

また、若者たちの中にも強烈な自然環境不安を抱える人が多くいます。ティーンエイジャーや30代以下の若い世代、そして子どもたちまでもが自然環境に大きな関心を寄せており、将来に対してかなりの不安を抱いているのです。一方中高年世代がこの問題を憂慮するのは、自分の子どもたちの発達に及ぼされる影響を恐れているためという、若者とは少し違った理由です。

自然環境不安

自然環境不安の解決策はあるのか?

幸い、この種の不安を和らげるための時間はまだ残されています。このような状態が継続すれば、これが多くの人にとってより深刻な問題となっていくだろうことに疑いの余地はありません。この問題の最も理想的な解決策は、社会的・経済的行動を改めたり、衝動的な消費やビジネスをやめたり、より環境に優しいエネルギーを取り入れ始めたりすることです。

これに加えて、レジリエンスを高めることも必要です。そうすることで、人間の精神にもポジティブな効果をもたらしてくれるような調和のとれたエコフレンドリーな方針とともに生きていけるようになります。

車を使う頻度を減らしたり自然に囲まれて過ごす時間を増やすなど、健康にも良いような習慣を持つことでも、自然環境不安を和らげることが可能です。全てはあなた次第ですよ!

Burns, D. (2012). Adiós, ansiedad. Paidós Editorial: Barcelona

Kormondy, E. (1978). Conceptos de Ecología. Alianza Editorial: Madrid

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