集団凝集性:凝集性と成果の関係

07 1月, 2020
集団凝集性とは、グループがどのように形成され、どのように構成員に影響し、様々な側面(例えばグループのパフォーマンスなど)でどのような結果を出すのかを理解するのに、最も重要な要素の一つです。この記事では、最小条件集団パラダイムのような研究を取り上げながら、集団凝集性とは何でどのようにグループ全体のパフォーマンスに関係していくのかを説明します。
 

規範、地位、影響力、名声、差別化など、多くの要素が集団構成を特徴づけます。多くの人が知っていることではありますが、集団は役割、規範、そして結束性に基づいて機能します。これらすべての要素が接着剤のように人々を集団へとくっつけていくのです。

このようにして、人々は一緒になって集団を作り上げていきます。しかし、それだけでは必ずしも集団になり切っているとは言えません。一つの集団には、構成員に共有されたアイデンティ、構成、そして独立性が必要です。これらの変数を基にすると、個々のグループの集団凝集性はそれぞれ違うものであると言って良いでしょう。

そのため、凝集性とはグループの「接着剤」なのです。その凝集性には様々なタイプがあります。それらがどんなものなのか見ていきましょう。

  • 個人的興味に基づいた凝集。この凝集は、グループの構成員をまとめる力として定義できる相互依存をその基としています。集団構成員間の共通の興味や相互報酬の魅力などの結果として現れます。例えば、学校の友達との間にできる結束性です。
  • 目標に基づいた凝集性。この凝集性の基礎は、その集団に属していれば目標達成の助けになるから残りたい、という感情です。普通は、集団構成員は自らの目標達成がその集団外では困難だと考えます。結果として、特定の課題や利益がある限りはその集団に留まります。例えば仕事に存在する凝集性がこれにあたります。
  • 集団の魅力に基づいた凝集性。そのグループの活動がどれだけ興味深かったり魅力深いかに基づいてグループが結束する場合もあります。この場合、構成員間の類似性や達成可能な目標などは関係ありません。人々が、その組織と組織が行う活動が好きだから凝集性が存在するのです。この凝集性は、個人のゴールや目標以上のものにアピールする会社や、非営利団体のような集団に見られます。

集団凝集性パラダイム

今の世界は、瞬く間に大企業が築かれる非常に国際化した場所です。しかし時に人は、より大きな全体の利益を優先するがために、個人や集団心理の大切な要素を無視してしまうことがあります。

企業の経営者は従業員の生産性を最高に高めようとするものですが、時に不必要なツールを使ったり、上手くいかない方法を通してそれを達成しようとすることがあります。強化するべき要素を見極めきれていなかったり、取り入れることが出来ないのです。こういう時の問題が集団凝集性であることがあります。

不注意で質の低い組織作りは、最も高い生産性を達成するために共に働く人々の団結を邪魔します。報酬で生産性を高めることは出来るものの、集団凝集性とパフォーマンスが相互作用するかどうか、その関係について知ることの方が賢明な解決法であると言えそうです。

このために、ここでは相互依存、アイデンティティの共有、そして構造という点から集団凝集性について論じていきます。中には、実験を通して集団凝集性を説明しようとしたパラダイムもあります。つまり、集団凝集性が人々の振る舞いと生産性を予測する際に大きなカギとなることを結論付ける助けとなった実験です。

集団凝集性
 

最小条件集団パラダイム:アイデンティティの共有

最小条件集団パラダイム(Tajfel et al.. 1971)では、研究者たちは次のような問題を提起しました。

個人の集まりが集団として認識される最小の条件とは何か。

この実験では、お互いを知らない被験者が二つのグループに分けられました。クレーのグループとカンディンスキーのグループです。この実験を通して、お互いを知らなかった場合でも、個人が社会的アイデンティティをグループの中で形成し、それをひいきするのかどうかを研究者は見たかったのです。

その答えはイエスでした。77%の人が自分のグループに利益がある選択をしたのです。15%の人がどちらにも公平に振舞いました。しかし、全体的な傾向としては、たとえ一人が損害を受けることになったとしても、体系的に自分のグループみんなが利益を得られるようにするということが観察されました。

最小条件集団パラダイムを通すことで、社会的カテゴリ―に基づいて集団凝集性を説明することが出来ます。人々がグループを作り上げることが出来るという事実は、それだけで十分な差別化の要素であるようです。

社会的アイデンティティ理論:指標としての自己概念

タジフェルは、人の心理の重要な変数の一つである自己概念を分析することで集団凝集性を掘り下げます。簡単に言えば、自己概念とは個々人が自分に対して持つイメージのことです。自己概念において、考慮すべき二つの点があります。

  • 個人的アイデンティティ。これは意味と感情が定義するもので、個人の感情的経験と最も本質的な側面から生まれる自己概念。
  • 社会的アイデンティティ。社会グループに属することで生まれる自己概念で、そのグループに付随する価値や感情的意味が関わっている。意外に思われるかもしれないが、人々が持つ自己意識には、社会グループの中での自分の位置から生まれる側面がある。

一つのグループに本当の意味で所属するためには、まず自らを知ることが大切です。さらに、グループの所属を定義する必要不可欠な要素が、個々の構成員が自分のアイデンティティにポジティブな側面を付与することを求めるという事実です。とある集団の一側面から利益を得る構成員がいる一方で、それが他の構成員には不利益であるという場合もあります。

この理論から、集団凝集性は個人の自己概念を維持する必要性から生まれると言えます。集団に属そうとする人は、自らの自己概念をポジティブに発達させたいのです。

集団凝集性

集団凝集性と成果の関係

社会心理学で行われてきた研究や実験と、特定のグループが結束する既知の理由から、集団凝集性とグループの成果の間の関係性についてある結論を出すことが出来ます。

 

必要充足モデルによると、集団凝集性はその集団のパフォーマンスの前提とはなりません。実際はその逆のようです。パフォーマンスが凝集性を高めるのです。例えば、ある政党が選挙で勝ったとすると、その結果のおかげでグループの凝集性は高まるでしょう。

これらの要素の関係性とは

データは、以下の結論を示しています。

  • 集団凝集性とパフォーマンスの間には多大な関係性が存在する。
  • これは特に自然にできたグループや小さなグループに良く見られる
  • グループ活動を効果的に実施するのに密度の高いやり取りが必要なグループが、凝集性と成果の間により強い関係性を示すとは限らない。
  • 凝集性と生産性の関係を説明するのに最善の要素は、課題への献身度である。
  • 個人的興味や集団の魅力は副次的な役割である。
  • 上述したように、パフォーマンスが凝集性に持つ影響力の方が、凝集性からパフォーマンスに対するものより大きい。

集団凝集性は、相互作用、規範、プレッシャー、調和、集団アイデンティティ、集団思考、パフォーマンス、権力、リーダシップと言った集団現象の基盤です。

凝集性が強いほど、グループがその構成員に与えるプレッシャーや影響力は強くなります。これは社会感情面でも構成員がこなすべき課題に関する面でも言えることです。その一方で、凝集性を生み出し、結果グループが個人に影響力を持つことを可能にする魅力と言うのは、構成員の個人の特徴やグループのゴールから生まれるものであると言えます。