ストレスホルモンとその役割について知ろう!

コルチゾールなどのストレスホルモンは、人間が過酷な状況に対応するのを助けてくれる、とても重要な存在です。しかし、そのストレスが長期間にわたって絶え間なく存在していると、問題が生じてしまいます。これらのホルモンが身体に与える衝撃は絶大です。それについて今回の記事で分析していきましょう。
ストレスホルモンとその役割について知ろう!

最後の更新: 10 2月, 2021

ストレスホルモンは、全ての生き物にとって非常に重要な物質です。危険から逃げる、周囲からの要求に反応する、問題解決のために頭脳を働かせる、試験を受けるにあたって自分の持つあらゆる精神的能力を「覚醒」させる、などといった生きる上で欠かせないプロセスは、ストレスホルモンという小さな、しかし強力な分子の働きがあってこそ成り立っています。

「ストレス」という言葉を聞くと、おそらく大抵の人が良くない経験を連想するでしょう。誰だってストレスが日常生活に与えるダメージについて知っていますよね。事実ほとんどの人が、心配事や外部からのプレッシャーから引き起こされた筋肉の痛み、消化器系の問題、頭痛、不眠、そしてその他の健康問題に苦しんだ経験を持っています。

これらのホルモンが生み出す生理学的変化は、非常に強烈で人で消耗させるようなものになりかねません。

ただし、ある一つの側面についてははっきりさせておく必要があります。それは、こういった科学的反応が存在しなかったら、人間はこの世に生き残ってはいなかっただろう、ということです。私たちが日々の苦難に反応し、どんどん複雑さを増していく環境に適応できているのは、ストレス応答という仕組みのおかげなのです。

要するに、現在の私たちには先史時代の祖先たちが直面してきたのと同様の危険から身を守る必要はないものの、人々が日々過酷な要求につきまとわれていることは間違いありません。

この情緒的反応に関連するホルモンネットワークのメカニズムを理解するのは絶対に面白い体験になりますし、得られる知識はとても有益ですよ。

ストレスホルモン

ストレスホルモンって何?

人は皆、いかなる脅威にも反応できるようプログラムされています。それが外部からの脅威であれ具体的な危険であれ、心の内側にある懸念から引き起こされたものであれ関係ありません。現代社会では、職場環境が生み出す特定の状況や経済的・精神的問題などがストレスの引き金となっています。

今の時代の脅威や危険、そして試練といったものは目で見ることができません。つまり、例えば先祖の時代には捕食者などの目に見える脅威だったものが、現在ではわかりにくいものに変わっているのです。生物学的反応であるストレス応答により私たちは、無数の身体的・心理的リソースを活性化することができるようになります。これらの反応は潜在的な危険と対抗する上で役立ちますし、実はすべてが極めて正常で予測可能な現象なのです。

しかしながら、本当の問題はこのストレス状態が継続している時に襲ってきます。ふさわしいやり方でその問題に対処できないでいると、そして適切なコーピングメカニズムを利用しないでいると、ストレスホルモンは絶えず働き続けます。すると、身体の違和感や健康リスクが出現してしまうのです。

それでは、このホルモンネットワークがどのように機能しているのか見ていきましょう。

コルチゾール、私たちの反応を促進するホルモン

コルチゾールは、人の体内の多様なプロセスを調節しているステロイドホルモンです。ストレスへの反応において重大な役割を果たしていることに加え、このホルモンは多くの代謝活動や免疫応答に関連する活動でも中心的な働きをしています。

コルチゾールの分泌を調整しているのは、視床下部と脳下垂体および副腎です。

  • コルチゾールの受容体は、人間の持つ細胞のほぼ全てに含まれています。この事実がすでに、このホルモンが関与するプロセスがいかに多いかを示唆していますよね。
  • コルチゾールは例えば、身体の血糖値レベルを制御したり、塩分と水分のバランスを整えたり、血圧を調節したりする上で大切な役割を果たします。
  • 日中は夜間よりもコルチゾール値が高く、これにより昼間の間活動的に過ごすことが可能になっています。
  • 一方で、ストレスや不安感に長期間にわたって悩まされているとコルチゾール放出量が超過してしまい、深刻な影響が出る恐れがあります。高血圧、気分の浮き沈み、筋肉の痛み、骨粗鬆症、体重の変化などがその例です。
ストレスホルモン 役割

アドレナリン、危険に直面した時助けてくれるホルモン

ストレスフルな状況を経験している時、手は汗ばみ、心臓は拍動を速め、口が乾燥してきます。この反応を司っているのが、ストレスホルモンの中でも重要度の高い、アドレナリンあるいはエピネフリンというホルモンです。

ここで、この物質には神経伝達物質としての機能もあるという点を指摘しておきましょう。副腎で生成され、主にストレスや危険、興奮が生じている時に放出されます。

血流にアドレナリンが放出され始めると生じるのが以下のような変化です。これらの変化には、「身体を闘争あるいは逃走に備えさせる」という共通の目的があるという事実を覚えておきましょう。

  • 心拍数が増加します。
  • より多くの空気を吸い込めるようにするため、呼吸容量が向上します。
  • アドレナリンによってグリコーゲン(筋肉や肝臓に蓄積されている多糖類エネルギー)が分解されます。
  • 血管が拡張され、血流が促進されます。
  • 最後に、神経細胞間の接続が促進され、情報がより素早く伝達されるようになります。

バソプレシン、ストレス応答の調整役

バソプレシンは抗利尿ホルモンとしても知られている通り、体液貯留を促してくれるホルモンです。しかし近年、ストレス応答においても重要なホルモン要素であることが科学者たちの手によって明らかになってきました。

2017年にエディンバラ大学で行われたこちらをはじめとするいくつかの研究が、バソプレシンの意義をもう少し深く理解するのに役立つデータを提供してくれています。

  • バソプレシンには、ストレスあるいは不安を生み出すような状況に対する身体の反応を調節する効果があります。
  • ストレスホルモンの中でもバソプレシンが中心となって果たしているのは、ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)の放出を促進するという役割です。ACTHはコルチゾールなどのコルチコステロイド の分泌を促します。
  • また、このホルモンにはもう一つ興味深い側面があります。それは、ストレスフルな環境変化への反応を制御している一連の視床下部ニューロンで合成されているという点です。これはつまり、脳が自分は今試練に直面していると解釈した時に、バソプレシンが放出されるということを意味しています。これは、その状況に反応できるようになるために必要な生化学的変化全体を開始させるためです。

まとめ

まとめると、お分かりのように、日々の危険に反応するために脳が作動させる一連の反応それぞれは、シンプルに行動を起こす準備をするためのものであり、それ以外の目的はありません。結局これこそが、つまり、危険を前にした時に行動を起こさせ、その脅威を排除しようと試みれるようにさせることこそが、ストレスの持つ役割なのです。しかし、不安と苦悩を生むこの状況をズルズル長引かせるとその分ダメージを受けることになりますので、そのことは頭に入れておいてくださいね。

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  • Antoni, Ferenc. (2017). Vasopressin as a Stress Hormone. Neuroendocrinology and Neurobiology (págs. 97-108) 10.1016/B978-0-12-802175-0.00009-7.