ストレスで普段よりたくさん食べてしまうのはなぜ?
人はなぜ、ストレスを感じていると普段よりたくさん食べてしまうのでしょうか?ストレスと食べ物との関係には、長い歴史があります。世界中で多くの人々がストレスに晒されていますし、現代社会は情緒的・社会的問題の解決方法を知っておかねば生きていきづらい状況です。
1962年に、ハンス・セリエという人物が、世界で初めて「外部環境からの要求に対して人体が起こす非特異的反応」としてストレスを定義づけました。自身がストレスフルであると見なしたものにはその刺激の原因が何であれ、人体は毎回似たような反応を起こします。
そのため、かなりの身体的あるいは心理的ストレスが生じている時、私たちの身体は肉体的・生物学的変化、およびホルモン変化を経験することになるのです。
そして、このプロセスには体内のほぼ全ての器官が関与しており、ここには脳や神経、心臓、胃、筋肉などが含まれます。ストレスを感じたこれらの器官は、中枢神経系や内分泌系、免疫系を過剰に活性化させるのです。すると、アドレナリンやノルアドレナリン、コルチゾールといったホルモンが正常時より多く生成されます。
何がストレスを引き起こしている?
ストレスは二つの要因によって生じます。一つ目は、財政的問題や感情的問題、あるいは仕事の問題といった外部的要因で、二つ目が痛みや病気や心理的問題などの内部的要因です。
ストレスを長期的に経験していると、健康面に支障が出る恐れがあります。病気になりやすくなったり、摂食障害を発症する可能性が高まってしまうのです。そしてその摂食障害の一つには、ストレスを感じると普段よりたくさん食べてしまう、という病状が含まれます。
“不安感は、セロトニンもしくはストレスを中和するその他の神経伝達物質を増大させてくれる物質にすがりたい、という欲求を生じさせます。大抵の場合、これらの物質は砂糖が多く含まれる商品や脂肪分の多い食べ物です。また、ストレスはコルチゾールの生成や脂肪沈着を増やします”
-Javier Aranceta-
ストレスを感じると食べ過ぎてしまうのはなぜ?
ストレスは食欲や空腹感を変化させるほか、食欲(精神的なもの)と空腹感(生物学的なもの)とを切り離します。
食べたいという気持ちが増すか否かは、体内の化学的バランスと循環器系の変化次第です。また、中脳へその他の器官から送られる刺激も関わっています。
感情のもたらす空腹感は、様々な感情への反応として、特にネガティブな感情への反応として「もっと食べたい」という欲求が生み出された状態です。このタイプの空腹感には、以下のような兆候が特に多く見られます。
- 食べ物への執着。
- 食べ物を「ご褒美」や「報酬」として使っている。
- 強迫的に食べる。
- 満腹を感じても食べ続ける。
- 体重が変化する。
- なぜ食べているのか自分でもわからない。
- 満腹感と空腹感、それぞれの心理的サインの間に繋がりがない。
- 気づかないうちに普段より早食いしている。
ストレスによる大食いは身体にはどんな影響を及ぼす?
ストレスを感じると、脂肪やカロリー、砂糖、塩分が多く含まれる食べ物を食べるという人がいます。彼らは、ストレスに晒されているとこういった食べ物を普段よりたくさん食べてしまうのです。
そのような行動パターンを長期間にわたって続けていると、健康面に副作用的な影響が出始めます。すると、肥満や体重超過に繋がるだけでなく、以下のような症状に苦しむリスクも高まってしまうのです。
- 高コレステロール血症
- 高血圧
- 高トリグリセリド血症
- 卒中
- 心臓病
- 心臓発作
- 筋肉の問題
- 呼吸器疾患
- ガン
- 糖尿病
- 不眠
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