ストレスフルな状況と向き合うにはどうすれば良いの?
人生には、私たちに大きなインパクトを与えるような瞬間や状況が存在します。しかし、苦境に直面した時にどうそれに対応していくかは、人それぞれ異なります。誰もが皆ストレスフルな状況を経験しますので、これに関してタイムリーなアドバイスをいくつか紹介することにしました。
この記事を通して、ストレスフルな状況への対処の仕方について説明し、これを乗り越えるために役立つ戦略をいくつか紹介していきます。
ストレスフルな状況とは?
ストレスは、“圧倒的な状況によってもたらされる緊張状態であり、心身反応あるいは精神疾患に繋がるもの”と定義することができます。
従って、ストレスフルな状況とは、身体的にも心理的にも社会的にも自分の手には負えないような状況を意味します。しかし、健康が脅かされるか否かは、いくつかの要因次第で変わって来ます。
ストレスの原因は多岐に渡ります。以下がそのうちのいくつかです:
- 過負荷や仕事での満足感の欠如。
- 闘病。
- パートナーや家族、友人、同僚との問題。
- テスト。
- 引っ越し。
- 「ノー」と言えない。
- 自由時間が少しもない。
- 愛する人の死。
- レジャーに充てる時間がない。
- 雑務過多。
- 渋滞。
また、過労や姿勢の悪さ、睡眠不足、飢え、異常な体重の増減、頻繁な頭痛、アトピー性皮膚炎など、身体的なストレスの原因も存在します。
ストレスフルな状況に対処するための戦略
ストレスフルな状況に立ち向かう方法は様々です。対処法を身に付けることで、ウェルビーイングを向上させることができるので、クオリティオブライフの改善に繋がります。しかし、こういった戦略には熱心さも必要です。そのうちのいくつかを見ていきましょう。
ストレスフルな状況に対処するときのコミュニケーション
私たちは絶え間なくコミュニケーションを行なっています。しかし、普段自分は断定的な言い方で伝えることができているだろうか、と自問してみる必要があります。コミュニケーションでは、伝えたいメッセージをしっかりと分かっておかねばなりません。自分のメッセージが相手にできる限り効果的に届くよう、自らの思考や感情をコントロールしなければならないのです。
一方で、コミュニケーションに関して言うと、ここで話題にしたいのは書き言葉やしゃべり言葉での伝達についてだけでなく、ボディランゲージを通して何を表現しているかも重要です。コミュニケーションにおいて断定的になることとは、これら全ての領域を考慮に入れなければならないということです。
では、コミュニケーションはどのようにストレス対処に役立つのでしょうか?その理由とは、自分のメッセージを上手に伝えることができた時には、もしはっきりと自分自身を表現できなかった場合に感じていたであろう緊張状態を避けることができるためです。さらに、このようなコミュニケーションは助けを求める方法としても優れています。従って結果的に、これによって人生の試練に立ち向かうための強さを身に付けることができるのです。
情緒面のマネージメント
情緒面のマネージメントは、ストレスフルな状況に対処する際に必要不可欠になって来ます。始めのうちは複雑に思えるかもしれませんが、自分の感情を表現するのに適切なタイミングがわかるようになってくれば、グッと簡単に感じられるはずです。
ここで、職場で非常にストレスや怒りを感じている様子を想像してみてください。おそらくあなたは全員に自分がどう感じているかを伝えられたらどんなにいいかと思うでしょう。そしてこれにより自制が効かなくなって状況を悪化させてしまうかもしれません。しかし例えば瞑想を通してなど、思いを発散する別の方法や機会を見つけることも可能です。
ストレスフルな状況を経た後のレジリエンス
私たちは皆、レジリエンスを発達させる力を持っています。これは問題を克服したり、自分にとって不利な状況の時にも前進できる資質です。また、レジリエンスはその人物が人的なものも物質的なものも含め、どの程度のサポートを得ているかにも関わります。心構えや優先順位付けのノウハウもここで役目を果たします。手持ちの選択肢は理想的とは言えないかもしれませんが、最善の決断を下すためにはそれらをどう使うべきか分かっておく必要があります。
時間管理
自分にはやりたいこと全てを行う時間がない、とわかるとストレスややり切れない思いを感じてしまうかもしれません。ここでも再び、何が自分にとって優先順位が高いのかについて一度立ち止まって考えてみると良いでしょう。これが確立できれば、アクティビティのスケジュールを組み立てることができます。
ここで大事なのはもちろん、そのスケジュールに従うというものです。そのためには、高すぎて達成できない目標を設定しないことと、厳格になりすぎないことが重要です。そうすれば自分で自分の首を絞めるような事態に陥らずに済むでしょう。
ルーティンに従う
ルーティン化は、日々の認知運動を減らすことに繋がります。何か1つ決まりを作ると、毎日のように同じ意思決定プロセスを行わずに済むことになります。これにより、エネルギーを別の意思決定に用いることができ、生活の中の全体的なストレスを減らせるようになるのです。
ルーティンがあると、次に何を行うべきかが明白になるので、安心感を感じられます。さらに時間管理にも役立ちますし、こういった健全な習慣はウェルビーイングに直接良い影響を与えるのです。
流れに身を任せる
これは、どんな状況になってもそこに縛り付けられないようにする、ということです。他の人が解決できない問題でも、あなたならば解決できる場合があるかもしれません。しかし、多くの場合、最も困難なのはそのような問題を他の問題から選り分けることなのです。
流れに身を任せるということは、流れに逆らわないことも意味します。変えることが不可能なものには順応し、受け入れる方法を学ぶ必要があります。あまりにも融通が利かないと、緊張状態が悪化するだけですし、最終的に自分が壊れてしまうまでそれに耐えねばならなくなってしまいます。
日々、刻々と生きる
もし、物事を違う風に言っていたらあるいは行なっていたら結果は変わっていただろうか、と考えてしまうようなら、それは過去に重きを置きすぎています。その場合、結局自らが傷つき、恥や悲しみ、罪悪感といったネガティブな感情を感じることになってしまうのです。
感情は尊いものになり得ますが、これらは常に容易に良い悪いで分類できるわけではありません。一方で、感情がどのような影響を私たちにもたらすのかや、心の状況をどのように決定づけてしまうのかは、感情コントロールがどのように行われるかによって変わってきます。最悪なのは、物事をまるでチューインガムを噛んでいるかのようになんどもなんども頭の中で反芻してしまうことです。
常に未来のことにばかり気を取られている場合にも、似たようなことが起こります。単純に不安感を増大させてしまい、非常に気分が悪くなってしまうことがあるのです。将来について考えるのは悪いことではありませんが、そこに固執しすぎると問題が出てきてしまいます。
マインドフルネス
こういった状況を最大限に活かすために、自覚を促すようなマインドフルネスの技術を使ってみることを検討してみましょう。実際に、マインドフルネスの実践をサポートするような研究も行われています。シャプリオ、カールソン、フリードマンの3人は『Journal of Clinical Psychology』誌で発表した記事の中で、身体症状と心理症状の両方の治療にマインドフルネスが効果的であることを示しました。
しかし、心に留めておいていただきたいのは、人生で直面する「全てのこと」に上手く対応していくのは不可能であり、時には助けを求めるのも悪いことではない、ということです。心理療法士などの専門家が、こういった困難な状況でサポートしてくれるはずです。
ストレスフルな状況は数え切れないほど存在しており、様々な形で、そして様々な要因に応じて私たちに影響を与えます。重要なのは、傷つかずに済むように戦略をいくつか知っておくことです。また、ネガティブな感情を味わうのも人生の一部であることを理解しておきましょう。このような感情を感じること自体は悪いことではありませんが、感情を抑え込んだり、対処せずにいることは間違っているのです。
引用された全ての情報源は、品質、信頼性、時代性、および妥当性を確保するために、私たちのチームによって綿密に審査されました。この記事の参考文献は、学術的または科学的に正確で信頼性があると考えられています。
Shapiro, S.L. Carlson, L.E., Astin, J.A., & Freedman, B. (2006). Mecanisms of mindfulness. Jounral of clinical psychology, 62 (3), 373-386.
Paris, L., & Omar, A. (2009). Estrategias de afrontamiento del estrés como potenciadoras de bienestar. Psicología y Sañud, 19(2), 167-175.