すべての道は神経症に通ず?

2019年4月2日

神経症的傾向とは、生物学的に大きな根拠のある性格特性ですこの傾向がある人はストレスマネジメントが苦手で、心理的にダメージを与える刺激に自分をさらしがちな傾向があるため、精神的な障害に敏感になります。

神経症的傾向が強い人は、不安やうつ病、双極性障害、統合失調症などの影響をより深刻に受けやすくなります。また、恋愛関係の問題や、職場でのもめ事、燃え尽き症候群などにおいても重大な一端を担っています。

ここでは、神経症的傾向とは何かを簡単に紹介し、それがそれぞれの精神障害においてどのように異なる影響を与えるか説明していきます。

性格特性としての神経症的傾向

神経症的傾向は(行動的、感情的、認知的な傾向からなる)性格的な特徴で、主に両親から遺伝するため、その大部分は本質的に生物学的なものであるとされています

そのような性質は変えられないわけではありません。しかし、その傾向は生まれながらに備わっているものです。一生のあいだに、環境によってその傾向は強まりも弱まりもします。

性格理論のほとんど全てに、基本的な特徴として神経症的傾向があります。例えばこれらの理論です。

  • ビッグ・ファイブ性格特性(Costa and McCrae 1992)
  • The alternative five model of personality(人格の5つの代替的モデル) (Zuckerman 1999)
  • アイゼンクの書籍『人格の次元』 (1947)
  • クロニンジャーの気質・性格モデル(1994)

したがって、語彙分析、実証的分析、要因分析のどれにおいても、神経症的傾向は基本となる性格特性であるとほとんどの研究者によってみなされていることが分かります。全てのモデルに神経症的傾向が含まれているのは、人がそれぞれもつ基本的な感情傾向が明らかになるためです。

つまり、神経症的傾向は、安定と幸福の方へ傾くか(神経症的傾向が低い)、不安定と不安の方に傾くか(高い神経症的傾向)を示すものなのです。

神経症的傾向と感情との関係があるとして、それを分析してみましょう。一般的な3つの精神障害、うつ病、不安障害、依存症にこの傾向がどう影響するのか見ていきます。

異なる精神障害における神経症的傾向の役割

うつ病

神経症的傾向は、うつ病の症状の数や程度にも関わりがあります。神経症的傾向の強い人はその傾向が弱い人に比べてネガティブな刺激に弱く、混乱したり不快に感じたりしやすいためです。

つまりそれは苦痛に対してより敏感であるということであり、うつ病の経過に影響が及ぶのです。その傾向によってネガティブな感情がより強く、耐えられないものとして拡大されます。そうしてうつ病の穴はさらに深まり、逃れるのが難しくなってしまいます。

 不安

神経症的傾向のある人は耐えがたい不確かさに執着するため、その傾向は不安にもエサを与えます。例えばこういった人たちは、不確かな状況や、リスクを冒すこと、ある程度の身体的、心理的、社会的、感情的な不安を経験することを避けようとします。不安をうまく克服するためには、それに立ち向かわなくてはいけないものです。しかし、神経症的傾向がある人はコンフォートゾーンに留まり、回復を遅らせてしまいます。

クッションを抱える人

神経症的傾向のある人は、どれだけそのリスクが低かったとしても、リスクがあるかもしれない状況すべてをコントロールしようとします。リスクを避けるためだけに多くの時間、お金、エネルギーを無駄にします。例えば、思い描いた危険のうちの一つが実際に起こった時に備えて、約束の時間に間に合うようものすごく早く家を出るのです。

「日曜神経症とは、忙しい週が慌ただしく過ぎ、自分の中にある空虚がはっきりと表れたときに、自分の人生のむなしさに気が付いた人を悩ませるうつ病である。」

― ヴィクトール・フランクル ―

これは、パニック発作のようなより深刻な場合にも当てはまります。パニック発作の最も効果的な療法は、恐れている状況に少しずつ触れていくことです。神経症的傾向がこういった状況に大いに寄与していることは明らかです。

先ほども述べた通り、神経症的傾向の強い人は、恐れている物事に自分をさらすことに大きな抵抗があり、例えそれが慣れや不安の解消に繋がるとしても、小さなリスクを何としてでも避けようとします。神経症的傾向が強いほど、暴露に対する抵抗も強くなります。そして、そのような暴露の予期が、さらなる不安をもたらすのです。

依存症

神経症的傾向の強い人は、より依存症になりやすいとされています。どうしてでしょうか?それは、神経症的傾向がある人はあらゆる程度の不快を避けようとし、彼らの感知するストレスレベルが高まるからです。高いストレスレベルと不快に対する敏感さとが合わさると、精神的に疲弊し、日常的な問題に圧倒されます。薬物依存は彼らにとっての逃げ場になります。つまり、彼らの感じる絶え間ない悩みから解放させてくれるのです。

また、こんな風に言い換えることもできます。不快に対する高い敏感性から生まれる感情的な疲弊は、日常の問題を脅威へと変えてしまいます。不快な物事を避け、身の回りに起こることをコントロールしなければいけないので、非常に圧倒されてしまうのです。

結果として生じる精神的な疲弊によって、ストレスにうまく対処することが難しくなります。そのため、アルコールや大麻などの抑制剤に含まれる、精神に影響を及ぼす物質の効果は、彼らに束の間の休息を与えるのです。不快とストレスからの休息です。

神経症的傾向の強い人が変わるためにできることは?

まず、人格検査を行ったり、どれほどの神経症的傾向があるのか正確に診断したりできる心理士に助けを求めることは必要不可欠です。

自己認識と他人から見た認識には誤りがあることがあるからです。そのため、実際の神経症的傾向とは程度の異なる自己認識をもっていることもあり得るのです。

曇り空を見上げる女性

心理士は、どのような手順の療法をとるべきか決めるのに最も適した人です。一般的に、心理士は以下のような点に特化して神経症に対処する手伝いをすることができます。

  • 感情のマネジメント
  • 不快や不確かな事柄に対する耐性の向上
  • 不安や恐れの克服のための取り組み

さらに、心理士は、神経症的傾向の強い人が本人にとって重要な目標にむけて取り組むための手助けも行います。それによって、自分を守るために築いてきた壁を壊すこともできるでしょう。

性格は完全に固定させることはできないと科学的に証明されています。つまり、ある程度は順応させることができるということです。私たちは環境に応じて、社会的、感情的、行動的に常に変化しているのです。

したがって、「これが私なのだ」という言い訳の余地はありません。変わることができないと思うのは間違いです。より良いバージョンの自分になるよう努めれば、目標に到達することは可能なのです。