スマートフォンで私達はバカになっている?

2019年3月8日

テクノロジー、特にスマートフォンは暮らしを楽に、またより快適にしてくれますスマートフォンでより多くの情報にアクセスでき、短時間でより多くのことができ、より多くの人とコミュニケーションを取ることができます。ですが、それで必ずしもより生産的になったり、知的になったりしているわけではありません。

実は、スマートフォンは認知能力を衰えさせます。少なくとも、テキサス大学オースティン校の研究はそう主張しています。その研究によると、スマートフォンが電源を切った状態や画面を下にした状態であっても近くにあると、認知能力や知能全体が著しく衰えた状態になると言います。

スマートフォンはただの電話ではありません。要求に応じて私達を情報や娯楽、社会的刺激とつなげる膨大な許容量を持ったミニコンピュータです。ですが、この研究にによると、私達はこうした利点に対して認知的代償を払っており、スマートフォンに対して依存性を高めてしまっていると言います。

この研究によると、ただスマートフォがその場に存在するだけで、認知能力が下がる可能性があると言います。

作業中のスマホ

スマートフォンの認知的代償

スマートフォンは、常に他の人だけでなく、情報や娯楽など、指一本で世界と常につながった状態が円滑にできるように促しています。ですが、こうしたデバイスで生活が更に幸福になるポテンシャルを莫大に秘めている一方で、常にデバイスの側にいることで著しい認知的代償を負いかねません。

前述の研究では、研究者が「brain drain(脳の消耗)」と呼ぶ仮説を支持しています。その仮説は、スマートフォンの存在自体が、既に制限許容量がある認知的資源を乗っ取ることで、他の作業用に残しておくべき資源の量を減らし、認知のはたらきを減退させるとしています。この状態は、スマートフォンを見たいという誘惑を回避するために動かなければならない時に起こると言います。この認知的代償が大きければ大きいほど、スマートフォンに対する依存度が高くなります。

スマートフォンは私達を賢くしてくれるわけではない

ある実験では、研究者が被験者にコンピューターの前に座って、高度な集中力を必要とする一連のテストを行うように指示しました。このテストは各被験者の認知能力、あるいは一定時間の間にどれだけの情報を蓄積し処理する能力があるかを測定するものでした。実験の前に、研究者は無作為に被験者のグループを作り、被験者のスマートフォンをサイレントモードにしてもらった上で、そのスマートフォンを画面を下にして机の上に置いてもらうか、ポケットやかばんにしまってもらうか、あるいは別の部屋に置いてきてもらいました。

その結果、スマートフォンを別の部屋に置いた被験者は、机の上に置いていた被験者よりも顕著に良い成績を上げました。また、ポケットやかばんに入れていた被験者よりもわずかに良い成績を上げました。

この結果は、スマートフォンが施設内にあることで、行っている課題に全集中を傾けているつもりであっても、使用可能な認知能力を減退させ、認知機能に影響を及ぼすことを示しています。

「スマートフォンがより人目につく場所にあることで、被験者の使用可能な認知能力がそれに比例して減退することを示す傾向が見られる」と研究者は説明しています。また、「意識下ではスマートフォンのことを考えていない、そのプロセス—何かを考えないようにする必要があるというプロセス—が限られた認知的資源をいくらか使ってしまっている。それが『brain drain(脳の消耗)』である。」とも説明しています。

パソコンに向かう人

別の実験では、同研究者達がスマートフォン依存の認知能力への影響を認識しようと試みました。

被験者は、無作為にグループに振り分けられ、コンピューターに向かって先ほどの実験と同じテストをするように指示されました。3つあるグループのうち、1つのグループはスマートフォンを画面を上に向けて置いた状態で、もう1つのグループはポケットに入れた状態で、そして残りのグループは別の部屋に置いた状態でテストを行いました。各グループの中の何人かはスマートフォンの電源を切るように指示されました。

その結果によると、自身のスマートフォン依存度が高いと認識している被験者は、依存度が低いと認識している被験者よりも成績が劣っていましたが、それはスマートフォンが机の上にある場合かポケットにある場合のみでした。また、スマートフォンの電源が切られているかどうかや机の上に置かれている時に画面が上になっているか下になっているかは関係ないことも分かりました。

被験者の気が散るのはプッシュ通知があるからではなく、スマートフォンがただ近くにあるからだと、研究者は説明しています。

スマートフォンを近くに置いておくことは、脳の一部がスマートフォンを使わないようにしようと自発的に努力するせいで、課題に集中しその課題を行う能力を減退させてしまうのです。

スマートフォンは避ける方が賢明?

上記の研究者達はスマートフォンの存在による認知的代償にフォーカスしていましたが、前述の研究はスマートフォンがない状態に言えることにも同等に顕著な有意性を示しています。私達の文化では社会的つながりの希薄さをめぐって議論されていますが、この議論は電子機器に費やす時間を意図的に減らしたリ、少なくともコントロールしようとする動きが消費者の間で増えていることを反映しています。

ポケットに入れたスマホ

消費者によっては、スマートフォンより一昔前の電話に乗り換えたり、そうした旧型の電話にデバイスや機能を補完する形で、スマートフォンから離れるようにしていることを研究者達は指摘しています。他にも、スマートフォンの使用を制限したり、フィルターをかけたりするアプリを使うことを選んでいる人もいます。

こうした対策は、テクノロジーによる疲弊を起こしている人にとっては利益が倍になると研究は示しています。デバイスの重要性を再定義することで、こうした消費者はデジタル性注意散漫を減らし、使用可能な認知能力を増やすことができるのです。

いずれにせよ、認知機能や集中力を最大限にコントロールしなければいけない時はいつでも、スマートフォンを視界に入らないところに置いておきましょう。

Ward, A. F., Duke, K., Gneezy, A., & Bos, M. W. (2017). Brain Drain: The Mere Presence of One’s Own Smartphone Reduces Available Cognitive Capacity. Journal of the Association for Consumer Research. http://doi.org/10.1086/691462