体重減量計画に行動活性化を用いるメリット

うつ病治療における行動活性化のメリットはよく知られています。しかし、健康的な習慣を新たに取り入れるプロセスにはどんなメリットをもたらしてくれるのでしょうか?
体重減量計画に行動活性化を用いるメリット

最後の更新: 25 3月, 2021

行動活性化は、ほとんどの場合うつ病など特定の気分障害の治療のために用いられます。しかし、行動レパートリーを増やすことを目的として行う行動活性化は、もっとたくさんの効能をもたらしてくれるかもしれません。例えば心理栄養学の領域では、行動活性化を体重を減らすのに役立つツールとして使用することが可能です。

患者のBMI(ボディマス指数)を改善に向かわせるににあたり、心理士と栄養士の両方が同じくらい重要な役割を果たします。もちろん、新たな習慣を身につけるためには継続的な努力が必要なのは事実ですが、行動活性化というテクニックは強力なサポートツールになってくれるのです。

行動活性化:正確にはどんなもの?

行動活性化では、今現在における個人の行動の機能を調べる目的でその人が置かれている状況や経験が用いられます。これは、例えば体重減量プロセスなどの新たなライフスタイルのために健康的習慣を取り入れるにあたって、その新しい進め方を患者の行動レパートリーに取り入れさせるのに役立ちます。

行動活性化プログラムが土台としている基本的な構造は、その名の通り活性化のみです。ここで、「全ての行動が動機付けに繋がるものではない」という事実について少し考えてみましょう。誰もがこれを知ってはいますが、そういった「やる気の湧かない」行動を行うことが、長期的な結果を獲得するために必要不可欠な場合もありますよね。

要するに、必要な習慣を取り入れるための行動に従事することは簡単なことではありませんし、モチベーションに繋がらない場合がほとんどなのです。しかし実は、そのモチベーションは個人がその行動を数回実行した後に遅れてやって来る傾向があります。

簡単に言えば、行動活性化とは個人に外部からの働きかけを実行させるプロセスです。モチベーションは、このプロセスが実行された後に湧いてきます。このテクニックでは、特定の行動を定着化させられる確率を上げるために活動を分解するという試みがなされます。

行動活性化を体重減量プロセスに取り入れるには?

まず、自己申告が絶対に欠かせません。なぜなら、こうすることで専門家がその人物のライフスタイルを理解しやすくなるからです。そしてこれが、行動活性化を開始するためのその他の重要データを集める上でも大切になります。

また、栄養士の存在も非常に重要です。健康的習慣を始めたり、健全な体重を維持するプロセスは栄養学の知識を持つ専門家に移管されねばなりません。

さらに、その人物の能力を評価することも重視されます。これは、そうすることで目標に近づくための最初のステップ作りがやりやすくなるためです。適格性や能力が明らかになったら、これでもう全ての準備が整いました。

最終的な目標に近づくためには、小さなステップを少しずつ積み重ねていくことが重要です。こうすれば変化が徐々に、しかし着実に身についていきます。そして退屈したりフラストレーションを感じるのを防ぐことができるのです。

体重減量計画 行動活性化 メリット

体重減量プロセスにおける行動活性化のメリット

行おうとしている活動を細かく分解することで、より頻繁にポジティブな行動強化を獲得できるようになります。また、この過程全体が長期間に及び、当人が辟易してしまう恐れがあるという点にも触れておきましょう。しかし小さな課題に分けることによって、気持ちを整理することができます。すると、目標を達成するための道のりがグッと楽になるのです。さらに、そういった新たな習慣を日常生活に取り入れやすくもなります。

行動活性化には様々なメリットがありますが、ここでは以下に挙げるものを特に強調しておきましょう。

  • まず、「自分は有能である」という感覚を抱かせることができます(まるで、心に決めたことならどんなことでも成し遂げられるような気分にさせることができるのです)。
  • 次に、目標が達成されるとモチベーションが増大します。
  • また、本人が獲得できるとは夢にも思っていなかったような新たなスキルを発達させるのにも役立ちます。
  • 最後に、行動活性化は個人の思考や感情に働きかけてくれるので、その人物がどれほどネガティブになってしまおうとも、目標に集中させ続けることができます。

体重減量プログラムにおいて増やすことのできる、あるいは強化することのできる活動とは?

体重減量計画を実施しようとして、あるいは健全な体重を維持しようとして非現実的な目標を設定してしまう人が多いことはよく知られています。例えば、普段エクササイズをしない人がトレーニングを開始した日に15kmも走ろうとしても、ただがっかりするような結果につながるだけですよね。これでは、自ら失敗を招いていると言っても過言ではありません。

さらに、非現実的な目標は不快さやフラストレーションといった感情を生む恐れもあります。また、実際はただ計画自体に問題があるだけなのに、「自分にはこれをやる資格がないのだ」などと考えてしまうことにも繋がりかねません。

体重減量計画 行動活性化 メリット

目指す行動を短期間で行おうとすること vs 現実的な目標を立てること

行動活性化は、健康的習慣の獲得に役立ちます。これと併せて、変わりたいと願っている人物は自分のルーティーンにも小さな修正を加えねばなりません(ただし、自身のキャパシティを超えてしまわない程度に)。以下の例を参考にしてみましょう。

  • どんなエクササイズをすればいいのかわからないがためにジムへ通うのをためらっている人。このような人々は「自分は20分程度しか運動できないだろう」、「たった20分では目標達成に不十分だろう」などと思い込んでいます。しかし行動活性化を用いることで、その20分間からエクササイズをスタートさせることができ、徐々に新たなエクササイズを増やしていくことができるのです。ここでは、運動を実行すること、ジムに通い続けること、そして元々備わっているモチベーションを発掘することが重要になってきます。
  • 食習慣を変えたいと願いながらも、十分な料理スキルを持っていない人。行動活性化は、買い物リスト作りという初歩的なところから始めることができます。ここで買い物カゴに入れる超加工食品の割合を減らすことができるはずです。
  • 屋外で運動したいけれど動きの鈍さを他人から笑われそうで怖い、という人。この場合、行動活性化を短距離の散歩から始めることができます。

もしこれらの人々が媒介となる行動や活性化を挟まずに直接意図した行動(1時間ジムで運動する、超加工食品を使わずに料理をする、ランニングをする)を行ったとしたら、ほぼ確実に初日でギブアップしてしまうでしょう。このことが少しずつプロセスを進めることの重要性を示しているのは間違いありません。

端的に言えば、行動活性化はこれまで行った経験のない特定の活動を実践するのに役立つだけでなく、長期的に獲得したいと思っている行動を確立していく上でも有効なのです。


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  • Herrero, G. & Andrades, C.(2019). Psiconutrición. Editorial Arcopress (3 edición) (2019).
  • Martel,C.R., Dimidjan,S. & Herman – Dum, R. Activación conductual para la depresión: una guía clínica. Desclée de Brower (2013)

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