私達を魅了する7つの哲学論
哲学といえば、学校で一番退屈な授業の一つとして覚えているものでしょう。それでいて、哲学は私達の日常生活の根幹部分です。 哲学論は、私達が誰でどこへ向かっているのかについて内省するように誘ってくれるものです。
哲学論は、私達に考え、内省することを教えてくれます。確立された真実には常に疑問を抱くこと、仮説は確証すること、解決策は探すことを。事実、そのような哲学論の重要性から、国連は11月の第三木曜日を「世界哲学の日」と宣言しました。
哲学論は運動や学派、信念、そして科学的法則までをも一つにします。ここでは、中でも最も興味深いものをいくつかピックアップしたいと思います。あなたはいくつ知っているでしょうか?
ピタゴラスの定理
直角三角形と関係のあるピタゴラスの定理についてはおそらく聞いたことがあるでしょう。ですが、ピタゴラス学説は実は紀元前6世紀中の原理哲学兼宗教運動でした。
これはサモスのピタゴラスが発見したものです。彼は人類最初の純粋な数学者であり、歴史に残る最重要人物の一人としてみなされています。彼は宗教と科学は2つの別個のものではなく、むしろ人生において同じ方向を行く分離できない2つの役者だとしていました。
占星術師や音楽家、数学者に哲学者といった人たちで形成されたこの運動で、最も固く信じられていたのは、全てのものは本質的には数字である、というものでした。つまり、自然界のものは全て、数式に従っているというものです。ですが、この説は数学によって導かれたものでありながら、深く不思議なものでもありました。
宗教的なシンボルとして引用されたものに五芒星があり、それは「健康」と呼ばれていました。当時は、このシンボルを秘密の印として使い、この印を持つ者同士を認知し合っていたのです。
エピクロス主義と同宗信者
サモシスのエピクロスは紀元前4世紀にこの哲学運動を開始し、エピクロス主義者という支持者達によってその運動は引き継がれました。この説の根本原理は、快楽の追求による幸福の探求でした。 エピクロス主義者は、快楽と幸福の両方の概念を痛みやいかなる苦痛も存在しないことと理解していました。
そうした幸福を手に入れるために、アタラクシアと呼ばれる平静不動の精神状態に到達できる3種類の快楽を説きました。平穏状態、乱れていない状態、そして、心と頭の完璧な均衡です。
エピクロスの観点では神は存在しないとしています。彼の考えはこうでした。神は善良で絶対的に力強い存在であるが、悪いことが人間、善良な人々にまで起き続けている。なぜか?
彼のこうしたアプローチから、考えられる2つの論理的な結論が生まれました。神はこうした悪事をもたらす故に善良な存在ではないか、あるいは、神はこうした悪事が起こることを食い止めることができない故に絶対的力を持つ者ではない、と。両ケースにおいて、神の存在は無効だとエピクロスは主張しています。しかしながら、こうした事にアプローチするのに論理が必ずしも一番良い方法だとは限りません。あなたは彼のこの推論をどう思いますか?
カンタベリーのアンセルムスのスコラ学説
スコラ学は最も物議をかもした理論の一つというわけではありませんが、その異質さから最も興味深い哲学理論の一つと言えます。その起源はギリシャ系ラテン、アラブ系、ユダヤ系の流れを汲んでおり、中世の思想によって支配されていました。中核となる考えは理性の信仰に対する従属関係、そしてその二者間の構造でした。
「知を求める中に信仰あり。」
―カンタベリーのアンセルムス―
学者によっては、この学説は堅実すぎで、暗記に頼っているだけだとして退けている人もいます。教育法がいくらかオーソドックスなためです。ですが、その哲学面は、厳格な神学的教義だけでなく、信仰と理性の間にある共同作業にあります。その目的は、現実を人間の視点から理解することなのです。
ルネ・デカルトの合理主義理論
コギト・エルゴ・スム(我思う、ゆえに我あり)。ルネ・デカルトのこの一言で、合理主義という最も著名な哲学理論の一つをまとめることができるでしょう。この名言は、理性が真実の源であり、真実を見つけることができる唯一の方法であると教えています。そのため、いかなる宗教的教義をも否定し、感覚や無意識の世界を「疑う余地のあるもの」として、反対しています。
このフランス人数学者の人生はかなり特殊なものでした。彼は幼少期から健康状態が悪く、何時間も病床に伏せていなければいけませんでした。このことが彼に考えさせ、世界について仮定を立てる機会を与えたのです。そして、この数年後、彼はこの哲学運動の基礎を築きました。
17世紀から18世紀にかけて既にかなり発達したヨーロッパで、合理主義は知識に到達する唯一の方法として方法的懐疑を前面に押し出しました。
2つのイデアリズム
バークリーやカント、フィヒテ(主観的観念論)、ライプニッツやヘーゲル(客観的観念論)などの他の著者と共にデカルト自身もこの運動の主要人物の一人です。
これは、私達が最も引き合いに出す哲学理論の一つです。「あなたは理想主義が過ぎる」なんて人に何度言ったことがあるでしょうか?ですが、私達はその意味を本当に分かっているでしょうか?実は、イデアリズムは世界と生命を調和の完璧なモデルとしてみなしているため、現実とはさほど関連がありません。
イデアリズムは、全てを実際より良いものとみなします。物事を完璧であるとみなし、実際には兼ね備えていない特性が物事に宿っているとみなす傾向があります。この運動の結果、こうした態度は「理想化」と呼ばれています。
物事は、自分がかけている色眼鏡の色で決まる。
この運動には2つの異なる流れがありますが、両者ともに「物質は心がその物質を意識していなければ存在しない」という点は合致しています。また外界は人間の心次第だと主張しています。イデアリズムは、不合理、伝統、そして感傷的な価値観を声高に叫んでいるのです。
ニーチェのニヒリズム論
「神は死んだ。」ニーチェはこの一言で、19世紀にはびこった精神性を最も辛辣に風刺し、それを概念化しました。また彼は、西洋社会を保っていた概念の系譜を通して、西洋社会を徹底的に批判しました。
哲学者、詩人、音楽家、そして文献学者という顔を持つこのドイツ人にとって、世界は深いニヒリズムに陥っていました。世界に終わりを迎えて欲しくなければ、このニヒリズムを乗り越えなければいけません。彼は、私達の持つ最も尊貴な価値を貶めることを指していました。これは、「以前は最も尊貴な価値とみなされていたものを無効にする」試みをする歴史的過程です。後の哲学者の多くは、彼の考えは矛盾しているとして彼を非難しています。ニーチェは、作中で様々な視点を活用することで、読者に対して同じ対象について多角的に考えるように挑んだと主張して、自分の立場を守りました。
老子の道論
老子は、近代のブッダであり、ピタゴラスであり、孔子でした。しかし、彼の出生や死については情報がありません。道は、首と、歩むという意味のしんにょうという2つの表意文字から成り立っています。そのため、前へ進む者、意識を持って歩む者、自らの道を見つける者と解釈できます。その意味は文脈により、哲学、宇宙論、宗教、あるいは倫理に関する規約に登場します。道は力動と、陰陽のような対極のものがお互いを補完し合うという双対性に基づいています。
「走るものは網で、泳ぐものは釣り針で、飛ぶものは弓で捕らえられる。しかし風雲と共に空に昇る竜に至っては、どのように捕らえられるかは分からない。老子に会った私は今日、竜を見た。」
―孔子―
この哲学理論の概要は、思考が世紀を越えてどのように変化してきたかを示しています。ですが、また、多くの教義や仮説が今日も変わらず健在していることも示しています。現実についての知識は、人間の頭脳が幼少期から成熟期へと進化してきたように、進化を遂げてきたのです。
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