全身療法について知っておくべきこと

2019年5月6日

全身療法は、家族療法にその源があります。しかし、最近は家族に焦点を当てたものは全身療法とは呼ばれません。このアプローチにおいて、重要なのは人間関係です。個人の観察というよりは、人々のかかわりのプロセスの方が大切なのです。

オーストリアの生物学者であり哲学者のルートヴィヒ・フォン・ベルタランフィが、1968年に一般システム理論を提唱しました。彼はシステムという概念を「関わり合いにおける要素のネットワーク」として使いました。彼は後にそれをセラピーの枠組みに適用し、家族や人間関係の研究における有力なモデルになったのです。

しかし、全身療法はまたその他の修業の影響も受けています。それは主に学理的分野です。人工頭脳学やコミュニケーションにおける実用性開発、そして家族の心理療法などがそれに含まれます。これらの視点を統合することにより、彼は適用範囲を個人から集団療法、カップル、家族まで幅広くすることを可能にしたのです(ホフマン、1987)

システムという概念

さまざまな概念が合流する地点は、システムという概念です。それは全体の方が、部分の集合よりも良いというものです。つまり、全身療法のアプローチでは、システムの異なる要素の関わりの結果である全体の特性を強調します。一般的な言葉で言えば、重要なのは人々の間の関わりから生まれる人間関係だということです。

全身療法の心理学者は、以下のような一般的な考え方をします。システムは、それが家族だろうとカップルや社会的なものであろうと、他のシステムの変化に伴って状態が変化するような、お互いにつながっている一つ以上の要素が集まってできています。これにより、研究者はあらゆるシステムの個人の病気についての基本的な側面を見ることができるのです。

全身療法の背景

全身療法の前にあった最も優れたものは、精神分析学から来ています。これらの例は、フリーダ・フロム=ライヒマンによる「分裂病源母親」や、ローゼンの「意地悪な母親」、またはベルの家族インタビューの使用などです。

そうはいっても、全身療法の明らかな始まりは、人類学者グレゴリー・ベイトソンとパロアルト病院の退役軍人のチームです。ベイトソンはジャクソン、ヘイリー、ウィークランドなどの研究者と共に、統合失調症の家族のコミュニケーションシステムを分析しました。

全身療法とは

グレゴリー・ベイトソン

彼の研究から生まれた最も興味深い理論の一つは、ダブルバインド・セオリーです。この理論は、メッセージ間の矛盾は現実逃避としての精神錯乱を引き起こす恐れがあるということを説明しています。その矛盾とは、一つに従うことがもう一つに逆らうことになるような命令を受けたようなときのことを指しています。例えば、「もっと自発的になるように」と、「従順になるな」と言うようなことです。

並行して、1962年に、ジャクソンとアッカーマンが「ファミリー・プロセス」という雑誌を創刊し、ベルタランフィが「一般システム理論」提唱しました。後者は全ての全身療法に共通する要素を発展させた理論です。

全身療法に共通する側面

全身療法はとても幅広く、たくさんの修業法を含んでいますが、全てに共通している側面があります。最も重要なものは、「互いに関係している一連の物や要素」としてすでに述べたシステムの概念です。

ベルタランフィは自身の「一般システム理論」の中で、この関りの概念を強調しています。彼は、システムとは集団間の相互依存のことを指していると言いました。また、システムの各部分をサブシステムと考えることができるとも言っています。こうやって、家族がシステムになりえ、母親と子どもの関係はサブシステムになりえるのです。

オープンなシステム・閉じたシステム

オープンなシステムと閉じたシステムを区別することも重要です。しかしここでは、研究者たちは基準について合意していません。ベルタランフィの概念化に従えば、閉じたシステムとは媒体と一切の交換をしないものです。反対に、オープンなシステムとは媒体や他のシステムと常にコミュニケーションを取っているものです。

例えば、閉じた家族システムでは、まわりの環境と一切のコミュニケーションをとりません。最終的な段階は、そのシステムの最初の条件によります。集合や家族システムの中には進行性のエネルギーに疲弊が見られます。

システムの種類

この観察から、「一般システム理論」から引き出されたその他の概念についての研究結果を使用して、パロアルト出身のワツラウィックやべブン、ジャクソンなどの著者は、「ヒューマンコミュニケーション理論」を提唱しました。

システムのモデル

この理論は、以下のような全てのシステムのモデルに共通する側面や考えを提供しています。

  • コミュニケーションを取らないことは不可能です。この理論は、沈黙も含め全ての行動はコミュニケーションだという考えに基づいています。さらに、「症状」自体がコミュニケーションの形になっているような状況になることも可能だと考えます。
  • システムのメカニズムはフィードバックによって自己統制されます。
  • コミュニケーションには二つのレベルがあります。それは、デジタルまたはコンテンツレベルと、アナログまたは関係性レベルの二つです。二つのレベルに一致しないものは、奇異性メッセージになります。
  • 関わり合いは参加者の行う評価によって調整されます。つまり、私たちが見たり経験したりすることによって築かれるビジョンによって、私たちは他の人との関係性を決定し、その逆もまた然りということです。ですので、事実をどう評価するかについての合意が無いと、人間関係においてたくさんのいざこざが生まれる原因になるのです。
  • 全身療法のセラピストが知っておかなければならないルールのシステムが存在します。それは認識ルール、対称的ルール、秘密ルール、目標ルールです。

それでも、各システムにそれぞれ特異なものがあります。その中のいくつかについてより深く見ていきましょう。

MRI相互作用学派:ワツラウィック、ウィークランド、フィッシュ

システム学派はパロアルト研究者の第二世代と同じです(ワツラウィック、ウィークランド、フィッシュ、1974と、フィッシュ、ウィークランド、シーガル、1982)。

この学派の格言のいくつかは以下のようなものです。

  • 試される解決法は問題を維持するものです。これはつまり、状況を改善しようとするときに、人はそれを維持しようとするだけのことが多いということです。
  • 介入することは人間関係や試される解決法に干渉する回路を特定することを目標にしています。目標は、変化2として知られる相互作用のパターンを変えることです。試行して失敗した解決策は変化1あるいは「ほぼ同じ」だからです。
  • 使われている戦略の一つは逆説的介入です。つまり、一般的なシステムからかけ離れた考えを伝えたり、課題を定めつつ、枠組みやシステムから逸脱しないということです。そうするためには、「忍耐の言語を話す」必要があります。
ポール・ワツラウィック

ポール・ワツラウィック

構造的・戦略的学派:ミニューチンとヘイリー

ミニューチンとヘイリーがこの学派の代表です。彼らはメンバーの関係性の種類を知るためにはシステムの構造を分析することが欠かせないと考え、その上で必要な治療を行うべきだとしました。二人とも、家族は同盟関係と連合を中心に組織されると言っています。

例えば同盟関係とは、第三者とは対照的に二人のメンバーが仲良くなることだと定義できます。しかし、連合は三人目のメンバーに反対する二人のメンバーの結束です。さまざまな世代の連合はひねくれた三角関係と呼ばれます(母親と息子対父親など)。

この観点からは、セラピストは家族の構造を変えるテクニックを使います。こうすることで、家族の定義に異議を唱え、その症状に良い再定義を行うのです。

また、家族の特定のメンバーに課題を設定することもあります。こうすることで、セラピストはサブシステムと同盟を結び、限界の再構築を引き起こしたりヘイリーの逆説的介入を行うのです。

ミランのシステム学派:セルヴィーニ・パラツォーリ、家族の精神病

この学派はマーラ・セルヴィーニ・パラツォーリと彼女のチームの業績から来ています。

彼らは拒食症や精神病など、堅固な家族にたいてい起こる障害に注目しています。ミランのシステム学派は、推薦状や最初に接触した瞬間から集められたデータに特に注意を払っています。

そこから、最初のセッションでの改善と対照して取り組みの仮説を立てます。彼らは症状に関係している家族の意味に主に取り組みます。また、合意や反対意見を見つけるために特定した患者と協力します。

この学派によって作られた介入法の一つが定数処方です。これは精神病の家族に取り組むために特別に作られたプログラムで、家族全員に同じ課題を与えることで、サブシステム、特に子どもによってつくられたものと分けるように働く秘密などを使って、親を同盟関係にしようとするものです。

全身療法は私たちの問題や困難に別の視点を与えてくれます。それは人々の生活を改善するのに役立たせるため、個人よりも人間関係を優先した視点です。セラピーの分野の中でどんどん重要になってきている、普通とは違った興味深い方法なのです。

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