ベンゾジアゼピン:用途とその効果について

ベンゾジアゼピン:用途とその効果について
Valeria Sabater

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Valeria Sabater.

最後の更新: 21 12月, 2022

ベンゾジアゼピンはベッドの横に置いてあったり、ハンドバッグの中に入っている心の為の薬です。不眠症に効果があったり、不安というモンスターを落ち着かせてくれます。巨大な製薬会社によって製品化されていますが、この中にはとても高い依存性も隠れているのです。

「8月の家族たち」という映画のセリフで、女性はよく問題を薬で解決し、男性はアルコールで解決するというものがあります。また、作中ではメリル・ストリープの演技でどれだけベンゾジアゼピンがコントロールできないものなのかを見せています。

患者の持っている苦しみを緩和する方法として睡眠薬は病院で安く、簡単に手に入ります。

「私達は痛みや恐怖をまるで病気のように扱い薬を服用してしまうことがあります。しかし、それは病気ではないのです。」

-ギジェルモ・レンドゥエレス- 精神科医

その映画はとても苦く、且つ、現実をリアルに描写しています。その例の一つが、人は処方された合法薬の中毒になっている、ということです。毎日気分を良くするため、多くの薬を必要とする人がいます。しかし、長期間「普通の睡眠薬」を服用していた人は、後に質の低い生活を送ることになるのです。

睡眠薬にも、睡眠薬に与えられた生活を改善するという目的にも、そこには多くの闇が取り巻います。

もちろん薬を服用した際は効果があるので、誰も短期間の効果について疑いを持ちません。しかし、私達が知っているように不安や鬱の気持ちはとても長期的なものです。そこにリスクがあるのです。そして、そこに依存とこれから先、無視のできない副作用が隠れているのです。

ベンゾジアゼピン錠剤

ベンゾジアゼピンとは?

ベンゾジアゼピンという言葉を知っている人はとても少ないです。しかし、ジアゼパムやロラゼパム、向精神薬と言えば、分かる方もいるでしょう。多くの人が何らかの理由で服用したことがあると思います。また、自分が経験なくても、少なくとも家族、友達、同僚などが服用しているのを聞いたことがあるかもしれません。

では、このベンゾジアゼピンとは一体何なのでしょうか?

  • ベンゾジアゼピンには鎮静効果があります(体の機能を遅らせます)。
  • また、向精神薬として神経系に効果をもたらします。それは鎮静作用や、リラックス効果があるだけの薬ではなく、抗けいれん薬、健忘症薬、筋弛緩薬として作用します。
  • それはGABAという脳化学物質の上昇によって効果が生み出されます。
  • GABAは小脳、基底核、脊髄で作られる脳阻害剤で、私達のニューロンの働きを落ち着かせます。

また、60年代にバルビツール酸の代用品として製薬市場に登場し、1963年に設立したROCHEというジアゼパムを作っていた製薬会社が出来たことにより、ベンゾジアゼピンは処方された「ドラッグ」の中でも最も消費されているものとなりました。

「今年、軽度の精神安定剤の消費率は世界で20%も上昇しました。」

 

ベンゾジアゼピンの用途と種類

パニックを抑える為や不安を和らげる為にベンゾジアゼピンを使うことがあります。また、不眠症、禁酒、てんかん、感情障害、手術後の他の薬の使用の副作用を抑える為にと幅広く使用されています。

様々な研究機関がありますが、その中でもスペインのサンホルヘ大学、健康科学科の研究によると、ベンゾジアゼピンは退職後の人に多く処方されているという発表がありました。

専門家たちにとって、この薬を使用する事による臨床的利点が、副作用があっても使い続ける価値がある程のものかどうか、とういうのは非常に重要な争点です。

再度言及しますが、この薬は医者からの処方箋があればもらえる医薬品です。抗うつ薬や抗精神病薬と一緒に服用することが出来るかどうかは、いつもそれらを処方して用量を管理する専門家に委ねられています。

片手で頭を抱える女性

ベンゾジアゼピンの種類

ベンゾジアゼピンは私達の体での持続時間に基づいて分別されています。それについての詳細を見てみましょう。

長時間持続 40から200時間

  • クロバザム
  • クロラゼパート
  • ジアゼパム
  • フルラゼパム
  • メダゼパム
  • フェナゼパム
  • クロチアゼパム
  • プラゼパム

中期 20から40時間

  • クロナゼパム
  • ブロマゼパム
  • フルニトラゼパム
  • ニトラゼパム

短期 5から20時間 

  • アルプラゾラム
  • ロメタゼパム
  • ロラゼパム
  • オキサゼパム

1から5時間

  • ブロチゾラム
  • ミダゾラム

ベンゾジアゼピンに関する効果

ベンゾジアゼピンは効果的な薬剤です。効果が表れないことはありません。深い眠りや、別れからの苦しみの緩和などの効果や、また、日々を上手く管理する助けをしてくれるのです。

しかし、人生における全てには代償があります。時に、この薬を使用することは悪魔と協定を結ぶようなことになってしまいます。私達は本来、この薬を4週間から6週間以上使用するべきではありません。もしそれ以上使用してしまうと、この薬に依存をし始めてしまいます。

しかし、人生では傷つくこともあり、問題が重くなることもあり、不眠症が顔を出したり、不安に駆られることもあります。医者に助けを求めると、他に手が無い為この薬が処方されます。そうして、ゆっくりと依存が始まっていくのです。

鏡の前でうつむく男性

ベンゾジアゼピン依存による一般的副作用

  • 眠気
  • めまい
  • 錯乱
  • バランス感覚を失う(特に高齢者の方)
  • 話す事に支障が出る
  • 筋力の低下
  • 便秘
  • 吐き気
  • 口の渇き
  • 視覚のぼやけ

ベンゾジアゼピン使用による記憶への影響

ベンゾジアゼピンは新しい情報を得る能力を著しく低下させる影響を持っています。また、長期間の使用によって認知機能に明らかな影響ももたらします。そういった影響により、集中、問題解決、情報整理、そして考えをまとめることが難しくなります。

逆説的な効果

「医療への逆説的な反応」とは、意図された効果とは反対の結果が出てしまうことです。ベンゾジアゼピンを数か月から数年にかけて服用していた患者の多くに以下の症状がよく見られます。

  • 不安の上昇
  • 怒りなどの気持ちの出現
  • 動揺・興奮
  • 憂鬱感
  • 他人に無関心になる
  • 気分の落ち込み
  • 周りのものが現実でないと感じる
  • 幻覚
  • 悪夢
  • 性格の変化
  • 精神病
  • 落ち着かない
  • 自殺願望・自殺未遂

60歳以降の服用

60歳以降で不眠症が見られる方はよく短期間のベンゾジアゼピンの処方がされます。これは一般的なもので、睡眠の質を向上させ、生活の質も良くするというしっかりとした目標がありますが、多くの研究で高齢者の長期的使用には様々なリスクが伴うという勧告が出されました。

  • 認知力と記憶力の変化
  • 転倒のリスクと転倒による怪我の増加(股関節骨折など)
  • 交通事故に遭う可能性が高くなる
  • 認知症を発症する際の初期のサイン

このように、ベンゾジアゼピンはとても明らかな影響を持っています。これらの不適切な長期的使用は公衆衛生の問題として扱われるべきなのです。

ラウラと彼女の依存症の話

ラウラは39歳の女性で、3歳と8歳の子供がおり、広報会社で働いています。その仕事は良い仕事ですが、多くのプレッシャーや達成しなければいけないゴール、そして、マーケットに参入する為の膨大な仕事量が伴ってきます。そこには、母でいること、クリエティブで成功する人間でいることなどの不安を管理することはとても困難だと感じる日もあります。

「日常的なベンゾジアゼピンの服用は、今ある問題や病気を和らげてくれる代わりに、長期的な依存を生み出してしまいます。」

腕を組んで壁に寄りかかる女性

数週間前、彼女は激しい禁断症状が出たため、病院に駆け込みました。耳がムズムズしたことから始まり、何に対しても集中する事が出来なくなって、耳鳴りが止まらなくなりました。そして、腕や足にぴりぴりとした疼きを感じ、口が燃えているような感覚に陥り、光に過敏なってしまったのです。

このように、それは簡単に彼女の気分を変えます。その時から、彼女の子供達は彼女を恐れるようになりました。その時から、彼女の世界が崩壊し始め、人生に調和が無くなってしまったのです。何も彼女の心に留まるものは無くなり、欲望が隠れたり、消えてなくなったりと感じるようになったのです。

彼女がベンゾジアゼピンに依存していると気づいた時、彼女はその事実を信じられませんでした。処方された医薬品に依存してしまうという事実があるというのはとても受け入れがたいものです。しかし、不安や落ち込んだ気分にとらわれている時間は長く、医者と診察している時間は短いのです。このような状況はドラッグを管理しようとしている人にはとても複雑なものです。

ラウラとベンゾジアゼピンを断つ挑戦

彼女はこの薬を断つよう試みました。しかし、すぐにそれは不可能だと分かってしまうのです。なぜならその影響はとても壊滅的だからです。人生はまっすぐなものではありません。実際には長く、曲がった、坂の多い戦いのようなものです。時には私達にはこの薬のように痛みを払って、眠りを与えてくれる助けが必要な時もあります。

しかし、ベンゾジアゼピン依存はヘロイン依存に似ています。そして、選択肢を見つけられない事もありますが、進行中の依存を止めるにはしっかり治療センターに行くことです。

ボトルからこぼれる錠剤

簡単だけど危険、安いけど高い代償

私達の責任を全て医者に預けることは出来ません。なぜなら、この社会の機関やシステム、そして政治などが作る環境は個人に注目を置いておらず、それぞれに合った適切な治療や処置ができないからです。

また、失業、ブラック企業、不況、貧困、孤独感などの他の要因から生み出される暗い感情は、今ある状況をさらに悪くして、私達を医療に頼るように押していきます。

最後に私達が知ってほしいことは、ベンゾジアゼピンは短期間での使用は効果的ですが、それ以上の使用には、自分の人生を操作できる別の対策が必要になってきます。それは、心理療法であったり、個人の強い意志、周りの人達からの賢明で本物の感情的なサポートであったりするのです。「WE CAN DO IT」 私達には出来るはずです。

参考文献

-Andrés-Trelles, F. (1993) Fármacos utilizados en la ansiedad: benzodiacepinas y otros ansiolíticos. Madrid: MacGraw Hill Interamericana.

-Hardman J. G., Goodman L. S., Gilman A.  (1995) The Pharmacological Basis of Therapeutics.  Pages. 385-398. New York, MacGraw-Hill.

-Robert Whitaker, (2010) Anatomy of an Epidemic. Crown Publishing Group.

-Sophie Billioti,  Yola Moride  Thierry Ducruet (9-09-2014) Benzodiazepine use and risk of Alzheimer’s disease: case-control study. British Medical Journal, 349, págs 205-206

Eugene Rubin, Charles Zorumski, (2015) How Many People Take Benzodiazepines? Psychology Today https://www.psychologytoday.com/blog/demystifying-psychiatry/201505/how-many-people-take-benzodiazepines

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  • -Andrés-Trelles, F. (1993) Fármacos utilizados en la ansiedad: benzodiacepinas y otros ansiolíticos. Madrid: MacGraw Hill Interamericana.
  • -Hardman J. G., Goodman L. S., Gilman A.  (1996) Las bases farmacológicas de la terapéutica. Vol. I. Págs. 385-398. Madrid: MacGraw-Hill Interamericana.
  • -Robert Whitaker, (2015) Anatomía de una epidemia, Madrid: Capitán Swing
  • -Sophie Billioti, Yola Moride , Thierry Ducruet (9-09-2014) Benzodiazepine use and risk of Alzheimer’s disease: case-control study. British Medical Journal, 349, págs 205-206
  • Eugene Rubin, Charles Zorumski, (2015) How Many People Take Benzodiazepines? Psichology Today https://www.psychologytoday.com/blog/demystifying-psychiatry/201505/how-many-people-take-benzodiazepines

このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。