フロイトとユングの10の相違点

2019年6月18日
フロイトの研究はユングにとって興味深いものでした。フロイトのほうも、ユングを自らの"後継者"であると公に宣言するほどでした。しかし、個人的・理論的な意見の対立によって二人が別々の道を歩みだすまでにさほど時間はかかりませんでした。

ジークムント・フロイトカール・グスタフ・ユングを巡っては、数え切れないほどの議論が存在し、中にはかなりヒートアップしているものもあります。二人の考え方を支持している専門家もいれば、それに反対する者もいて、それぞれの主張に彼らなりの理由があります。二人を個別に見ていくよりも二人まとめた方が議論はグッと面白くなるのです。

フロイトとユングの違いは興味深いものです。逆説的に、二人が最初にキャリアをスタートさせた時には考え方や理論に共通点がたくさんあったからです。

実は、彼らにはとても似ているところが多かったので互いに混同されることもありましたが、後年のキャリアにおいてはそのようなことは起こりませんでした。二人の違いが明確になっていき、心理学の部門はそれぞれ分かれていったのです。ここからは、この二人の偉大な頭脳を巡る旅へと乗り出したいと思います。ご一緒にいかがですか?

フロイトとユング

ジークムント・フロイトはオーストリア人神経学者で、心理学の分野の中でも最も古く最も影響力のあるものの一つである精神分析の創始者で、これを発展させた人物です。さらに、彼は多くの人から(支持者からも批評家からも)、20世紀の最も重要な知識人の一人と見なされています。

彼は神経学者だったので、最初に関心を持ったのは神経学でした。彼のアイディアはここから始まり、次第に研究対象となった障害の種類や原因の分析方法という面においても、事実上もっと心理学的になっていきました。

そしてカール・グスタフ・ユングはスイスの人精神科医で、心理学者であり作家でもありました。彼は精神分析の確立において重大な役割を果たしました。のちにユング心理学として知られる彼独自の分析心理学を創始しました。

フロイトの研究はユングにとって興味深いものでした。フロイトのほうも、ユングを自らの”後継者”であると公に宣言するほどでした。しかし、個人的・理論的な意見の対立によって二人が別々の道を歩みだすまでにさほど時間はかかりませんでした。ユングは一時期(1910年)は代表さえ務めた国際精神分析協会から追放されてしまいます。

フロイトとユングの10の相違点

フロイトとユングの相違点

フロイトとユングの相違点はたくさんありますが、この記事ではその中から最も重要なものをいくつかリストアップしていきます。

1. 精神分析家 vs 非精神分析家

おそらくユングの理論を言及するのに”ユング式精神分析”という用語が使われているのを耳にしたことがあるでしょうが、これが主流な間違いです。ユングは精神分析家とは見なされていないのです。実は、彼自身がこの学派から完全に距離を置き、自分自身の学派を創始する決断をしています。

2. “コンプレックス”という用語

フロイトはユングがこの用語の立案者であると認識していました。フロイトは”エディプスコンプレックス”あるいは”去勢コンプレックス”といったように自らの理論の中で”コンプレックス”という用語を用いています。しかしユングにとっては”コンプレックス”という用語は感情的に満たされたイメージあるいはそれぞれに分裂した人格のように振る舞う概念を意味するものでした。それぞれのコンプレックスにはその中心にアーキタイプがあり、トラウマという概念と結びついています。

フロイトとユングの10の相違点

3. 超心理学と心霊現象

ユングは超心理学や”心理現象”を非常に重要なものであると考えていました。しかしフロイトはこのような考えを研究することやそれを精神分析に結びつけることには反対でした。そうすることによって既存の理論を歪めてしまう恐れがあると信じていたのです。

4. “過去の遺物”という概念

フロイトにとって、”過去の遺物”は特定の無意識の形態と関わりのあるものでした。彼はこれを”記憶痕跡”と呼ばれる概念と関連づけました。しかし、ユングにとっては過去の遺物はそれ以上の意味を持つものでした。実は、ユングはフロイトが提唱したものとは異なる無意識に関する図を作成するためにこの概念を用いたのです。ユングが話題にしていたのは、集合的無意識でした。

彼は患者の夢を分析したり、様々な文化における神話の解釈をしたり、それを錬金術記号の研究に取り入れたりしました。ユングにとって、集合的無意識は人間性の一部です。これは人間性の中で最も卓越した感情的な瞬間に由来する元型から成り立っています。古来からの暗闇への恐れや神に関する考え方や善悪の判断などはここから決められているのだ、と彼は述べています。

“人の心はまるで氷河のようだ、水上に浮かび出ているのは全体の七分の一に過ぎない”

-ジークムント・フロイト-

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5. 過去に関する要因と現在の重要性

フロイトは、神経症も精神病も個人の過去に関する要因が原因で悪化してしまうのであり、現在の要因や状況のせいではないと考えました。つまり、過去の出来事が現在そして未来の行動を決定してしまうということです。

しかし、ユングはこれが正反対に働く、と述べました。彼にとって、過去に関する要因は相対的なものです。フロイトは、この問題について明確に否定しないまでも、神経症に関しては、過去の結果としての現在にこだわるユングの姿勢には概して賛同を示しませんでした。

“私は過去に起こったことでできているのではない、私は過去の自分が選んだものなのだ”

-カール・ユング-

6. 生命力とリビドー

ユングはリビドーという概念を一般的な命のエネルギーあるいは生命力として定義し、身体の生物学的進化のためにその瞬間に最も重要なもの、食べ物や死やセックスなどが何なのかによって変化するものだと説明しました。しかしフロイトのリビドーに関する考え方は異なっています。彼は、これは主に性的なエネルギーであり、個々人の性心理的発達を通して身体の様々な部分に集中するものだと述べました。

7. 心理形態

フロイトにとって、心理構造は三つの階層に分かれています:それは前意識、意識、そして無意識です。一方でユングは、意識に階層があることには同意していますがそれは二つの意識である、としています:それは個人的なものと集合的なものです。

8. 転移

また他のフロイトとユングの相違点は、転移現象の捉え方です。転移が起こると非対称な関係性が要求される、とフロイトは信じていました。心理療法士はまっさらなスレートのようなもので、患者はここに幻想やロールモデルなどを自由に設定したり転移させたりするのです。これは一方通行な現象です。

ユングは転移が分析における中心的な問題であると考えつつも、フロイトの古い考え方には賛同しませんでした。彼は治療上の関係性を錬金術の知識の観点から定義づけました。彼は、接触することによって互いを変化させる二つの異なる化学物質の比喩を用いています。言い換えると、患者と心理療法士の関係性は共同で培われるものであり、相互的なものだということです。

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9. カウチ

フロイトは精神分析に欠かせないものとしてカウチを使用しました。そのポイントは患者の視界に分析家が入らないという点です。しかしユングはカウチは使わずに患者の目の前に腰掛け、セッションを対面方式で行いました。

10. セッションの頻度

もう一つの二人の相違点が、セッションの頻度です。カール・グスタフ・ユングは当初少なくとも週に2回患者とのセッションを行なっており、各セッションは1時間の長さでした。のちに彼はセッションを週1回に切り替え、これを約3年間行いました。しかしフロイトは週に6回患者と会い、各セッションは45〜50分の長さでした。

フロイトとユングの方式や理論の相違点についてこの記事での言及できたのはほんの10個のみでしたが、違いはまだまだたくさんあります。彼ら二人の関係性や、二人がどう心理学の世界に名を残したのかについて見ていくと興味深いですよ。彼らの研究や性格についてもう少し詳しく探ってみることを是非オススメします。