月経前不快気分障害(PMDD)の症状について

21 10月, 2020
女性の3-5%が、普通の生活を送るのが難しくなるほどの月経前症状を経験している、と推測されています。今回の記事では、この問題について詳しくお話ししていきますよ。

月経前不快気分障害(PMDD)とは、時に正常な生活が送れなくなることもある、月経前症候群(PMS)の深刻な形態です。シルビア・ガビリアによる定義が、月経前不快気分障害を特に適切に説明しています。彼女はこの障害を、「黄体期の終わりから現れて月経開始から2、3日後に消える、精神面、行動面、および身体面の一連の症状」であると定義づけました。

PMSとPMDDは、双方ともに身体症状および精神症状を引き起こします。しかしPMDDに関しては、仕事に支障が出たり人間関係が傷ついてしまうほどの極端な気分の浮き沈みが存在する場合があるのです。

PMSもPMDDも、症状は一般的に月経開始の7〜10日前から始まり、月経開始から数日が経つまで続きます。身体症状については、乳房の膨張や圧痛、疲労感、睡眠習慣や食習慣の変化などが起こり得ます。

月経前不快気分障害 PMDD 症状

疫学

月経前不快気分障害は月経前症候群の深刻な形態であり、妊娠可能年齢の女性のうち、その症状に苦しんでいるのは約5%です。患者の多くが、初潮を迎えた時頃から症状を経験し始めたと報告しています。30代、40代に達するにつれ有病率は高まり、通常閉経期まで症状が継続します。また、自然に症状が消滅したケースも少数ではあれ存在しています。

出産や加齢、経口避妊薬の服用開始あるいは終了、卵管結紮術などが、症状の発現や悪化に影響する場合が多いようです。

月経前不快気分障害に関連するたくさんの臨床的変数の中には大うつ病や産後うつ病の病歴が含まれ、どちらもPMDDの診断を受けた女性の方が発症率が高い傾向にあります。

原因

月経前不快気分障害の原因は、密接に関連する遺伝要因、神経生物学的要因、そして内分泌要因の数々です。ほとんどの研究者たちが、これは月経周期に結びついたホルモン変化に対する異常反応だろうと考えています。

研究により明らかになっているのが、月経前不快気分障害と低いセロトニン値との関連性です。ホルモン変化はセロトニンの生成を減退させる可能性があり、それが月経前不快気分障害の症状に繋がります。

DSMとICDに定められているPMDDの症状

DSM-IIIR(精神障害の診断と統計マニュアル)が発表されて以降、この障害は「黄体期後期の不機嫌性障害」という名の下で精神医学の世界からより多くの注目を集め始めました。これが月経前不快気分障害という名前で世に知られるようになったのはDSM-IVが発表された後のことです。

一方でICD-10(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)などのマニュアルでは、解釈も定義も異なっており、PMDDは疾患と見なされていません。しかしながら新たなDSM-5の中ではうつ病性障害の一種に分類されています。

確実に正確な診断をするために、医師は患者の病歴を確認し、身体検査を行わなければなりません。患者の方も医師が診断に役立てられるよう、症状をカレンダーや日記帳に記録しておくべきでしょう。

この診断を下すことができるのは、気分関連の症状をはじめとするPMDDの症状のうち、五つ以上を経験している患者に対してのみです。

DSM-5による月経前不快気分障害(PMDD)の診断基準

A. ほとんどの月経周期において、月経開始前最終週に少なくとも五つの症状が認められ、月経開始数日以内に軽快し始め月経終了後の週には最小限になるか消失する。

B. 以下の症状のうち一つまたはそれ以上が存在する。

  1. 著しい感情の不安定性。
  2. 著しいいらだたしさ、怒り、易怒性、または対人関係の摩擦の増加。
  3. 著しい抑うつ気分、絶望感、自己批判的思考。
  4. 著しい不安、緊張、および/または「興奮している」とか「いらだっている」という感覚。

C. 以下の症状のうち一つ(またはそれ以上)が存在し、上記基準Bの症状と合わせると、症状が五つ以上になる。

  1. 通常の活動における興味の減退。
  2. 集中困難の自覚。
  3. 倦怠感、易疲労性、または気力の著しい欠如。
  4. 食欲の著しい変化、過食、または特定の食物への渇望。
  5. 過眠または不眠。
  6. 圧倒される、または制御不能という感覚。
  7. 他の身体症状、例えば乳房の圧痛または腫脹、関節痛または筋肉痛、「膨らんでいる」感覚、体重増加。

注:基準A〜Cの症状は、先行する一年間のほとんどの月経周期で満たされていなければならない。

D. 症状が、臨床的に意味のある苦痛をもたらしたり、仕事、学校、または通常の社会的活動または他者との関係を妨げたりする。

E. この障害は、他の障害、例えばうつ病、パニック障害、持続性抑うつ障害、またはパーソナリティ障害の単なる症状の憎悪ではない(これらの障害はいずれも併発する可能性あり)。

F. 基準Aが、二回以上の症状周期に渡り、前方視的に行われる毎日の評定により確認される(注:診断は、この確認に先立ち暫定的に下されても良い)。

G. 症状は、化学物質(乱用薬物、薬剤、その他の治療)による生理学的影響あるいは別の病状(甲状腺機能亢進症など)には帰されない。

月経前不快気分障害(PMDD)の症状について

月経前不快気分障害の診断:批判と議論

DSM-5の診断基準は、過度の病理化の懸念があるとしてかなりの批判を浴びてきました。その議論の中心にあったのが月経前不快気分障害の診断基準です。DSM-5では、PMDDと月経前に現れる症状をうつ病性障害に分離しています。

しかし多くの専門家たちが、人口の半数、つまり女性に対し、月に一度の精神疾患患者というレッテルを貼ることは不適切なのではないか、と疑問を訴えてきました。これこそが議論の中心部分にある疑問なのです。月経に関連する自然なプロセスを、ごく少数の女性たちが毎月数日間だけ経験する症状に基づいて病気と認定することは本当に可能なのでしょうか?