混合性不安抑うつ障害:その定義と原因と治療について

· 2018年4月15日

混合性不安抑うつ障害はまだまだ議論の余地がある障害で、既存の診断方法に全て含まれているわけではありません。この障害の存在は徐々に認識されており、二次的な不安障害の特徴を持つうつ病の一種であり、単一の障害ではないと考えられているのです。

混合性不安抑うつ障害の症状は文字通り不安の症状とうつ病の症状が組み合わさったものですが、どちらかがより強い症状であるわけでなく、個別に診断を下せる程、両方が顕著なものでもありません。

この障害の症状は比較的軽度なもので、プライマリケアなどの第一線コンサルタントでよく見られます。その為、この障害で悩んでいる人は多く存在すると言われています。

また、うつと不安が組み合わさったこの症状は、患者の様々な機能低下を引き起こします。

しかし、この障害の診断を反対している人達は、診断の有用性を強めるには医師が患者の持つ精神病歴を完全に把握する必要があり、その病歴がないとうつ病と不安障害を分類することが出来ないと述べているという現状もあるのです。

どのように混合性不安抑うつ障害と診断されるのか?

この障害を診断するには、不安障害と軽度のうつ病の症状を確認する必要があります。これに加えて、震えや動悸、口の渇き、そして胃の痛みなどの栄養に関する症状の確認も必要とします。

また、ある予備研究では、一般的な開業医は混合性不安抑うつ障害と検知することが少ないと発表されているように、認知度が低いため適切な診断が出来ていない場合もあるのです。

不安とうつ病と男

混合性不安抑うつ障害の症状

この病気の症状は不安障害とうつ病の症状の組み合わさったものです。

さらに、胃腸の不快感などの自律神経系の過活動などの症状も一般的で、この症状が患者が病院を訪れる大きな理由にもなっています。

混合性不安抑うつ障害におけるDSM-Ⅳの研究基準

精神障害の診断と統計マニュアル(DSM)は4つのシリーズから成り立っています。しかし、DSMはあくまで研究目的で作られたものであるということを覚えておいてください。

この障害の主な特性は継続的、または繰り返し引き起こる不快感で、少なくとも1か月続くと言われています。この状態が以下に挙げる症状およそ4つと同時に引き起こされることがあります。

  • 集中力や記憶力の低下、睡眠障害、疲労感、元気が無い。
  • 急性の過敏症。
  • 繰り返し心配になる。
  • すぐに泣いてしまう、希望が無いように感じる、将来に悲観的、自尊心の低下。
  • 過度の警戒。

このような症状は重い不快感や社会性低下、そして仕事などの重要な活動に影響を及ぼしてしまうのです。

一方、症状が薬物の影響によって引き起こされている場合は混合性不安抑うつ障害と診断してはいけません。また、患者が大うつ病、持続性抑うつ障害、不安障害などの診断基準を満たしている場合も除きます。

そして、他の不安や気分障害の診断基準を部分的に満たしている場合も混合性不安抑うつ障害と診断することは適切ではないと言われています。

この症状の範囲は他の精神的な病気と対比して説明しづらい部分があります。この障害に関する情報のほとんどがプライマリケアのような第一線のコンサルタントからのもので、外来患者の疾患率も高いとも言えます。

混合性不安抑うつ障害

混合性不安抑うつ障害の影響

大うつ病性障害と不安障害が同時に引き起こされるのは珍しいことではありません。うつ病患者の3分の2ほどが不安障害の症状も抱えているのです。そして、3分の1の患者がパニック障害の診断基準を満たしていると言われています。

一部の研究者は、不安障害を患っている人の20%から90%が大うつ病性障害を抱えていると発表しています。このデータは抑うつや不安障害の診断基準を満たさないうつや不安の症状の共存が非常に一般的であることを表しているのです。

しかし、現時点では、混合性不安抑うつ障害に関する正式なデータはありません。研究者の中には、人口の10%がこの病気に悩んでいる、そしてプライマリケアでは50%の人が患っていると言う人もいますが、控えめに計算したものでも全人口の1%が患っていると述べる研究者もいるのです。

この障害の原因

ある4つの研究によると、不安とうつ病の症状はある特定の原因と関係していることが示唆されています。

まず1つ目は、うつ病と不安障害を引き起こす神経内分泌の原因を発見した研究です。その中には以下の事が挙げられます。

  • 副腎皮質刺激ホルモンに対するコルチゾールの応答
  • クロニジンに対する成長ホルモン応答
  • 甲状腺刺激ホルモン
  • 甲状腺刺激ホルモンの放出ホルモンに対するプロラクチンの反応

2つ目は、一部の患者のうつ病や不安障害の原因における関連した要因としての、ノルアドレナリン作動系の過活動を特定するデータです。

 

具体的に言うと、この研究は尿、血しょう、または脳脊髄液中のノルエピネフリン代謝産物であるMHPGの濃度が高いことをうつ病患者、そして不安障害患者の中に発見したのです。

また、他の不安障害や抑うつ障害と同様に、セロトニンやGABAは、混合性不安抑うつ障害の症状と関連している可能性があります。

3つ目は、フルオキセチンやクロミプラミンなどのセロトニンを活性化させる薬は、うつ病や不安障害の両方の治療に有用であることが、多くの研究によって証明されていることです 。

そして、4つ目の研究では、不安や抑うつ症状が少なくとも、ある家系では遺伝的に受け継がれていることを示すデータが発見されたのです。

この障害の進行過程

最新の医学情報によると、この障害の最初の段階では不安障害が目立つ症状、うつ病が目立つ症状、または、そのような症状が組み合わさったものが患者に発生する可能性があると言われています。

そして、最初の段階が終わっても不安障害とうつ病の症状が交互に出現することがあります。しかし、その後の症状は未だ分かっていません。

最終的な症状は解明されていませんが、十分な心理的治療を受けないと、この症状は慢性的なものになってしまうと言われています。

治療について

混合性不安抑うつ障害の治療方法を比較する研究が無いので、医師は症状の深刻さや過去の精神病の治療に合わせて対処しています。

心理療法のアプローチは、行動療法や認知療法のように短期間に使用することが出来ます。 しかし、医師の中には、内省心理療法など、あまり構造化されていない心理療法アプローチを使用する人もいるのが現状です。

治療薬について

混合性不安抑うつ障害の治療薬は、抗不安薬や抗うつ薬、または両方を使ったものがあります。不安に関係したうつ病の治療が有効なので、アルプラゾラムなどの使用が適切であると言われています。

また、ブスピロンのような5-HT受容体に影響を与える物質も有効と言われています。抗うつ薬に関しては、セロトニンを活性化するフルオキセチンなどが挙げられます。

錠剤

心理的な治療について

どのような場合でも、このタイプの治療には認知行動療法が良いとされています。

そして、どのような治療を行うにしても、まずは患者の生理的な活性レベルを下げることが良いとされています。これは、呼吸に関するテクニック(腹式呼吸など)やリラクゼーションのテクニック(自律発達訓練、マインドフルネスなど)を駆使することで実現出来ます。

また、患者自身の気分を改善することは必要不可欠です。これには様々な方法があり、行動活性化療法などが高い効果を持っています。

これは、患者を以前の活動レベルに戻すという概念があり、セラピストは、患者が以前やっていた、または新しく楽しい事を始めるように促します。

その次に心理教育の時間を設けるのも有効な方法です。この期間を通して患者は何が自分に起こっているのか、そしてなぜ起こっているのか説明出来るようになるのです。また、不安障害やうつ病の基本的な知識を学び、彼らの経験を正常化するのです。

また、自分を苦しませている考えや信用を変化してその問題を対処する方法もあり、認知再構成法と呼ばれています。

今回紹介したように、混合性不安抑うつ障害は、診断において特定の認識はありません。しかし、プライマリケアなどの第一線コンサルタントでは頻繁に発見されており、珍しいものではありません。

この障害は治療出来る病気です。しっかり時間内に対処しないと慢性的なものになってしまうのでなるべく早く専門家に相談するようにしてください。

参考文献:

Bobes García, J. (2001). Trastornos de ansiedad y trastornos depresivos en atención primaria. Barcelona, etc.: Masson.

Derogatis, L. R., & Wise, T. N. (1996). Trastornos depresivos y de ansiedad en asistencia primaria. Barcelona: Martinez Roca.

Miguel Tobal, J.J. (1990). La ansiedad. En J. Mayor y J.L. Pinillos (Eds.). Tratado de Psicología General. (Vol.3). Motivación y Emoción. Madrid: Alhambra.