共同療法によってもたらされるメリットについて

08 10月, 2020
心理療法の中には、二人以上のメンタルヘルスの専門家に担当してもらうことで効果が増すかもしれないものがあることをご存知ですか?この手法は共同療法として知られており、たくさんのメリットをもたらしてくれます。私たちと一緒に詳しく学んでいきましょう!

心理療法は、多くの場合一人の心理士によって行われます。しかしながら、二人のメンタルヘルスの専門家に担当してもらうことで、患者にとってもセラピストたち自身にとっても大きなメリットが生まれる場合もあるのです。

家族セラピーの先駆者であるカール・ウィテカーは、セラピスト二名によるアプローチの重要性を最初に訴えた人物の一人です。この考えから彼は共同療法モデルを発展させ、最終的にはこれが家族セラピーの世界に大きな貢献をもたらすこととなりました。

共同療法という言い方をする時、ここで意味しているのは二人のメンタルヘルスの専門家が主導する、個人あるいはカップルやグループを対象としたセラピーの採用についてです。この二名はチームとして団結し、協力し合って共通のゴールを目指して動きます。この共通のゴールとは通常、患者の病状や問題の改善です。

二名のメンタルヘルスの専門家とはどんな人?

このメンタルヘルスの専門家とは心理士のことを指し、両者は同じ治療スタイルを採用していることもあればそうでない場合もあります。つまり、二人ともが共通の問題を専門としているケースもありますが、どちらか一方が特定の病気に関しては素人だという可能性もあるのです。例えば家族セラピーやカップルセラピーではそのような場合がよくあります。

そうは言っても多くの場合、二名のうち一名は心理士である一方、もう一名は薬物療法士(精神科医)です。このようなケースは心理学的治療に加えて薬物治療も求められるような深刻な精神疾患の治療の場でより多く見られます。

また、もう一つ共同療法に多いシナリオがあります。それは、一人の専門家が、患者の身近な人物、つまり専門家ではない素人を鍛え、協力者として動いてもらえるようにするというものです。こうすることで、セラピーの中で設定した課題を患者が私生活でも実行できるよう彼らが手助けできるようになります。例えば、恐怖症を治療するために実際の生活の中で恐怖の対象に触れる練習を彼らのサポートを得ながら行うことができます。

子どもを対象としたセラピーの際にも同じことが当てはまります。例えば、自閉症スペクトラム障害や夜尿症、知能発育不全などを抱える子どもへの治療に非常に効果的です。診察やセラピー以外の場所でも治療を続けられるよう、親たちや教師たちが共同療法士として行動することがとても重要なのです。

また、これは高齢者の治療に関しても、特に何らかのタイプの認知症を抱える高齢者に関しては非常に重要になります。家族や介護士は、トレーニングを受けることで患者の病気に順応しやすくなり、対処法を学ぶことができ、患者の生活条件や環境を改善することができるのです。さらに、必要な認知刺激アクティビティを絡めながら家庭でも治療を続けることが可能になります。

共同療法を効果的なものにするための条件

  • セラピストとなる両者それぞれが責任を持たねばならず、それぞれの権限はしっかりと確立されていなければならない:例えば二人のうち一人が専門家でもう一人が素人の場合、後者は観察者としての立場を引き受ける場合が多くなります。
  • 両者が別の治療スタイルを採用しているとしても、それがセラピーの障害とはならない:そうではなく、二人はそれぞれの手法の違いを生かさなければなりません。この意味では、様々なスタイルの治療テクニックを使用することで統合的な治療を行うことが可能です。もちろん、これらはその効果の高さや患者のタイプ、病気や問題の種類によって変わってきます。
  • 二名のセラピストの関係性から競争が生まれるようなことがあってはならない:両者は自分自身の、そしてパートナーの強みや限界を認識できていなければなりません。両方のセラピストが、セラピーにおける自分たちの重要性をわかっておくことが大切なのです。

共同両方のメリット

セラピストが二名いることで、患者にだけでなくセラピストたち本人にも大きなメリットがもたらされます。

  • 一人のセラピストが単独で行う場合よりも深くて早い変化を実現できる可能性があること。
  • セラピストが二人いることで、一人のセラピストから得られるよりも多くのリソースを患者が受けられるようになること。患者の要望に応じて、より幅広い治療ツールが生み出されます。これが二名のセラピストによって行われる個人セラピーにおける最もわかりやすいメリットです。
  • 評価や治療を担当する専門家が二人いることで、患者の抱える問題と治療との療法に対する全体的アプローチが可能になること。そしてこれによりデータ収集の精度も上がり、より正確性の高い診断が導き出されるのです。
  • 家族セラピーやカップルセラピーの場合、セラピストが二名いることでロールプレイングを行いやすくなること。両方の専門家が患者の人間関係(恋愛関係あるいは家族関係)に登場する様々なメンバーを演じたり様々な状況を再現することができるので、彼らが抱える問題についてより良い観点を得られるようになるのです。
  • セラピストの一人がその分野を専門としている場合、非常に有益な学習の場を作り出せる可能性があること。さらに、パートナーとなる素人に対して心理療法の基礎を教えることができます。
  • 一人でセラピーを担当する場合に感じ得る、ある種のプレッシャーやストレスを排除できる可能性があること。自分の分析をバックアップしてくれて、治療をサポートしてくれる相手がいることがセラピストの落ち着きに繋がります。

心理士 − 心理士コンビ

前述の通り、共同療法では二人の心理士が協力しているケースがよく見られます。これは家族セラピーやカップルセラピー、および追加の薬物療法を必要としない病気を扱うセラピーに多いものです。

カップルセラピーや家族セラピーの文脈においては、二人の心理士がいることで患者の人間関係の中に登場する様々な役割を再現できるという大きなメリットがあります。これは特定の問題を解決することに役立ちますし、患者(カップルあるいは家族)は自らが抱える問題に対して二つの異なる視点から観察できるようになるのです。

さらに、両セラピストは親たちのロールモデルとして子どもたちとの適切な接し方を学ばせることができます。共同療法の主要な強みの一つは、カップルあるいは家族のメンバーの一人とセラピストが徒党を組んで残りのメンバーに対抗するという可能性を排除できることです。驚くべきことに、このような事態は通常のセラピーでは時々起こり得るのです。

これまで行われた共同療法(異なる性別の二人の専門家によって行われたもの)の中で非常に有名なのが、ウィリアム・マスターズとヴァージニア・ジョンソンによって行われたセクシャル・セラピーです。彼らは性機能不全の治療のために1970年にこのセラピーを作り出しました。ただ、カップルセラピーが初めて提唱されたのは1948年のミッテルマンによるもので、彼はこれを1961年に採用し始めました。

共同療法 メリット

心理士 − 精神科医コンビ

この場合、共同療法は薬物療法と心理療法とを組み合わせたものとして行われます。これは多様な医療介入が求められる深刻な精神疾患の治療に特に必要です。

第一に、薬物を投与することで患者の日常生活に支障をきたすような特定の症状を改善することができます。これにより患者は、心理療法に対しても好反応を示しやすくなります。同じように心理療法は薬物投与の必要性に関する患者の理解を深めるので、治療全体への信頼が高まるのです。

この治療手法により、幅広い種類の精神疾患の治療に効果が見られます。

  • 薬物乱用障害。依存症(特にアルコールやヘロイン)の治療には、禁断症状を軽減するための薬物療法が必須です。このケースでは、自制心や社交スキル、コーピングスキルのトレーニング、そして再発の予防などのために心理療法も必要となります。
  • 統合失調症などの精神病性障害。この障害に関しては、主要症状を抑えるために薬物療法に頼らざるを得ません。しかし、患者の家族の置かれた状況や社交能力を改善するための心理療法による補足対応も必要になります。また、これは患者の認知機能のリハビリテーションを行なったり彼らが病気の主要症状(幻覚など)に向き合うのをサポートするためにも必要不可欠です。
  • 深刻で慢性的なうつ病などの気分障害の中には、薬物療法に加えて心理療法が求められるものがあります。双極性感情障害の場合、メインの治療は薬物療法となりますが、治療への積極性を高めて薬物を使わないコーピング戦略を奨励するための心理療法も重要です。
  • 神経性大食症などの摂食障害に関しては、心理療法がもたらすメリットが薬による効果を補完します。信じ難いかもしれませんが、心理療法には患者の気分を改善し、過食傾向を抑える効果もあるのです。
共同療法によってもたらされるメリットについて

患者のために協力すること

ここで一つはっきりさせておく必要があることがあります。それは、全ての治療やセラピーが二人以上のセラピストによって行われねばならないわけではないということです。事実、全身療法の立場から見れば共同療法は逆効果となり得ます。

しかしながら、ご覧いただいた通り、共同療法を受けることで幅広い種類の病気の患者がより良い反応を見せます。それは、心理士二人のコンビであっても心理士と精神科医であっても、または心理士と治療に協力できるようトレーニングを受けた患者の身近な人のコンビであっても同じです。したがって、この治療法は特定の疾患あるいは患者を治療する際に考慮に入れるべき重要な選択肢なのです。

その他のあらゆるセラピーや治療と同様に、主にセラピスト間の関係性が原因で困難が生まれることもあります。したがって、共同療法に頼る場合には両方のセラピストが患者の利益のために互いに協力して初めて効果が得られるということを覚えておかねばならないのです。