瞑想の本「黄金の華の秘密」

瞑想の本「黄金の華の秘密」
Valeria Sabater

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Valeria Sabater.

最後の更新: 21 12月, 2022

「黄金の華の秘密」は、中国の錬金術と瞑想について書かれた本です。この古典はリヒアルト・ヴィルヘルムが翻訳し、カール・ユングがプロローグを寄稿しました。黄金の華に象徴される光は比喩です。全てはこの中心にある力から動き、成り立っています。そのため、この光に目覚め、この光に向かって意識が開くのです。

この本は、道教の書物の中でも最も重要なものの一つですが、大変な物議をかもしている本でもあります。「黄金の華の秘密」は、東洋の偉大な精神世界の遺産を「洋風」に訳したものです。同様に、中国のヨガのマニュアルとなっている「チベット死者の書」も西洋人のために簡素化されています。

中国人の秘教についての記述は、7世紀に木版に記されたものが最初でしたが、口承で代々語り継がれてきました。この光の宗教は路岩が統率し、その規範や規約、知識を集約しました。信じられているところによると、こうした手法はエジプト秘教の伝統を受け継いだペルシャからアイデアを得たものだと言われています。

この光の宗教は大変複雑なものです。一例を挙げると、精神的悟りを開く錬金術の工程などです。この悟りを開くためには、まず始まりであり終わりでもある「黄金の華」と呼ばれる内に眠る神聖な場所に集中しなければいけません。ヴィルヘルムとカール・ユングは多くの概念を省きましたが、この思想を広める基礎を築きました。

「黄金の華は光であり、天の光は道である。自然と生命がまだ一体となっているところに『胚胞』が存在する。錬金術の工程は、闇が光を生む時に始まるのである。」

―「黄金の華の秘密」―

曼荼羅

「黄金の華の秘密」:内なる世界の探求

カール・ユングは、自身の手記の中で常に東洋思想に興味があったことを記しています。古代の知恵が記された比喩的描写の多い表現と東洋の伝統を見落としていたユングは、1920年に本格的に易経の研究を始めました。まさしくその頃、有名な中国学者であり、神学者であり、ドイツ人宣教師でもあるリヒアルト・ヴィルヘルムに出会いました。ヴィルヘルムは、主に中国語の書物をドイツ語に翻訳することを専門としていました。

「黄金の華の秘密」の本を訳そうというアイデアは、2人が知恵学会にて出会い、その後、心理学クラブにて出会った時に生まれました。1923年、ヴィルヘルムは、ユングによるプロローグとコメントを添えて、翻訳作業を完成させました。その後、1931年にカール・ベインズによって英訳されました。この本は、中国のヨガについて書かれていたため、たちまちベストセラーとなりました。しかし、「黄金の華の秘密」には本当にヨガと瞑想のことしか書かれていないのでしょうか?

そう、まさにその2つしか書かれていないのです。

内なる黄金の華を育むことの大切さ

この本の原題は「黄金の華を育てる方法」というような題でした。この本の目的を理解するには、まず黄金の華が何かを理解しなければいけません。

  • 黄金の華は、心が変化を遂げる錬金術のことを指す比喩である。
  • 私達には精神エネルギーがあると道教の思想では説いている。光は意識を象徴している。
  • 瞑想と鍛錬、あるいはエネルギーの錬金術が光、あるいは黄金の華を目覚めさせる。
  • こうした継続した鍛錬が徐々に光を育む糧となり、黄金の華へと導いてくれる。
カール・ユング

西洋の観点からすると、「黄金の華の秘密」で記されている規則は接点がないような、あまり馴染みのないもののように思えます。ですが、今はとりあえず、カール・ユングの解釈に倣ってみましょう。精神科医であり、分析心理学の先駆者だったユングは、この本の意味するところに長年魅了されてきました。黄金の華は、社会のルールなどにとらわれて忙しくなっている心を一旦忘れさせてくれます。そうすることで、自由かつ創造的になり、更なる高みへと上ることができ、天国のような精神状態を楽しむことができるようになるのです。

光は常に渦の中を照らしてくれます。意識は、私達が欲しいもの、夢見るもの、私達を取り巻くものの全てに影響します。ですから、自分の内を見つめ、黄金の華を育て、意識を目覚めさせなければいけません。

考えを鎮め、心を開く

この時点で、読者の多くは疑問に思うことがあるかもしれません。「黄金の華の秘密」で書かれている光を得るためには、どんな錬金術・瞑想をすればよいのでしょうか?答えは、考えを鎮め、心を開く方法を学ぶ必要があるということです。単純ですが、懸命な練習と固い意志を要します。

  • まずは、自分が何者なのかということを問うところから始めなければいけません。そう問いかけると、自分の顔を見てしまうかもしれません。ですが、自分という人間を決めるのは自分の体ではなく、考えです。私達の中にある考えは騒がしく、嘘をつき、本当でないことを信じ込ませようとしたりします。ですから、こうした考えを鎮めるのが一番良いのです。
  • 考えを鎮めるには、深呼吸を実践しましょう。考えがゆっくりと落ち着いていきます。これは、1日や1週間のうちに成し遂げられることではありません。考えを鎮められるようになるには時間がかかるのです。
  • 心の平安を得られた時、内省が始まります。その瞬間、私達は自分の魂とつながり、意識が眠る場所へと行きつくのです。
瞑想する人

「黄金の華の秘密」は、瞑想を定期的に実践するように説いています。この考えを鎮める瞑想は、曼荼羅を見るまで囚われていた考えを一つずつ剥がしていってくれます。その曼荼羅には、私達を完全に解き放ってくれる、光り輝く錬金術のシンボルである黄金の華の図が描かれているのです。


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