人間の本能に関するいろは

2019年10月17日
今回の記事は、人間の本能に関連するあらゆることについて紐解いていく、とても興味深いものとなっています。ぜひ読み進めてみてください!

私たちはいつも、人間の本能について話題にしています。しかし、ほとんどの人がその本当の意味については知らないようです。人間の本能という言葉は生物学の用語から来ており、究極的には人間もまた他の生物同様に進化の末に誕生した哺乳類なのだ、という事実を思い起こさせてくれます。

しかし、いくつかの特異点により、人間は他の動物とは一線を画する存在となっています。例えば、人間の生存本能について誰かが話しているのを聞いたことがあるかもしれませんが、多くの人がこの本能の存在を信じ込んでいるにも関わらず、現代社会では自殺が日常的に起こっているのです。性的本能についてもよく聞くことでしょう。それでも、私たちはインポテンツなどの性機能不全が存在することもまた知られています。

“本能とは、驚くべきものです。説明することも無視することもできないのですから”

アガサ・クリスティ

皆さんもお分かりの通り、人間の本能という議題は、単なる生物学的議論だけで終わってしまうような単純なものではありません。ここには、文化的・象徴的なベクトルからも幅広く影響が与えられているのです。事実、本能についての議論がなされない学派もあるほどです。彼らは代わりに「衝動」を議題としています。

人間 本能

人間の本能に関する生物学的理論

生物学的立場から見ると、人間の本能とは遺伝的な行動や生物種全般に共通するような行動の青写真です。本能の役割というのは、人間を周囲の環境に順応させることです。本能は脳自体に元々組み込まれています。本能により、人は自分を守り、生存させることができるのです。本能は、咄嗟の反応や無意識的な反応として現れます。

生物学的理論では、人間には以下のような基本的な本能がある、とされています:

  • 生存本能。ここには、自らの生命と健康を守ろうとするようなあらゆる基本的な行動が含まれます。例としては、危険回避行動、食事、避難場所探しなどが挙げられます。
  • 生殖本能。これは、人間という種を残そうとする本能です。基本的に、有性生殖に関するものとなります。
  • 宗教的なものを求める本能。これに関しては疑問の声も上がるものの、実証主義的心理学のほとんどの学派では、人間には生まれつき生きる意味を探求する本能が備わっている、とされています。彼らは、この本能は癲癇挿間症が起きている間に活性化するのと同じ脳の部位に結びついている、と主張しています。

しかし、上記のアプローチは、例えばある人物が、実際にはそうでないにも関わらず自分は肥満だと感じて食べるのをやめてしまう、といった事例の説明にはなっていません。これは、自然で無意識的な本能とは対立しているように見えます。

衝動の理論

ジークムント・フロイトは、人間には本能のようなものは備わっていない、と提唱しました。彼は、人間はこの種に特有な「衝動」と呼ばれるものを持っている、と主張したのです。この衝動は、興奮状態や身体的緊張から成る心理的なものです。

衝動は、この緊張状態を取り除いたり和らげようとします。それを実現させるために、緊張状態を解除できるような対象物を探し求めるのです。例えば、空腹という衝動の場合、食べ物がその衝動から自由になるための対象物ということになります。しかしここで、「ではなぜ、食事を取らない人がいるのか?」という最初の疑問がまた湧いてきますよね。フロイトは、全ての人間の衝動が有益というわけではない、と提唱しています。

フロイトは、エロスとタナトスという二種類の基本的な衝動が存在する、と考えました。エロス衝動には、自己保存やセクシュアリティに関連するあらゆる衝動が含まれます。タナトス衝動は、死に関連する衝動のことを指し、暴力的で混沌とした乱雑な衝動や、生命のない状態に戻ろうとする願望などが含まれています。衝動それ自体に、直ちにこれを満たさねばならないというニーズがあるわけではないのですが、その心的表象がそうさせるのです。

人間 本能

その他の理論

また、人間の本能に関してはそのほかにも理論が存在しています。生物学的理論と衝動理論との中間の考え方を確立しようとしているような理論です。基本的に、どちらか一方の理論の側面を取り入れつつ、これらの理論ではまた違った形で衝動を分類しています。

このアプローチによると、人間の本能は以下のようなものに分けることができます:

  • 生の本能。ここには、性的な本能や闘争・逃走の衝動などが含まれます。全般的には、生存本能と同様なものになります。
  • 喜びの本能。その目的は、人間に最高レベルの幸福感を与えることであり、生存本能の改良版とも言えるでしょう。例えば、水を飲むのは単に生存するためだけではありません。そこに味を付け加えるような動作こそ、この本能に関連するものなのです。
  • 社会的本能。仲間を得ることや、権力や名誉、財産などを欲する本能です。
  • 文化的本能。自分自身を知り、発見し、芸術的に表現しようとする衝動です。

気軽な会話の中で、人々は精神的な本能についても話題に出すことがあります。これが、女性が常に子どもたちを愛する理由とされているのです。また、不快に感じるものを撃退したり拒否する本能も存在しています。人間の本能について、どの理論が正しいものなのでしょうか?これまでのところ、この問いに対する絶対的な答えはまだ出されていません。

  • Marcuse, H., & Vásquez, G. H. (1980). La rebelión de los instintos vitales. Ideas y Valores, 29(57-58), 69-74.