ロボットと自閉症の子供達

2019年7月22日
ロボットは、「ロボットセラピー」とも呼べる新しい概念を導き出しました。この場合、ロボットが助けるのは自閉症を持った子供です。ですが、こうしたロボットは一体、私達ですらできないことをどうやってしてみせるのでしょうか?

ロボットはその進化がすさまじく、調理ロボや掃除ロボなど、ロボットによっては私達の生活の一部であるのが通常となってきています。おまけに、中には既に人間のような見た目をしたものも出てきました。そうしたことを考えると、こうしたプログラム化された機械がこれほどにも速く進歩しているのを目にするのは少し「怖い」ことかもしれません。

ですが、ロボットが今、そして将来持つ大きな可能性はそんなことでは奪われたりしません。そうした可能性の中でも、一段と目を引くのが自閉症スペクトラムを抱える子供を助ける特殊能力です。

自閉症を持つ子供の多くが、社会的孤立やコミュニケーション障害を経験します。これらは自閉症の子供をサポートを難しくするものです。それはまるで、れんがの壁をぶち破ろうとしているようなものです。ですが、朗報があります。どうやらこの分野においては私達よりもロボットの方が成果が高いようなのです。

「こうしたロボットは人とは違い、単純で分類するのが簡単な行動を示す。話すこともでき、また簡単な会話についていくことさえできる。頭部を動かしたり、顔の表情も作ることもできるが、その一つ一つは見分けるのが簡単になっている。」

―エル・パイス(意訳)―

ロボットとふれあう自閉症の子供達

周りとコミュニケーションを取るのに困難を抱える自閉症の子供の多くが、ロボットとコミュニケーションをとるとなると、何の問題もないなんておかしな矛盾です。ここで話題として取り上げているのは、目と四肢のついた小さくて、単純で感情のあるロボットです。

こうしたロボットは、「ロボットセラピー」とも呼べる新しい概念を導き出しました。この場合、ロボットが助けるのは自閉症を持った子供です。ですが、こうしたロボットは一体、私達ですらできないことをどうやってしてみせるのでしょうか?

自閉症 子ども ロボット

その答えを知るために、フアンのケースを見てみましょう。フアンは2歳の時に自閉症と診断された、6歳の男の子です。フアンは他人とふれあったり、話したりしなくなり、自分の世界へと深く深く自分を閉じていきました。そのため、かなり攻撃的になり、それは彼を愛する人にとってもとても辛いことでした。

フアンの母は誰に頼ればいいのか分かりませんでした。薦められたセラピーは全て試してみましたが、どれもフアンには効果がありません。彼の様子は良くなるどころか、ただ悪くなる一方のようでした。そのため、ロボットとセラピーができるかもしれないと聞いた時、フアンの母はためらいませんでした。そして、その結果が表れるのにそう長くはかからなかったのです。

何故かフアンは自分を閉じ込めていた世界から外へ出るようになりました。セラピーの中でロボットとふれあうようになったのです。フアンの母は、感動と嬉しさを抑えられませんでした。息子がロボットを触り、笑い、またロボットの言う言葉を繰り返したりすらしているではありませんか。これは大きな成果でした。

エルチェ・ミゲル・エルナンデス大学とAISOYロボティクスという会社は、自閉症スペクトラムを持つ子供を助けるロボットセラピーの企画に今も合同で取り組んでいます。

ロボットとのふれあいが子供の日常生活で役に立つ

「フアンはセラピー中、人ではなく、ロボットとしかふれあうことがなかったのだから、そのロボットとしかふれあうことはないのだろう」と思うかもしれません。しかし、そうではありませんでした。フアンがこのロボットと共に歩んだ軌跡は全て、フアンの周りの人達とふれあうのに役立ったのです。

フアンは自分の殻にこもり、話すのを止め、人とふれあうのを止めたため、コミュニケーションスキルを伸ばすことができていませんでした。ですが、ロボットセラピーのおかげで、彼の語彙力が伸び始めました。また、彼の感情も刺激されるようになりました。フアンは笑うようになり、ついには自分の気持ちを表現できるようになりました。

子供 ロボットセラピー 自閉症

ロボットセラピーがなかったら、きっとフアンは自分の殻から決して出て来ることはなかったでしょう。あるいは、彼にはそうするのに人よりも少し長い時間が必要なだけだったのかもしれません。確かに言えることは、こうした類のセラピーが素晴らしい結果を残しているということです。フアンやその他多くの子供達が周囲とふれあい、社交スキルを発達するのを手助けしているのです。

自閉症スペクトラム障害を持つ子供の多くは、音楽や絵画などの優れた才能を持っていたりします。彼らは自分の持つ創造性に富んだエネルギーを全てそうした物に注ぎます。彼らにできるのはそうした交流だけです。それが絵具の筆であれ、楽器であれ、全く別の物であれ関係ありません。

ですが今、彼らはもっと「人間的」な方法でかかわることができるようになるのです。ロボットは自閉症の子供達が前へ進めるように助けてくれます。そして、その後、その進歩は日常生活へとシフトしていきます。

自閉症にはまだ完治させる方法がありません。ですが、自閉症の子供達が周囲とふれあうのに必要なツールを発達させられるように、彼らを刺激する新しい方法が今も研究されています。ありがとう、ロボット!