幸せホルモンとは?それぞれの働きや特徴について

いわゆる「幸せホルモン」は、ウェルビーイングやメンタルヘルスを整える上で一番の味方担ってくれます。ドーパミンやセロトニンといったホルモンの世界を理解することで、私たちは自分自身のことももっとよく理解できるようになるでしょう。
幸せホルモンとは?それぞれの働きや特徴について
Valeria Sabater

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Valeria Sabater.

最後の更新: 21 12月, 2022

幸せホルモンは、日常生活の背後で私たちの原動力となってくれています。周囲の人々と関わり合ったり共に過ごしたりするための意欲を私たちに与えてくれているのです。また、これらのホルモンが背中を押してくれるおかげで、人間は物事を学び続けたりあらゆる発見を楽しんだりすることができています。この小さな分子たちは、痛みを和らげ、共感を促進し、さらには信頼までをも創り出すウェルビーイングのほとばしりなのです。

ちょっと考えてみましょう…幸せホルモンが無かったら、私たちは一体どうなってしまうのでしょうか?人間が、人工知能の支配する未来型マシンやロボットとは異なる存在でいられるのは、これらの生物学的要素のおかげだと言っても過言ではありません。

生き物たちはこの、栄養摂取や生殖、さらには思い出の蓄積といった様々な側面で重要な役割を果たす、多目的な分子に導かれて生きているのです。

もちろん、時にはホルモンが役に立たないことがあるのも事実です。脳や身体のその他のパーツがいつもの量のホルモンを放出してくれず、そのせいで気分が落ち込んだり無気力になったり、ネガティブになる時があるのも本当です。健康状態や心理的アプローチまでもが、この欠陥、つまりホルモンの「生成」不足を引き起こす要因になります。

ホルモンという独特な化学世界をもう少し深く掘り下げることが、人間の行動をもっとよく理解する手助けとなるでしょう。

幸せホルモン 働き 特徴

幸せホルモン:その正体、機能、特徴について

ポジティブな感情を経験することは、人間(そして動物)の行動に欠かすことのできない部分です。そうすることで心理的なバランスを整えられるだけでなく、生存も確実になります。私たちが何かを行うモチベーションを得られ、自力で食べて行くことができ、より効率的な環境を作り出し、他者と関わり、生殖行動を行い、自分以外の人々の世話をすることができるのは、そういったポジティブな感情のおかげなのです。

要するに、心身が良好な状態だと生物学的目標も達成されます。そしてそういった変数や複雑なプロセスの調節役を担っているのがいわゆる幸せホルモンなのです。これらのホルモンは、気分の調整や喜びの感覚、他者との結びつき、さらには痛みの軽減に至るまで、あらゆる現象を司っています。それでは、一つ一つ分析していきましょう。

1. エンドルフィン:最高の天然鎮痛剤

「エンドルフィン(endorphin)」という用語は、二つの言葉の組み合わせでできています。一つ目は身体の内側という意味を持つ「endogenous」もう一つはオピオイド鎮痛剤を意味する「morphine」です。この語源からも分かる通り、その機能はまさしく痛みを軽減することです。さらに、苦痛のもたらす衝撃を和らげたり、脳が適切だと判断する行動が実行された際に幸福の感覚をもたらすといった役割も果たしています。

  • エンドルフィンは、中枢神経系と脳下垂体によって生成される大型のペプチドグループです。
  • このホルモンは天然の報酬回路に結びついています。つまり脳は、食べる、飲む、スポーツをする、恋愛や性行為をする、といった生物学的に重要な行為が行われた際にこのホルモンを放出するということです。

エンドルフィン生成を自然なやり方で促進することは可能?

このホルモンの生成を促す方法はたくさんあります。前述の通り、脳が「ポジティブ」だと解釈している活動や課題を実行することが、エンドルフィン生成のカギです。そういった行動の例をいくつか見てみましょう。

  • 毎日散歩をする。
  • 音楽を聴く。
  • 踊る。
  • 新しい何かを学ぶ。
  • 友人たちとおしゃべりしたり、一緒に過ごしたりする。
  • 愛する人を抱きしめる。
  • チョコレートを食べる。

2. セロトニン:ウェルビーイングの調整役

セロトニンは脳内で生成されることに加えて、消化器系の中にも広く分布しています。アミノ酸トリプトファンが変形することで合成され、単なる幸せの神経伝達物質以上の活躍をしてくれます。

  • 気分を良くしたりウェルビーイングを促すだけでなく、食欲を増進させるなどの重要機能も担っています。
  • また、睡眠や覚醒をコントロールしている脳領域を刺激する、という働きもあります。
  • 神経伝達物質として作用するこのホルモンは、不安感や抑うつ気分のメカニズムを減退させるという重要な役割を果たしています。
  • リビドーを刺激するほか、私たちが性行為を楽しむことができるのもセロトニンのおかげです。

セロトニンを自然な形で作り出すことは可能?

全ての幸せホルモンの中で、最も知られているのがセロトニンです。しかし、これを作り出す方法などあるのでしょうか?実は、トリプトファンが豊富な食品を消費することで、このホルモンの生成を増やすことが可能です。この必須アミノ酸はセロトニンの前駆体であり、以下のような食べ物に含まれています。

  • ダークチョコレート
  • オートミール
  • ヒマワリのタネ
  • サーモン
  • ひよこ豆

3. ドーパミン:モチベーション・ブースター

ドーパミンは、モチベーションや報酬に関連するタスクにおいて重大な役割を果たしています。私たちの行動に欠かせないこの分子が不足すると、あるいは過剰に生成されると、身体は様々な形で影響を受けます。統合失調症患者のドーパミン放出量が過剰なのがその例です。

ドーパミンのもたらすメリットをいくつか見てみましょう。

  • まず、第一の機能は「期待の喜び」の感覚を作動させることです。つまり、ゴールにたどり着いた時に得られる見返りについて考えただけでそれを行うためのモチベーションを感じられるようになる、ということです。
  • 意思決定プロセスを誘発するほか、学習や記憶などを促します。
  • 好奇心や生まれつき備わっているモチベーション、さらには創造性を促進してくれます。

ドーパミン生成を自然に促すことは可能?

専門家によれば、体内にあるドーパミンのうち、約50%が消化管内で生成されるそうです。そのため、このホルモンが適切に生成されるようにするための方法の一つとして、腸内の微生物叢のケアが挙げられるでしょう。

4. オキシトシン

幸せホルモンとして特に有名なのがオキシトシンです。オキシトシンというと恋愛や愛情、セクシュアリティ、ケアを求める気持ち、そして母性行動などが連想されがちですが、他にもたくさんの機能があります。その全てが、共感や寛大さ、利他主義といった社会的行動に関わるものばかりです。

人間にとって非常に重要なこのホルモンは、視床下部で生成され、脳下垂体から分泌されます。多くの人から「人間性の元となる分子」と呼ばれていることからも分かる通り、最も魅力的な生物学的要素の一つだと言えるでしょう。

自然な形でその生成を促すことは可能?

愛撫や抱擁、他人の話を聞くこと、瞑想、そしてエクササイズなどのシンプルで日常的なシチュエーションが、身体にオキシトシンを放出させてくれます。

まとめると、幸せホルモンが、生命の大部分を決定づけるような魅惑的で完璧な生物学的ハーモニーの一例であることに疑いの余地はありません。この小さな宇宙を理解することで、人間が今のような形で存在している理由をもっとよく認識できるようになるはずです。


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