失認:よく知っているものが認識できない
ある日、傘と杖の違いが分からなかったらどうでしょう?また、触った感覚に基づいて、物を認識できなかったらどうでしょう?このようなことが定期的にあるのであれば、ある種の失認、または、五感を通して受容する情報を認識できていないのかもしれません。
失認は、1891年、ジークムント・フロイトによって提唱された言葉です。すべての感覚は正しく機能しているかもしれませんが、感覚が環境から受ける情報を脳が認識できていないのです。脳卒中、脳の損傷、酸素欠乏などは、失認につながるような損傷を与える可能性があります。
失認という言葉は、古代ギリシャに起因し、「知識の不在」という意味である。
失認の種類
失認を患う人は皆、見るもの、感じるもの、味を解釈できないことによるフラストレーション、力不足、不安の時期を過ごします。感覚と脳が同じ言語をしゃべることをやめたような感覚です。接続が切れたようです。
そのため、失認を患う人がうつ病になることは理解でき、また、よくあることです。そして、接続が切れたことで、世界を認識してやり取りすることが難しくなります。
失認だからといって、すべての感覚が突然損なわれることを意味するのではない、ということを知っておくことが重要です。失認には、次を含む様々な種類があります。
- 視覚的:見えるものに基づいて物体を分類することができず、名前が分からない。例えば、テニスラケットをみながら、それがラケットだと認識できない。
- 聴覚的:音を認識することが難しい。例えば、曲の中の異なる楽器の違いが分からない。
- 触覚的:触ることを通して物体を認識できない。例えば、スプーンとフォークを触り、それが区別できない。
- 空間的:方向が分かりづらく、頭の中で地図が作れない。例えば、自分の家の見取り図が書けない。
- 動作的:学んだ動きを思い出したり、実行することが難しい。失行として知られる。例えば、Tシャツを体ではなく、足に着ようとする。
- 身体的:自分の体を認識することが困難。例えば、自分の手足を人のものだと思う。
「私は幽霊だった。自分自身を見た時、ただの跡であるかのようにぼんやりとした形が見えただけだった。鏡の中をさまよう幽霊を見て、自分が触っているものが、口なのか耳なのか鼻なのか分からなかった。」
-髄膜炎の後、視覚失認を患ったエスター・クミラス-
偽りの脳
失認の種類をみたところで、一般的に、影響が現れる のは一つの感覚のみだということを記しておくべきでしょう。それは、動作失認の人は、聴覚失認は患わないだろうということです。ただし、例外もあります。
多くの場合、ひとりの人が1種類の失認を患うのは脳の一部が損傷するためです。側頭葉にある種の損傷を受けた場合、聴覚失認になるでしょう。また、後頭葉の損傷は、視覚または空間失認になりやすいです。
脳の2つ以上の部分が損傷を受けた場合、2種類以上の失認を患うこともあります。では、治療法はあるのでしょうか?脳が損傷を受けた時、大幅な改善は期待できるのでしょうか?
答えはイエスで、改善への希望はあります。それは、作業療法、言語療法、神経学のおかげです。例えば、認知的リハビリでは、顔の顕著な特徴に焦点を当てるなど、顔を認識するワザを学び、注目の仕方を学びます。
失認は、あまり知られている分野ではありません。しかし、その状態に関しては、今までより分かってきています。失認に関して学び、調査する専門家のおかげで、完治できないケースであっても、現在、患者の生活を助けるツールや材料があります。
「曲がるべきか分からないことがある。常に、迷ってしまう。」
-空間失認を患うアンネ-