他人の感情を解釈する:自信に関わる問題

他人の感情を解釈するのは大切なことです。この解釈は、相手の表情にどのような意味を見出すかによって大いに変わってきます。
他人の感情を解釈する:自信に関わる問題
Gema Sánchez Cuevas

によってレビューと承認されています。 心理学者 Gema Sánchez Cuevas.

によって書かれた Eva Maria Rodríguez

最後の更新: 21 12月, 2022

あなたは他人の感情をどう解釈すれば良いのかご存知ですか?日々、私たちは何十、いや何百もの他人の顔に浮かぶ表情を目にしています。これらの表情をどう解釈するかによって、それに対してどう反応するかも決まってきます。

しかし、他人の表情を正しく解釈できているでしょうか?どの程度自分の判断に自信が持てますか?また、自らの感情表現認識に対する自信は、知覚情報あるいはその他の非知覚情報にどの程度基づいていますか?

表情の解釈によって、起こりうる危険な状況を防ぐことができるのは明らかです。しかし、見かけの表情に騙されてしまうことも多いのです。

ジュネーヴ大学の研究チームは、他人の感情を解釈する自らの能力に私たちがどれほど自信を持っているのかを調べました。さらに、彼らはこのプロセスの中で脳のどの領域が活性化するのかも調査しました。その結果、私たちの感情解釈は、記憶に蓄積された経験に直接由来することがわかりました。とはいえ、経験というのは時に私たちを混乱させるものです。つまり、過去が完璧な未来の予言者というわけではないのです。このチームは、研究結果を2018年12月にSocial, Cognitive and Affective Neuroscienceという科学誌で発表しました。

他人の感情を解釈する

人は毎日、何百もの決断を下しています。その全てがある程度、誰かあるいは何かへの信頼を意味しています。しかし、その信頼が必ずしも下した決断が正しいという保障になるわけではなりません。時には間違った決断を下してしまうこともあります。自分の決断は正しいという絶対的な確信を持てていた時でさえそれは起こり得るのです。これは人生のどの局面でも起こることです。

社交的な交流となると、周囲の人々の表情を常に解釈している状態となります。この意味では、他人の感情を解釈するためには主観性に気づくことが最も重要です。

これを念頭に置いた上で、研究者たちは私たちが自らの他人の感情的振る舞いの解釈にどれほど自信があるのかを研究することに関心を抱きました。さらに、解釈が行われる間、脳のどの部位が活性化するのかも調べようとしたのです。

科学者たちは、自信に関わるような振る舞いを計測することにしました。彼らは34人の参加者たちに、ポジティブな感情とネガティブな感情の混じったいくつかの表情を見せ、それを解釈するよう依頼しました。それぞれの顔の額と顎の部分には二つの水平なバーが付けられています。幸せそう、あるいは怒っているように見えるものもあれば、もっと曖昧な表情の顔もありました。

他人の感情 解釈する 自信に関わる問題

参加者たちはまず、128の表情それぞれが表す感情が何なのか定義づけなくてはなりません。そのあと、二つのバーのうちどちらの方が分厚いかを選びます。最後に、それぞれの決断に対して、自分の選択にどれほど自信があるかを、1(あまり自信がない)〜6(絶対的な自信がある)の間の数字で指摘してもらいます。このバーは、被験者たちの視覚に対する自信を査定するためのもので、ここでは制御機構として使われています。

衝撃的な結果

調査結果は科学者たちを驚かせました。研究者たちによると、感情認識への自信レベルの平均は知覚レベルよりも大きかったそうです。しかし、被験者たちは感情認識ミスをもっと多く犯しています。

彼らは、感情認識を学習することは知覚的判断を学習するほど簡単ではないのだ、と説明しています。相手の人物が嘘をついたり、本心を見せていなかったり、社会的慣習を気にして感情を表情に出すのを避けている場合もあります。従って、手がかりになるような他の人からのコメントがない状態で他人の感情を解釈することへの自信を正確に測ることはさらに難しいのです。

また、表情が現れるのは短時間なので、かなり素早く感情を解釈しなくてはなりません。ですので、怒った顔の解釈に関しては、自分の抱いた第一印象は正しいものだと感じ、その判断を信頼することができるかもしれません。一方で、知覚を判断するのにはもっと時間がかかります。

記憶が自信に影響する

機能型磁気共鳴断層装置(fMRI)を利用して、研究者たちはこの感情認識に対する自信の神経的なメカニズムを調査しました。彼らの説明では、被験者が水平なバーについて判断をする際、知覚(視覚領域)と注意力に関する領域(前頭部)が活性化していたとのことです。

しかし、感情認識に対する自らの自信レベルを査定する際には、自伝的文脈の記憶に関する領域、海馬傍回帯状回が活性化していました。

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これは、個人的な文脈の記憶が集積されている脳のシステムが、感情認識に直接関わっているということを意味します。さらに、研究者たちはどの程度私たちの表情解釈が正しいのか、そしてその解釈への自信はどれくらいなのかという決定についても説明しています。


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  • Bègue, I., Vaessen, M., Hofmeister, J., Pereira, M., Schwartz, S., & Vuilleumier, P. (2018). Confidence of emotion expression recognition recruits brain regions outside the face perception network. Social Cognitive And Affective Neuroscience14(1), 81-95. doi: 10.1093/scan/nsy102

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