セラピーに対する患者からの抵抗への対応法

セラピーにおける変化は患者がどれだけ「宿題」をしたかによって大きく変わります。しかし、患者が協力しないと決めた場合、セラピストは単純に変わりたくないのだと仮定してしまいます。この記事では、セラピーにおける「抵抗」について詳しく見ていきたいと思います。
セラピーに対する患者からの抵抗への対応法

最後の更新: 23 10月, 2019

セラピーにおける抵抗は患者の態度、行動、または認知に関係しており、それは治療の変化を遅らせてしまうことがあります。通常、それは変化の初期段階の間で現れます。患者は初期段階で治療に対して疑問を抱き始めることが原因だと言われていますが、患者が真摯に話すことを拒否することも挙げられています。時には、セラピストの質問に答えても全ての情報を共有したくない人もいるでしょうし、自分よりも若いセラピストを信用しないという人もいます。

このように、セラピーに対する抵抗はやる気や動機に関する段階での不十分、不適切な対応が原因だと言えます。そして、セラピストの中には患者が受動的、または頑固という判断をして、全ての責任を負わせてしまう人もいるのです。これは非常に有害な現象と言えますよね。

抵抗を解決するのもセラピストの仕事

もちろん、治療をする側が患者にとって有益じゃないと思うなら、治療を止めることはあります。しかし、患者の抵抗によって治療できない、または患者が治療したいと思っていないと決めつけるのは明らかな間違いです。

この問題はやる気に関するセラピーのアプローチで見られます。例えば、やる気に関する対話は、患者が受ける変化の段階に合わせて治療のスタイルを調整することを基礎としています。ですので、患者の抵抗はセラピストの問題であり、患者の問題ということではありません。

このような例があるので、セラピストは患者に治療したいという気持ちがないとすぐに判断すべきではないのです。そして、何が患者に壁を作ってしまったのか反省する方がいいでしょう。治療のアプローチが適切でないのかもしれません。

この問題を回避するために良いとされているのは、今後のセラピーで問題を公開してあげることです。誠実さは良好な治療関係を確立し、過程の中で起こる「抵抗」の解決策を見つけるのに有効で大切なことなのです。

セラピー 抵抗

抵抗の理由:セラピストの年齢

実は、このようなセラピーの抵抗は非常に一般的で、その中の一つはセラピストの年齢に疑問を持つことです。患者が疑いを持ち始めるとそれはいずれ抵抗に発展してしまいます。自分を助けるために、セラピストが本当に正しいツールや情報を持っているのか、または自分の問題を理解するにはセラピストが若すぎるのではないか、と考えるようになることがあります。

さらに、その年齢差も問題になることを知っておかなければいけません。年齢が上の患者からすると、若いセラピストは自分の問題に共感できないと考えるようになるのです。しかし、すぐに問題を指摘し適切な治療戦略を用いることで彼らの期待を上回り、良い治療になるチャンスでもあるのです。

”Difficult Situations in Therapy manual” (治療における困難な状況)というマニュアルでは、いくつか戦略が紹介されています。例えば、患者の問題を明らかにして彼らの抵抗について質問したり、彼らが持っていない能力などを積極的に聞いてあげることです。さらに、患者に若いセラピストの良い面、メリットを伝えることも挙げられています。

セラピーにおける抵抗に自己記録を行うことで対処する

評価と介入を行っている間は、患者が「宿題」をしなくなる確率が高くなります。自分で記録をつけるという最も基本的なものでさえ行わなくなることが多いですが、これは治療計画や分析に必要なので非常に重要です。

毎週、患者にこの自己記録をつけてもらうようにしましょう。それを可能にするためには以下のような戦略を参考にしてみてください。

  • 患者が自己記録の説明を完全に理解していると仮定しない。自分の説明は明確ではなかったかもしれない、もしかしたら言葉選びが悪かったかもしれないと思うようにしましょう。説明し直すことも必要なのでそれは躊躇しないようにしてください。
  • 自己記録の価値を強調する。自己記録はもちろんセラピストにとって非常に役立つものですが、患者にとっても価値のあることだとしっかり伝えましょう。また、自己記録をつけないということは、患者が達成したいことから遠ざかるという行為だと説明するのもいいでしょう。
  • 適切な言い方をする。淡々と「自己記録をつけて来週の面会に持ってきてください。」と言わないようにしてください。代わりに、彼らがやる気になるような言い方をしてあげましょう。
  • 自己記録をつけるためのツールを持っていると決めつけない。自分の普通がみんなの普通とは限りません。細かいですが、しっかり説明してあげるようにしましょう。

どこかに行く時に、誰もがいつも紙とペンを持っているわけではありません。書くのが得意じゃない人もいますし、それは彼らにとって不安になり、やる気を奪ってしまいます。一方、自己記録を忘れてしまったり何をしたのか覚えてない人もいます。夜まとめて書こうとしても全部忘れてしまっているのです。

このような例もあるので、対応は柔軟でオープンなものにしましょう。様々な方法で自己記録がつけられるように患者に教えてあげるのも良いアイデアです。スマートフォンのメモを使ったり、自己記録用のアプリの紹介も欠かせません。このようなツールは非常に役立つのでぜひ使ってみてください。

  • 誰かの助けを借りることを許す。例えば、自己記録をつけるのを忘れる患者には、誰かからリマインダーを送ってもらうよう勧めましょう。分かりやすいようにアラームや目印を作ってあげるのも一つの手です。
セラピー 抵抗

最後の選択肢として;治療の見直し

セラピーに対する抵抗は長く続くこともあります。患者の中には、いつになっても自己記録をつけない人もいます。この問題が続く場合は、患者に立ち向かうのも良いかもしれません。もし自己記録がつけれないなら、次回からセラピーは中止すると伝えてもいいでしょう。

治療を調整するには、面会の前日に患者に自己記録をとったか確認するのもいいでしょう。もし自己記録を取ってない場合は面会を取りやめてみてください。そして、自己記録をつけるまでそれを続けるのです。忘れてはいけないのは、これは最終手段だということです。自己記録は必要不可欠な要素ですが、患者の多くは覚えておくのが困難な人もいるので、それを考慮せずにセラピーをキャンセルするのは非情です。

本来の目的は、患者が抱える問題を解決するために、最も適切で効果のある、そして患者の助けになるセラピーを提供することです。もしこの目的が変化してしまったら、すぐに修正するようにしましょう。


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  • Labrador, F. (2011). Situaciones difíciles en terapia. Madrid: Pirámide.

このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。