統合失調症に統合的心理療法を使用する方法

2019年9月9日
今回は統合失調症における、薬物療法に代わる心理療法の効果についてお伝えします。

現在は統合失調症患者に対する様々な形の心理的介入があります。ここ数年はその介入は多様化してきているようですが、その中でも統合的心理診療と呼ばれるものがあります。これはいったい何なのでしょうか?

前述した介入は、近年クレペリンの精神分析に代表される、悲観的及び組織化された精神医学のビジョンに支配されています。彼は認知症を、転移と分析的治療が不可能な自己陶酔性神経症と考えました。

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治療上のケアの変化

その結果は、治療上のケアに変化を与えました。当初は統合失調症そのものの治療、もしくはそこから生じる問題に必要なリハビリにのみ焦点が当てられていました。ですが現在は症状そのものを治療するセラピーが行われています。その1つがロダーとブレナーの統合失調症に対する統合的心理療法です。

統合失調症の治療方法の主な進歩は、脆弱的ストレスモデルに基づいてそれが発展及び改良されたことです。これは環境というストレス要因が生物学的脆弱性と互いに影響し合うことを示す基本的枠組みです。

統合失調症は異なる行動レベルで欠陥を示すという仮定から始めましょう。これには意図的、知覚的、認知的、ミクロ的、またマクロ的なレベルがあります。ひとつのレベルでの欠陥は他人にネガティブな影響を与え、そこに序列的関係が存在します。この仮定から、ブレナーとその同僚は浸透モデルを開発しました。

これは統合失調症の症状を説明し、また統合的心理療法(IPT)を開発する基礎となりました。ここから認知レベルでの改善が、直接行動の改善に影響を与えるということが分かるようになります。

統合失調症 統合的心理療法 使用する 方法

 

統合失調症に対する統合的心理療法の特徴

この治療は専門家が統合失調症に苦しむ患者向けに開発したもので、通常5人から7人のグループセラピーで行われます。セラピーの目的は、統合失調症患者の認知力や社会的スキルの改善です。セッションは1回30分から60分。週に3回ほどの頻度が3か月以上続きます。

治療の対象となる患者のタイプ:

・18から40歳

・継続的な薬物の使用がない(時折飲む人のみ)

・家族と生活している

・入院期間が長くない

・軽度から中程度の前頭葉障害のみを有する

専門家はこれまで様々な社会的背景を持つ患者700人にこの治療を施してきました。その結果、この治療が統合失調症の症状改善に効果的であることが分かっています。(心理的見解上)

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5つのサブプログラム

統合的心理療法は5つのサブプログラムから成り立っています。これはこの病気の特徴である認知障害や社会的行動的障害の改善を目的としています。サブプログラムは序列的にアレンジされています。

・まず初めに、基本的な認知スキルの確立を目指しています。

・その後認知スキルを口語的また社会的応答に転換させます。

・最後に最も複雑な対人関係を解決出来るよう練習させます。

各サブプログラムは、治療が進むにつれ、患者に求められるものが徐々に増えていくようデザインされています。シンプルで予測可能な課題から、次第に複雑で難しいものになっていきます。

また同時にセラピーの体系化も減少します。初めの頃は体系的なアプローチが設定されていますが、セラピーが進むにつれてより自然なものへと変化していきます。各サブプログラムはあまり感情を揺さぶらないものから始まりますが、それもまたカウンセラーによって徐々に感情的な負荷が増やされていきます。

 

セラピーのサブプログラム

以下が統合的心理療法で使用される様々なサブプログラムです。

認知の分化:これは主に注意力と概念の形成に焦点を当てたものです。このサブプログラムを実行する際、カウンセラーはセラピーの主なテクニックとして口頭の概念を使ったカードとエクササイズを使用します。

社会的認識:ここでは社会的刺激を目的としています。この目的を達成するため、カウンセラーはまず第一に社会刺激の説明とこれらの刺激の解釈を使用します。それから異なる状況の意味についてディスカッションします。

口頭でのコミュニケーション:カウンセラーは、言葉の繰り返し、類似、質問、最新のトピックに関する会話、一般的な会話などを通して、患者の会話のスキル向上を目指します。

社会的スキル:このサブプログラムでは、統合失調症患者に必要な、社会的技能の向上を目指します。ロールプレイを行い、それから似通った状況を通して働きかけます。

対人問題の解決:対人関係における問題を解決するテクニックを学びます。このテクニックは問題を特定また分析し、認知的再構築と選択した解決法を実生活に使います。

認知分化の初期のサブプログラムは、注意の範囲やアイデアの共有のような、患者の基本的な認知プロセスを改善します。ですがこの時点でのパフォーマンス力はまだ通常以下でしょう。

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統合的心理療法の効果

現在までのデータだけでは、統合的心理療法の統合失調症に対する効果がどれほどのものかを測ることは出来ません。認知変数における効果が、常に一貫した行動の改善をもたらすとは限らないのです。

情報を適切に処理する能力は必要ですが、これは私たちの言う「普通」の行動の全てであるというわけではありません。

セルフイメージのような変えることの出来る要因が浸透モデルを阻害する可能性がありますが、著者によるその他の研究によると、それらは逆の方法でも機能することが分かっています。

社会的リハビリテーションから始めると、基本的認知機能に対し、より大きな影響を与える可能性があります。これは処理能力を活性化し、衰えることのない認知プロセスを発達させ、自己概念を改善します。

現在、統合的心理療法において、感情管理のトレーニングのような新たなプログラムが利用可能になっています。これは認知機能や社会機能に対して、感情が機能不全になっている状態が与える影響を減少させることを目的としています。

専門家はレジャーや日常生活、仕事におけるスキルに対するプログラムも開発しました。これは治療から発見したスキルを一般的に広げるために行われたものです。これにより心理プログラムに基づいた対処優先の治療法を作成できるようになります。つまり統合失調症の患者への対処法の確立を目的としているのです。

  • Perez, M. Guía de tratamientos psicológicos eficaces I. Adultos. (2018). Edición Pirámide